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臥龍通信

臥 龍 通 信 第97号 <2005.2.10発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 97号 ◆
    不動産投資ファンド

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 ◆ 臥 龍 通 信 第97号 ◆
    不動産投資ファンド

不動産投資ファンド

1月28日に、衆議院の予算委員会で民主党の岩國哲人議員の指摘によれば、2003年までの10年間で国民の銀行預金の金利収入は累積で、約157兆円も失われたことが明らかになりました。日本銀行の金融緩和による低金利政策によって、過去10年間に国民が受け取るはずだった銀行預金の金利収入の約157兆円が銀行の利益や企業の低金利による金利負担軽減という形態で、銀行と企業に国民が受け取るべき銀行預金の金利収入が移転したことが分かりました。

銀行や企業の不良債権処理と経済復興のために、国民の預金金利である157兆円が使われたことについて、日本銀行総裁は経済復興政策上、国民にも理解を求めたいとの答弁をしていました。日本の国民は自分が受け取るべき銀行預金の金利157兆円を勝手に政府や銀行や企業に使われても文句も言いません。この国民の本来受け取るべき預金金利収入は、日本の毎年GDPの3%以上の金額になりますが、国民に支払われることはなく過去10年間に銀行や企業の利益として使われてきました。

では、過去10年間に国民から毎年GDPの3%以上の金利収入を銀行や企業が使って、日本経済は10年以上も3%以上の経済成長をしてきたのでしょうか。国民の銀行金利を毎年GDPの3%以上の15兆7000億円も国民から吸い上げて経済復興のために銀行や企業に提供してきた政府政策で、1%の経済成長もできなかった過去10年の国家政府と国家経営を国民はどのように判断すればよいのでしょう。

銀行の低金利政策で、金利収入が突然奪われても抗議もせず、多少高い資金を株や不動産投資へと国民は利率がよいと思わされて資金を動かし始めました。国民の安心な預金から金利を奪い、ペイオフによる預金保護のリスクだけでなく、十分な知識のない国民にリスクの高い株投資や不動産投資に国民資金の誘導を行って、企業は株価が上がり企業は個人投資家のおかげで大きな利益を受けています。安心の銀行金利や預金保護はもはやないのだから、同じリスクで資金を運用するのなら多少でも利益が高い株や不動産への投資も銀行預金と変わらないと国民は思わされています。

不動産ファンドで気になる動きは、不良債権化した不動産の再生事業なのですが、米国の不動産ファンドが日本の不良債権再生ビジネスで米国機関投資家に提供した資金運用利回りは年20%以上で、一方の日本の国民預金の金利は約0.1%で日本国民の銀行預金金利の200倍以上の利益を、毎年外資系不動産ファンドは海外投資家に提供してきました。日本の不動産投資ファンドには元本割れしているものも多くありますが、外資系企業の運用利回りは最低でも年10%が基本です。海外の投資家は過去10年で日本の不良債権で200%以上も利益によっての資金を3倍以上にできましたが、日本の銀行預金者は10年で1%の利益も受け取ることはありませんでした。

銀行の過去10年の預金金利約157兆円は、国民の資産であるはずですが銀行の利益となり、不良債権処理の資金となりました。税金による公的資金の利用と預金金利の支払い分157兆円の2重の資金が銀行の破綻を防ぎましたが、国民は2重の損をすることになりました。銀行経営者や政府金融担当者の経営責任を追及することなく、巨額な国民資産(税金と預金金利)が銀行経営者や企業経営者や政府金融担当者の失敗のために使われてきました。そして銀行の顧客無視の生き残り合併で、誕生した銀行は三井住友銀行や東京三菱銀行など、考えられない企業歴史の放棄と顧客無視の企業経営形態でした。

残念なことは、不良債権処理とは銀行や企業の資産の売却で多くの損失を出すという処理ですが、不良債権として売却された不動産を再生させて多くの再生利益を上げたのは日本の銀行ではなく外資系ファンドであったことです。日本の銀行も企業も政府も不良債権の処理とは、自分たちの経営失敗による損失補てんに国民の税金と預金利子を使って、外資系ファンドに不良債権を売却するという方法で、不良債権の再生は外資系ファンドが行い、日本国民が2重の損失(税金と預金利子の投入)を負担しているときに、毎年の海外の投資家に20%以上の運用利益を提供することになったのです。国家経営の責任者は失敗の責任も取らず、損失補填資金も国民の資金(税金と預金金利)を使い、事業再生能力もなくも外資系企業に任せ、事業再生の利益はすべて海外投資家に分配され、日本の国家経営を担当する政府担当者、銀行経営者、企業経営者は不良債権処理で責任も取らず、資金も出さず、経営失敗の責任はすべて国民の資産で処理されました。

日本の金融不良債権処理で問題であったことを整理すると以下のとおりになります。
@不良債権の処理とは、銀行と企業の債権売却にともなって生じる損失をどう処理するかということでした。
A債権売却による銀行や企業の損失による企業倒産を避けるために、国民の税金と預金金利が企業経営の失敗の補填に使われました。
B巨額な国民の税金と預金利子を使った不良債権の売却損失処理は、莫大な国民負担を招いた責任者としての政府金融担当者や銀行経営者や企業経営者の厳格な責任追及がありませんでした。
C不良債権処理で損をしたのは、受け取るべき預金金利を奪われ、税金まで投入された国民でした。
D国民に莫大な資金負担をさせた責任者は、これまで企業経営や国家経営の失敗を反省して、国民のための企業経営や国家経営をしているかといえば、経営の失敗に対する反省は皆無といってよいでしょう。これまでに莫大な国民負担をしてきた国民に政府はさらに増税を計画しています。
E資金運用の技術さえ失い、企業経営の監視役たる銀行はなにも考えずに企業や個人に資金を貸し付けて、莫大な損失を出す経営失敗をしました。いい加減な経営と貸し付けた銀行の最終的な経営責任を国民負担によって損失補填してきた銀行や企業経営者は反省もなく、昨年も多くの企業不祥事を起こしました。自分たちの経営責任や損失責任は国民に押し付けて、反省もしない企業経営者や国家経営者ですから、国民はもはや企業や国家の奴隷といってもよいくらいです。
F不良債権の売却先である外資系ファンドには日本の銀行や企業にはない事業再生能力があって、事業再生で年20%を超える莫大な利益が海外投資家の利益として過去10年以上も提供され続けてきました。自分たちの失敗の責任を取ることもなく、事業再生による利益も出せない能力の日本企業や国家経営者が、莫大な金額の経営失敗の結果を国民に押し付けてきました。日本の企業経営者と国家経営者の無責任と無能力には、怒りではなくもはや絶望してしまいます。

さて、問題です。日本の不動産価格はどのように決まるのでしょうか。日本の土地の価格はバブル時にGDPの約6倍の2400兆円ほどでしたが、現在はGDPの約3倍の1500兆円に減少しました。つまり15年ほどで日本の土地価格の総額は900兆円も減少しました。日本の土地価格の暴落で、土地投機に走った企業と銀行、土地投機を放置してきた政府の責任追及もなしに国民の税金と預金利子によって補填され、国民の損失だけは個人責任として多くの国民が自殺などの運命にさらされました。そして、欧米先進国の土地価格の総額がGDPとほぼ同額であることを考えれば、日本の土地価格は現在も高いままです。高い土地価格で得をしている最大の組織は国民から固定資産税を徴収している国家政府です。土地価格の暴落は税収の減少となるので、政府は土地価格が高いほうがよいのです。

税の考え方は、所有の税と所得の税と消費の税がありますが、21世紀は所得と消費の税を中心に考えるべきで、20世紀の国民の所有の税の考え方は変わるべきなのです。所有するだけで収益を生まないものに対して、課税するのはもはや古い考え方で21世紀には対応できない税の考え方です。親から家を相続すれば、相続税のために家の売却が要求されるなどおかしな話です。相続した財産が収益を生んで所得が発生する場合にだけ所得に課税すれば済む話で、相続しても収益を生まない財産に対して課税することは、国民として抗議することが必要ですが、そんな国民の運動も盛り上がりません。21世紀の税金は収益と消費に課税するべきで、収益を生む企業の土地利用と収益を生まない家族の家が同じような課税をされては不公平で、企業だけが有利で国民だけが損をします。

現在の日本の土地価格が3分の1になれば、先進国並みの土地価格となり企業の収益も大いに効率化して物価も安くなるでしょう。現在マンションなどのローンを抱えているサラリーマンは企業収益の増大と物価の低下で、資産価値としての不動産価値は下がっても生活は楽になります。困るのは不動産賃貸している企業と不動産価値が下がる企業と銀行と固定資産税が減少する国家政府だけです。土地価格が収益による価値で評価される時代には、土地所有者は賃貸や売却の所得が発生すれば課税すればよいのであって、所有しているだけで収益を生まなければ課税しないのが国民本位の税制と考えます。家族が生活する収益を生まない家に相続税や固定資産税を課税されることは、相続のたびに住民と地域の絆を断ち切ることを意味します。地域に住み続ける住民の絆は土地と家と地域の生活にあって金銭ではありません。人間と土地と家と地域の絆を崩壊させた税制は、日本の国家地域社会の全体的な崩壊を生み出しました。土地は投機や利殖の対象でも税金の対象でもなく、人間の生活する地域住民の人間的な絆なのです。

日本で高収益を上げてきた外資系不動産ファンドも投資収益30%以上で、投資家配当20%以上の収益を維持できなくなり、急速に日本から撤退を始めています。外資系不動産ファンドのビジネス・モデルを学んだ日本の不動産ファンドが投資有益10%で、日本の銀行から多くの資金を集め始めました。不動産投資信託など年利回り6%から5%の金融商品も多くなりましたが、利益保証や元本保証がないリスクの高い商品になっています。本来は銀行の業務であるはずの資金運用も現在では不動産ファンドに銀行資金を運用してもらうという資金運用能力も日本の銀行にはありません。外資系ファンドは今後数年で中国にシフトしていくでしょう。

理由なき土地価格、理由なき株価、理由なき増税と土地や株式の投機に踊る日本国民は今後どれだけ虐げられればよいのでしょうか。国民の文化的な最低限の生活を維持する生活保護費の半分の年金で生活しなければならない多くの国民に、日本政府の21世紀は自分たちの国家経営の失敗による膨大な政府借金を処理するために、これまで以上の過酷な運命を要求してきそうです。


参考資料:「臥龍通信」

発行日 発行No タイトル
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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