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臥龍通信

臥 龍 通 信 第92号 <2004.11.30発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 92号 ◆
    崩壊する日本

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 ◆ 臥 龍 通 信 第92号 ◆
    崩壊する日本
崩壊する日本

崩壊する教育
独立行政法人「メディア教育開発センター」の調査によれば、大学生の「日本語力」が低下し、中学生レベルの国語力しかない大学生が国立大で6%、4年制私立大で20%、短大では35%にのぼることが、明らかになりました。

平成16年度に入学した33大学・短大の大学生約13000人を対象に、中一から高三相当の問題を盛り込んだテストを行い、平成14年度に中高生に実施したテストと比較した結果、中学生レベルと判定された大学生は、5年前に行われた調査と比較して、国立大が0・3%から6%、私立大が6・8%から20%、短大が18・7%から35%と、数年間で大きく増加していることが分かりました。

平成15年度の国立大学の大学生は約62万人で、その6%が中学レベルの国語力とすれば、約3万7千人の中学レベルの大学生がいることになります。私立大学では20%の約41万2千人、短大では35%の約8万7千人が国語能力で中学レベルということになります。 テストの結果では、外国人留学生でも大学院生はほぼ全員が「高校レベル」をクリアしており、「留学生より日本語ができない日本人大学生が、日本の大学には相当数いるのが実情」ということも判明しました。

実際には、留学生よりも日本語ができない日本の大学生が約293万人の中で約53万人以上いることになりました。 大学生一人あたり、小学校・中学校・高校・大学と国民の税金と個人資金の約3000万円以上という世界最大の教育コストかけた大学生教育は、まさに危機に直面しています。

大学で大学生に大学教育をする前に、中学校レベルの日本語教育をしなければならない事態に大学は2007年問題以上の課題をかかえることになりました。

平成15年度
短大      約25万人(35%が中学レベルの国語力で約8万7千人)
私立大学約 約206万人(20%が中学レベルの国語力で約41万2千人)
国立大学約  約62万人(6%が中学生レベルの国語力で約3万7千人)

日本の教育を崩壊させた学校教師や文部科学省や子供の教育を学校任せにして、子供の生活に干渉しない親も問題ですが、外国の下層階級のファッションしか輸入しない日本の衣料業界など、日本の若者を相手に金儲けしている大人社会にも教育崩壊の大きな責任があります。マネキュアにパールやラメを中学生や高校生や大学生が使っていますが、販売している化粧品企業は、海外でマネキュアにパールやラメを使うのは売春婦だけだということを知っていて若者に販売しているのでしょうか。外国人が日本の若い女性を見て、日本は売春婦だらけだということがほんとうに多くなりました。勉強するべき中学生や高校生や大学生に、高価な洋服や靴やバックや化粧品など売りつけて、まとまった収入もない若者から金儲けしようとしている日本の業界企業は大反省するべきです。

子供達の教育をダメにしたのは、すべて大人社会の企業や大人達の欲望に原因があります。いいかげんな大人社会は子供のお手本になるどころか、子供達を大人社会の醜い欲望の中に巻き込んで、子供の人生を狂わせています。日本の大人が狂わせている子供達の状況は、教育の崩壊以上に深刻で、日本の子供達に麻薬を売るのも大人であれば、売春の相手も大人で、子供達に欲しいものを見せては、買うための金稼ぎに子供達を犯罪にまで追い込んでいます。子供達が尊敬するような大人社会の実現こそが、子供達の教育の基本ですが、子供達を金儲けの手段と考える大人社会の反省はなく、日本の子供は際限なく大人の社会の醜い嘘と欺瞞に巻きこまれ、利用されつづけています。

崩壊する官僚組織
警察の裏金問題で、北海道と福岡が問題になっています。警察組織の不正支出は福岡県警で2000年までの5年間で見つかっただけでも約2億円、北海道県警では2003年までの6年間で約7億円が不正支出されていました。警察組織が裏金を作り、不正に国民の税金を使っていた事実は、北海道県警だけでも関係者約1500人の警察幹部の負担で全額を国と県に変換する事態となりました。国民の税金を不正な文書で虚偽に支出したことにして、裏金を作り組織ぐるみで本来の目的とは異なる使い方をしていたことには、驚きますが、日本全国の警察組織で調査が行われているわけではなく、内部告発のあった県警だけが、今回の調査を行い発表しました。警察組織の組織ぐるみの不正を警察組織が調査するということなので、どこまでが明らかになるか分かりません。もし、全国の警察組織での裏金作りが発覚すれば、その総額はどれだけの金額になるか想像もできません。

政治資金を目的外に使って、政治家を辞め裁判でも有罪となった国会議員がいましたが、その国会議員を厳しく取り調べた警察が、公文書を偽造し、税金を横領し、使ったことが発覚すれば、返せばいいとして罪に問われないとすれば、法の平等とはどこに存在するのでしょう。

2004年の犯罪白書では、43年ぶりに刑務所の受刑者は6万人を超え、過去10年間連続で受刑者は増加しています。すでに日本の刑務所の定員を20%も超える犯罪者が刑務所にいますが、犯罪者の増加に新たな刑務所の建設が必要になっている状況です。 2003年の刑法犯認知件数は364万6千件を超え、検挙率は23.2%で多くの犯罪者を日本の警察は捕まえることができません。 日本の治安は日本人の生活の根幹ですが、犯罪件数は増加し、刑務所はパンク寸前で、検挙率も23.2%では、犯罪を犯しても捕まらない者が捕まる者の約4倍もいるという犯罪者天国になってしまいました。 日本国民が最も信頼する日本の警察が、国民の税金をごまかし、横領していたとは、日本の治安の悪化も当然というしかありません。

厚生労働省の自分達の贅沢で安い官舎の問題だけでなく、監修料問題でも、監修料を裏金にして不正に使用していた実態があきらかになりましたが、公務員年金の優遇や官舎の優遇に今度は監修料の裏金とは、政府官僚の金に対する執着心はもはや国民の想像を超えます。 厚生労働省の職員達に多額な書籍やビデオの監修料が支払われていた問題で、厚生労働省は、中間調査をまとめましたが、過去5年間で総額7億5000万円前後を受け取っていたということを正式に発表しました。国民の税金を使った書籍やビデオの発注先から監修料の受け取っていた厚生労働省の職員は数百人規模で、社会保険庁出身の職員が大半であることも判明しました。国民の税金で給料を貰っている感覚は皆無で、国民の税金を官僚の生活向上と福祉に使うだけではあきたらず、虚偽の公文書で不正に裏金をつくったり、税金を還流させる方法で監修料などの名目で裏金を作り、給与だけでなく給与外収入も受け取る官僚精神の卑しさには言葉もありません。

先日、郵政民営化で「郵便局のコンピュータ・システムが個人商店よりも劣る。」と痛烈に批判されました。つぎはぎだらけの郵便システムはとても民営化など考えられないという外部からの調査結果に、膨大な資金を使って来た官僚組織の無知無能がまた明らかになりそうです。

日本郵政公社のシステムは普通の個人商店以下と批判したのは、政府の「郵政民営化情報システム検討会議」の加藤寛座長で、改革推進派の加藤氏が問題にしたのは、公社が外部との取引を示す会計処理に「単式簿記」を採用していることでした。会議で「約2万4000人の郵便局長に複式簿記の試験を受けさせたらどのくらい合格するか。」と質問したところ、公社側は「1%程度」と答えたとも言われています。

一般企業は通常、自社の提供したものと取得したものを併記する「複式簿記」を使いますが、複式簿記でないと貸借対照表など基本的な企業の決算をまとめることもできません。「こんなことが今まで行われ、誰も改革しなかったのか不思議だ。」と加藤寛座長は郵政公社を痛烈に批判しました。

日本の優秀な官僚はどうしてしまったのでしょう。自分達の幸福と福祉のためだけに国民の税金を使うだけの組織になってしまったのでしょうか。自分達の不正や腐敗を放置したまま、国民には大増税を強要してくるのでしょうか。 制度として、また精神として腐敗してしまった日本の官僚組織を再生させることができるのでしょうか。政治家主導の先送り解決で、いつまで経っても良くならない国家制度に本気で怒ることも失望することもなく、政府支持を継続する国民の無関心は将来大増税となっても、黙って官僚の生活向上と福祉のための高い税金を払いつづけるのでしょうか。

医療の崩壊
厚生労働省は、2002年の1年間で、大学病院や国立病院など265施設を対象に、医療ミスの調査を発表しました。患者への影響がなかった医療ミスを起こしそうになった事例は1年間で、約3万3千5百件を超え、確認が不十分だったという理由のミスが約2万件を超えました。この調査は、民間病院は行われておらず、日本全国でどれだけの医療ミスが発生しそうになり、また発生したかは正確に把握できていません。 日本の医師の技術不足や看護士労働賃金制度など、日本の医療制度は医療ミスの根底にある医師のレベルや制度自体に問題があります。医師20年のベテランと医師なりたてのアマチュアがなぜ同じ診療報酬なのでしょう。医療ミスでも医師資格が剥奪されず、また日本の医師は専門医の立会いの専門手術研修もなく、習熟していない手術をして、患者が死んでもなぜ罪に問われないのでしょう。医師の資格や技術や報酬に対する根本的な改革が必要です。十分な訓練や技術がなくても、どんな手術もでき、手術ミスを犯しても罪にも問われない日本の病院に行って、いつ医療ミスの数万人のひとりになるかを考えると、国民の命に関わる医療問題でこれ以上の問題先送りは我慢がなりません。

崩壊する企業社会
日本の経済専門家の中には、かれこれ5年以上も「中国はバブル経済で、近い将来中国のバブルは崩壊する。」と言いつづけてきた多くの経済専門家がいます。一方で中国はバブル経済で崩壊は近いと言いながら、一方では日本の製造業や流通業や外食産業までが、バブル経済の危険な中国に続々と進出しています。中国に進出する日本企業はすべて、中国のバブル経済で失敗するために続々と中国に進出しているのでしょうか。

また、「中国は貧富の差が拡大しており、中国は貧富の差による国民の不満で崩壊する。」とも言われています。そんな中国に日本の企業は巻き込まれ、失敗するために続々と中国に進出しているのでしょうか。

日本はすでに国民の25%が全所得の75%を占め、残りの国民の75%が全所得の25%を占めています。すでに所得格差は約10倍です。また、今後数年で所得格差は16倍を超え、日本の全所得の80%を上位20%の国民が占め、残り20%の所得を国民の80%が分配することになるでしょう。

日本の所得格差と中国の所得格差は、日本の所得格差は年々所得が減少する層と増える層との格差ですが、中国はすべての国民の所得が増える度合いが違う格差という違いがあります。 毎年所得が減り、貧乏になっていく日本の所得格差と貧乏でも毎年所得が増える中国の所得格差では、国民の不満は大きく違います。日本人はすでに所得格差が年々大きくなっていることに気付いていないだけで、年収が減る所得格差の実態を知れば、国民の不満は日本の方が中国以上の国民不満を生み出すと思います。

中国の話をすると、根拠のない「日本人の技術と経営は、決してアジアなどには負けない。」という意見を聞きます。まるで「日本人だけが高度な教育と高度な企業経営の能力があって、アジア人にはない。」というような意識が見え隠れします。 高度な教育と高度な企業経営は、日本人だけの能力ではなく、高度な大学・大学院教育や企業経営者教育などの世界的な人材育成体制ができれば、アジアのどの国でも日本以上の企業経営はいつでも可能であるとの認識は、日本人にはまだまだ受け入れられません。

日本の世界的なブランド企業と言われている松下やトヨタやソニーやキャノンなどは、最近の50年間ほどで成り上がったブランド企業にすぎません。欧州の数百年の歴史のあるブランドに比べれば、今後の50年間を日本企業のブランドが世界的なブランドであり続けるかというと疑問は多くあります。

欧州に比べて歴史のない米国でさえ、約200年の社歴があるブランド企業が数多くあります。私の勤めていた米国のDun&Bradstreet社は約200年の歴史があり、社員の先輩には米国大統領のリンカーンやグラントなどがいます。リンカーンやグラントなどの大統領や有名上院議員を輩出する企業の歴史と誇りを考えると小手先経営を続ける日本企業が50年後も存在しているかはまさに疑問です。

日本企業は歴史的な最高益を記録したと連日報道されますが、金融機関は事実上預金金利がゼロの企業経営では、最高益になっても当然です。また、日本の製造業も輸出で最高益を記録していますが、企業内容を見れば、売上高純利益率では松下が1.3%で、ソニーが2.3%で、日立が1.0%です。まさに薄利多売の1980年代企業モデルの利益率です。トヨタでやっと6.5%で、日産が6.0%ですから、日本企業は米国インテル社の売上高純利益率22.2%や日本の電機産業49社分の経営利益を1社で可能にする韓国サムスン電子の19.9%の高収益企業経営には、対抗することさえできません。

日本の大きなブランド企業の三菱ふそうの欠陥問題や三菱地所の汚染土地利用問題などの不祥事や西武グループの有価証券報告書の虚偽記載の不祥事、また三井物産の排気ガス装置の不祥事などは考えられない企業犯罪とも言うべきもので、日本のブランド企業の実力と未来を考えると、アジアに負けることはないと強がりを言っている余裕は日本企業にはありません。 企業の経営能力よりもまずは企業倫理問題から始めなければならない不祥事続きの日本企業ですが、アジアで膨大な数の高度な人材教育が進行する時代に、日本語以外に2ヶ国語が話せて、子供が大学に入ってからも教えることができる査読論文を書けるくらいの高度な専門能力があり、休日は家族でボランティア活動をする、子供からも尊敬される企業管理職が日本企業に普通に働いているという時代はいつになれば来るのでしょう。
日本の大人達の嘘や欺瞞に満ちたかっこ悪さが、子供達の未来をも奪っています。


参考資料:「臥龍通信」
発行日 発行No タイトル
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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