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臥龍通信

臥 龍 通 信 第83号 <2004.07.23発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 83号 ◆
     企業経営と国家経営

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 ◆ 臥 龍 通 信 第83号 ◆
    企業経営と国家経営
企業経営と国家経営

最近は、優秀な大学を卒業した官僚の膨大な国民の税金を使った調査能力が低下したようで、厚生労働省の出生率の予測はずれに続いて、今度は文部科学省が予測していた少子化による学生減少の予測がはずれました。

文部科学省の発表によれば、少子化で大学・短大への進学希望者は、2007年には約69万9千人まで減少し、全国大学の入学志願者と入学者が同数となると発表しました。

大学入学を志願する志願者が全員入学できる時代が2007年には実現しそうです。文部科学省は、全員入学時代は2009年ぐらいに考えていたのですが、実際は2年早まりました。作りすぎた日本の大学は5年後には深刻な不良債権産業になりそうです。 膨大な税金を使って、高額な調査費用の中央官庁調査がまったくあてにならなくなって、日本の国家経営は危機的状況ともいえます。2007年に日本の全大学で入学試験の必要がなくなるとは思いませんが、日本の大学の淘汰はすでに始まっていると言えます。1992年から考えても、すでに大学入学志願者が30%以上減少している有名大学が数多くあります。入学志願者が50%以上減少する大学も多く、大学の経営も新たな時代がきそうです。文部科学省の指導どおりにしていたら、日本の大学の30%が経営破たんする時代にもなりつつあります。日本の国家経営の破綻が日本の産業界の建設業・流通業・食品業・自動車・金融などの産業破綻政策指導してきたにもかかわらずを阻止できず、今度は日本の大学産業の破綻時代が来るのです。 日本の国家最高の知性教育機関である大学が、大学経営を放漫経営にしてしまい、大学は国家最高の知性教育機関ではなくレジャーランドになって、国家最高の知性教育の存在価値を実現できなかったことは、今後の日本社会の知性の在り方だけではなく、自らの存在価値さえも失う結果になってしまいました。国家最高の知性教育機関としての大学の復活ができない大学は、今後5年もたずに消え去る時代が来ます。

大学入学志願者の変化          
           1992年志願者   2004年志願者    増減率
国士舘大学       42,812      11,967    ▲72.0%
大東文化大学     45,019      17,612    ▲60.9%
駒沢大学        50,676      27,387    ▲46.0%
日本大学       147,887      84,486    ▲42.9%
青山学院大学     58,595      34,836    ▲40.5%
専修大学        49,806      30,135    ▲39.5%
東海大学        52,844      32,825    ▲37.9%
慶応義塾大学     63,697      43,277    ▲32.1%
東洋大学        70,653      49,075    ▲30.5%
早稲田大学      157,847     110,351    ▲30.1%
明治大学       102,808      76,194    ▲25.9%
中央大学        79,167      66,758    ▲15.7%
東京理科大学     50,751      45,860    ▲9.6%
立教大学        47,206      43,996    ▲6.8%
法政大学        72,767      85,663    +17.7%

顧客無視の企業経営と国家経営
顧客を無視する日本の企業経営の不祥事が止まりません。食品企業や自動車企業の顧客を無視した不祥事もひどいものですが、顧客のことを考えない顧客データ管理と流出やデータの不正使用など、日本企業としては考えられない不祥事が止まらず、大きな企業経営問題として、いまだに議論されています。 金融機関の放漫経営で国民は税金から多くの資金を、銀行経営の失敗である不良債権処理に利用されました。国家経営を担う日本政府も金融機関の不良債権処理を徹底させるためにメガバンクの統合なども進めました。 最近はUFJ銀行と三菱東京銀行の統合が話題になっていますが、私には日本の銀行統合も、またメガバンク統合を進める政府も理解ができません。

私は、UFJ銀行になる前の三和銀行をずっと使って来た三和銀行の顧客です。私は企業融資に走る銀行の中で、利用者の利便性を追及する三和銀行が好きでした。三和銀行がなぜ東海銀行と統合しなければならないのか。そして、UFJ銀行がなぜ三菱東京銀行と統合しなければならないのか。三和銀行のファンだった顧客としての私の気持ちなど関係なく、銀行経営者と政府によってメガバンクの統合が進んでいます。

いまの日本の銀行が進めていることは、例えばソニー松下電器やNEC三菱電機やホンダ日産や花王資生堂といった企業が考えられないのと同じくらいに、顧客である国民には違和感があります。今回参議院に当選した竹中氏は「まかせなさい。」と言っていますが、企業のブランドと顧客の気持ちはどうでもいいのかと言いたいです。三井住友銀行は「三井」や「住友」といったブランドを大事にして来た顧客の気持ちが分かっているのでしょうか。企業のブランドは顧客の信頼感に支えられた企業だけの財産ではなく、顧客の財産でもあります。企業ブランドとは、企業が顧客を無視して勝手に変えるべきものではないことが企業経営者や国家経営者にも分かっていません。顧客の気持ちや信頼という要素を除いてしまう経済学の専門家である経済学者の考えることは、顧客という概念の存在しない経済効率であって、顧客である国民のための企業経営や国家経営ではありません。

なぜ、日本の銀行はペイオフを実施して、1000万円以上の預金は保護されないのか。なぜ、メガバンクの統合が必要なのか。企業経営者や国家経営者は顧客である国民に十分な説明をして来たのでしょうか。

民間の金融機関よりもひどいのは、郵政省の郵便局の現金扱いです。郵政省の現金扱いに関して、1年間に50万件以上も受け渡しミスが発生していることが明らかになりました。年間30億円以上の金額が受け渡しミスで発生して、利用者から多くもらいすぎた場合も、民間の金融機関ではありえないずさんな現金の扱いが現在も続いています。竹中氏も民間金融機関の経営を問題にする以前に、郵便局のずさんな現金管理を考えて欲しいものです。3年後の郵政公社の民営化をしても、民間金融機関にはありえない1日に1500件以上も現金受け渡しミスがあるのでは、国民は安心して郵便局を利用できません。

それから以前に「臥龍通信」でも書きましたが、「観光立国」を政策として進めながら、一方では温泉の塩素消毒を義務づけて、日本の温泉を壊滅状態に追い込んでいる温泉経営者や国家経営者が騒いでいますが、今回の白骨温泉入浴剤使用問題など小さな問題です。湯船の温泉を交換せず掃除もしないで循環させ、細菌が繁殖するからといって塩素消毒する温泉など温泉とは言えず、温泉が政府指導で日本にはもはやないというのが実情です。

また、 2003年に約5300万人であった日本のサラリーマンの正社員比率は、すでに70%を下回り、日本の正社員雇用者は10年前よりも10%も低下して、約3700万人になってしまいました。働き方の多様性を協調する政府と企業ですが、日本の働き方の多様性は、欧米とは大きく違います。欧米のパートタイマーなどの非正社員給与は、働く時間の違いで賃金が決められています。同じ労働時間であれば、パート社員であろうと正社員であるろうと、同じ賃金の支払いが欧米の政府と企業で決められています。日本のように極端な正社員と非正社員の給与格差はありません。正社員給与と非正社員給与の格差を働き方の多様性として言い訳することなど、欧米では許されません。

日本企業は、米国と中国の景気による輸出増加と人件費カットのリストラで、過去最高の利益を上げています。日本の企業は欧米企業に比べて税負担比率が軽く、人件費も非正社員の格差賃金で多くの利益を上げています。フランスや北欧の企業よりも10%以上も税負担が軽く、社員の賃金格差もあって、これで日本企業の利益が上がらなければ、日本企業の国際競争力はないと言ってもいいでしょう。有利な条件をやっと活用できるようになり利益を上げている日本企業ですが、今後は企業の税負担や労働者賃金の見直しを迫られるでしょう。国民が知らないことをいいことに、「雇用の多様性」などと言っては、労働者の賃金カットを容認する国家経営など、日本国民は信じてはいけないのです。

企業経営者や国家経営者の経営力の低下によって、過去から継続する公平でない経営や非効率的な組織を改革できず、顧客に対する経営の真実を隠し、顧客に対する嘘の経営をすることも改善できずにいます。顧客である国民の信頼を裏切り、自分達のための構造改革、自民党のための構造改革、小泉首相のための構造改革など、国家経営者のための改革を国民は望んではいません。いったい誰のための「構造改革」なのかを、国民は真剣に考えなければなりません。国民のための「構造改革」ではなく、自民党のため、市議会議員年金と県議会議員年金と国会議員年金と大臣などの公務員年金と国民年金で5階建ての年金を受け取ることができる特権的な国家経営者のため、経営の失敗が原因で生じた不良債権の処理も速やかにできない日本の大企業経営者のため、小泉首相のための「構造改革」など必要ないのです。

国会議員選挙に落選し、無職の期間に企業に勤めていることにして、企業勤務実体のない給与をもらい、政府を偽り雇用年金に加入し、世話になった社長が生きていることも知らずに、御礼に社長のお墓にお参りに行きたいと語った日本の総理大臣が、国民に謝罪することなく「人生いろいろ」と居直ってしまっては、国民の最高国家経営者への信頼を国民はどこに持って行けば良いのでしょう。御世話になった社長を勝手に死んだことにして、御礼の御墓参りに行きたいなどと国会で答弁して、恥とも思わない国家最高経営者には、もはや言うべき言葉もありません。

日本歯科医師会から1億円の小切手を橋本元首相が受け取り、政治資金報告もなく裏金として使ってきて、発覚すれば報告が手違いでなされていなかったから、報告申請するだけで責任追求も無しというのでは、国民の脱税など政府が摘発などできません。

信頼できない最高国家経営者と一緒の与党を形成している公明党の幹事長がテレビで政策批判した学者に、「法案に文句があるなら、対案を示せ。」と言っていました。膨大な国家予算を使って、国会議員の年収や官僚の年収をもらえればいくらでも対案を示してやると言いたいです。国民から膨大な税金資金と給与をもらって、陳腐な法案しか作れないから、批判されるのであって、批判するなら国民に向かって対案を示せなど発言する公明党幹事長など、よく創価学会が許しておくものだと感心します。創価学会は与党批判する国民には怒鳴ることも許しているのでしょう。創価学会の崇高な理念はどこへ行ったのか。悪しき国家経営という政治に加担した宗教団体と政党の汚名を創価学会は今後どうやって国民に説明していくのか。いっそのこと、国民の気持ちなど無視しているのだから、自民党と公明党を金融機関のように統合して、「自民公明党」になってみてはどうでしょう。

80%の投票率を持つスウェーデンに比べて、56%ほどの投票率である日本の状況は、国民の国家経営参加率56%ということです。だれがやっても国家経営が同じと考えているのであれば、せめて気に入らない政党を困らせるためにも反対候補に投票するくらいの国民の気概があってほしいと思います。

政権担当能力がないと自民党や公明党は民社党を批判しますが、国家経営ができない官僚組織とまったく国家経営の概念がない自民党や公明党に、民主党を批判する資格などもともとありません。国家経営力がなくて、現在の日本国民の苦境を作り出してきた政権与党こそ、国家経営力がないのです。 日本の国民の投票率が80%を超えて、国民の80%以上が国家経営に参加する国家になるのはいつのことでしょうか。拉致連の増元さんが落選して、日本国民の冷たさも今回の参議院選挙では経験できました。責任感も義務感もない最高国家経営者のやりたい放題の国家経営には、私も国民として深い失望感を感じます。熱き情熱の日本人の復活が無理なのは理解していますが、それでも日本人を信じたいと考えるのは、愚かなことでしょうか。

参考資料:「臥龍通信」
発行日 発行No タイトル
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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