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臥龍通信

臥 龍 通 信 第79号 <2004.05.25発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 79号 ◆
     美しい日本の国土再生

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 ◆ 臥 龍 通 信 第79号 ◆
    美しい日本の国土再生
美しい日本の国土再生

特定放射性廃棄物の最終処理に関する法案(経済産業省)
現在、日本の原子力発電所から排出される放射性廃棄物の最終処理が法律として、また政策として推進されつつあります。放射性廃棄物の中には半減期が25000年以上の長期間危険な元素も含まれており、この放射性廃棄物が日本の国土に埋められて廃棄されるための政策が推進されています。

私たちの住んでいる国土の地下の300mに放射性廃棄物を廃棄する政策は、日本の原子力発電によって発生した放射性廃棄物を大量に長期間保管できないという側面からの政策です。米国での放射性廃棄物の地下廃棄が300mという基準が、日本でも採用されて十分な安全を確保して、日本の国土の地下300mに放射性廃棄物を廃棄するということです。

日本が地震や火山の少ない広大な地域を保有する米国の基準を持ってくるのもおかしなものですが、米国では放射性廃棄物は実際に1000m以上の特殊な地層に廃棄されています。広大な岩塩地層に放射性廃棄物を廃棄して、地殻変動や地震によって生じる地層の裂け目も岩塩地層は再結晶化して、放射性廃棄物を岩塩が包み込み、年々成長する岩塩地層はしっかりと廃棄物を包み込み、外部の水や空気との接触を遮断します。米国のような大岩塩層は日本にはなく、単なる地層廃棄では1000m以上の地下から湧き出る地下水や温泉水などに浸食されることもあり、地震や大規模な地殻変動には汚染物質が地表に出てくる危険性は否定できません。

ちなみに、米国の放射性廃棄物の廃棄所となっている岩塩層の岩塩結晶から、驚くべき発見がありました。3億年以上も前に、海が陸地に囲まれて水分が蒸発し塩だけが膨大な地層となった岩塩層の岩塩結晶には、3億年以上も前の海水が結晶内部に閉じ込められていました。3億年以上も外部から遮断された岩塩結晶から取り出された海水には、多数の微生物が存在しました。その3億年以上も前の微生物が、栄養を与えられると驚くべきことに3億年の年月を超えて、生命を復活させ増殖し始めました。微生物は3億年以上も岩塩結晶の中で生命を維持しつづけてきたのです。岩塩結晶がいかに優れた生命保存装置であるかに、世界はあらためて驚きました。放射性廃棄物の半減期である2万数千年などとはくらべものにならない3億年以上の期間を岩塩結晶は、取りこんだ内容物を外部から遮断して保存してきたのです。

日本の原子力発電所から輩出される放射性廃棄物の問題は、日本の電力確保のためには原子力発電を選択した政府にとっては、放射性廃棄物の処理は必然的に発生します。

地震大国・温泉大国・火山大国の日本という国土の特性によって、数千年や数万年という長期間に廃棄された放射性廃棄物の地下水・温泉流出や大規模な地震による流出の可能性を十分に検証されないまま進められています。放射性廃棄物を押し付けられようとしている地方では、「安全であれば東京や大阪の地下300mに廃棄すれば良い」という発言さえ出始めています。「安全であれば、地方の農村に廃棄するのではなく、東京の永田町や霞ヶ関の官庁街の地下に放射性廃棄物を廃棄するべきだ。」との意見さえあります。

火山・地震国家である日本は、国土に多くの温泉をもつ温泉国家でもあります。単なる地下水利用だけでなく、地下深くから湧き上がる温泉も日本にとっては重要な観光資源であり、国民財産でもあります。日本の国土の特殊性を考えた十分な検証が放射性廃棄物問題にも求められています。数万年の長期間にわたる日本の温泉や地下水の放射性廃棄物汚染など考えたくない悪夢です。

「無農薬野菜」の問題でも、40年以上も農薬で汚染しつづけてきた日本の農地から、ほんとうに「無農薬野菜」が収穫できるのでしょうか。最近の数年間に農薬を使わなくても、すでに農地が数十年間の長期間農薬使用されているのに、「無農薬」と言えるのでしょうか。日本各地ですでに大きな問題となっている「産業廃棄物」問題でも産業有害物質が地下水や河川に流出しています。「農薬汚染」や「産業廃棄物汚染」も満足に解決できてはいない現状で、さらに数万年にわたる子孫に対する重大な危険がある「放射性廃棄物」の問題は、国民は知らなかったではすまされない問題です。

農薬を買うこともできなかった農薬に汚染されていない中国の農村で、日本の代表的なりんごやイチゴなどの栽培が始まっています。日本のりんごの品種である「富士」は、すでに世界最大の栽培出荷国が中国となり、日本のりんごの「富士」は中国のりんごという誤解さえ生まれ始めています。日本の梅干で有名な紀州梅も中国で栽培出荷が始まり、日本の品種の多くが今後は安く作れるからといって中国や韓国からの輸入になりそうです。 日本の美しく安全な国土を我々は汚染し尽くして、我々が食べるものは中国や韓国から無農薬農産物を輸入すれば良いという政策は日本国民のひとりとしても納得ができません。知的財産として保護されている農産物の品種をビジネスといっては、海外に持ち出し重要な職人芸まで教えてしまう日本の商社と政府のやり方にも納得ができません。目先の利益のために数百年にわたる日本の「技術と技能」を簡単に海外に持ち出す日本のビジネスは何か違うという気持ちを私は捨てきれません。

観光大国を目指す日本の温泉(厚生労働省)
日本は火山国でゆたかな温泉国家でもあります。日本の観光の大きな財産は温泉でもありますが、その温泉に異変が起きています。

日本の温泉には「温泉法」という法律があり、温泉とは25度以上の温度や何かひとつの温泉効能鉱物があれば、温泉ということになっています。 日本の温泉の実態は、まず「温泉法」に規定されている温泉という定義が厳格ではなく、例えば、温泉水をタンクローリーで運んできて、水道水で薄めても「天然温泉」として商売ができます。また、お湯を1週間も交換せずにろ過して、殺菌して使い続けても「100%天然温泉」と名のることができます。現在は多くの日本の有名温泉も温泉水を節約するために循環式の温泉になってしまいました。温泉のお湯をろ過して循環させる温泉など信じられませんが、実態は湯船のお湯のろ過だけでなく、流し場のお湯までろ過して湯船に循環させている温泉もあるようです。

温泉は銭湯と違って、「1日に必ず一度湯船の栓を抜き清掃する義務」がありません。 清掃をしない循環式の温泉は、2001年8月に、宮崎県日向市の第三セクター・日向サンパーク温泉「お舟出の湯」でレジオネラ症集団感染が発生するという事件を起こしてしまいました。200人以上の患者と2名の死亡を出した事件は、地下から汲み上げた温泉水をタンクの中に貯めて循環させる「循環式浴槽」のタンクやろ過装置の清掃に手落ちがあったことがレジオネラ汚染の理由ではないかと指摘されました。

この集団感染事故の後に、厚生労働省は大型温浴施設を対象とした緊急一斉点検を実施しました。厚生労働省が点検した日本の温泉施設3万1735ヶ所で、55.4%の1万7454ヶ所の温泉施設が衛生管理に不備があり、1万7454ヶ所温泉の16.6%である 2908施設でレジオネラ菌が検出されました。

日本の温泉が、源泉ではなく「水道水で薄めて再利用を繰り返す循環式の温泉」になってしまって、表示されている温泉源泉の成分表と実際に入っている湯船のお湯とが違っても「100%天然温泉」と表示する温泉ビジネスにも大きな問題がありました。利用者に循環式ということを教えない温泉が循環式の温泉清掃を怠る事態に、厚生労働省は温泉業者に「日本の温泉は塩素消毒をする方針」を通達しました。水道水と同様に温泉にも塩素消毒を打ち出した厚生労働省の指導で、すでに全国のほとんどの都道府県は温泉の塩素消毒の条例を作りました。温泉にとっては、水道水塩素消毒の数倍、数十倍の塩素を温泉に使用する結果になりました。毎日湯船を清掃し、温泉源泉のお湯を循環式にしていない「真の温泉」も国や県から塩素消毒を強要されて、「日本の天然温泉」はすでに壊滅状況です。

表示されている温泉成分とは違って薄められた温泉の循環式温泉に入り、さらには塩素で水道水以上の塩素消毒をされた温泉を「100%天然温泉」と言われて入っている日本人は滑稽です。温泉に大量な塩素が使用されているということは、塩素消毒をされた温水プールにはいっているのと変わりません。 米国ピッツバーグのJ・アンデルマン教授は「15分間の入浴とシャワーは、1リットルの水道水を飲むことに等しい揮発性汚染物質の摂取量となる。」と発表しています。塩素は飲むよりはるかに皮膚から体内に吸収されやすいので、温泉成分と反応した塩素がどのような害を人体に及ぼすかという検証も十分にされずに、現在の塩素消毒は実施されています。

また、日本の温泉の多様な温泉成分に塩素消毒のための塩素を投入した場合、温泉にどのような新たな化学物質が生成されるかの実証試験はされていません。毎日数百人・数千人が入浴した湯船のお湯を毎日ろ過して、塩素消毒をして「天然温泉」と言われて入浴する日本人の実態は全くと言って情報公開されていません。 いかにビジネスといっても、「顧客のためにしてはいけないこと」があります。ビジネスのために、利益のために利用者に情報公開もせず、「天然温泉」ビジネスをしている温泉旅館や温泉宿など、もう一度、顧客利益のビジネスに立ち返って欲しいと思います。日本国民が日本の温泉の実態を知った時には、日本の観光と温泉業界は国民の信頼を決定的に失う結果になると思います。行政指導であっても、商売人のプライドとして「顧客のためにしてはいけないこと」は業界としても反対していく勇気が必要です。利益のために温泉水を循環させ節約し、コスト節減のために清掃を怠り、細菌汚染防止にために塩素消毒をする温泉など、ビジネスではないという「日本の温泉業者のプライド」を心から期待したいと思います。業者と行政に騙されつづける国民の生活ではなく、「ごく普通の国民生活」を取り戻す努力を問題から逃げずに、温泉業者も行政も取り組んでいただきたいと切望します。

全国規模の新たな「温泉の塩素汚染」を阻止して、日本の国民も貴重な温泉財産を取り戻す努力を国民のひとり一人が始めなければと痛感します。 美しく安全な日本の国土をこれ以上汚染することは、現段階で国民の具体的な責任と行動によって阻止しなければならないのです。

2004年5月24日に『観光立国推進戦略会議』が発足しました。「2010年には、日本を訪れる外国人観光客を1000万人に増やす計画」が始動します。昨年の外国人観光客は521万人で、観光客の世界ランキングでは日本は33位で、韓国より外人観光客が少ないことに対しての政府の戦略会議が設置されます。『観光立国推進戦略会議』は石原国土交通大臣が管轄で、数値目標の1000万人を目指しますが、日本観光の大きな財産である温泉行政は厚生労働省の管轄で、はたして観光立国戦略が可能なのでしょうか。 日本の温泉の現状を放置して、経済優先の観光客誘致の政策を推進しても、実態を外国観光客が知った時には、日本に来る外国人観光客などいなくなるのではないでしょうか。 経済優先、利益優先の政府施策も必要でしょうが、「企業の経営戦略や国家の経済戦略を策定する以前に、企業や政府のモラルやプライドを再構築し、基本に戻って日本の産業は最初から出直せ。」と感じるのは私だけでしょうか。

参考資料:「北欧通信」
発行日 発行No タイトル
2004.09.06 第9号  スウェーデン講演資料A New
2004.09.06 第8号  スウェーデン講演資料@ New
2004.08.16 第7号  世界遺産の旅
2004.06.21 第6号  スウェーデンから見た日本の福祉
2004.05.10 第5号  言語から見たスウェーデンA
2004.05.10 第4号  言語から見たスウェーデン@
2004.03.12 第3号  スウェーデン人から見た日本像
2004.01.27 第2号  スウェーデンのウメオ大学の生活
2004.01.08 第1号  スウェーデンの人材育成制度 

参考資料:「臥龍通信」
発行日 発行No タイトル
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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