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臥 龍 通 信 第70号 <2004.02.22発行> http://www.Nakajima-MSI.com |
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| ◆ 臥 龍 通 信 第70号 ◆ 21世紀の大学改革 |
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| 「21世紀の大学改革」 日本の大学が国公私立に関係なく、大改革が進行しています。国公立大学は独立行政法人の道を模索し、私立大学も少子化の学生減少で大きな岐路にあります。日本の大学の役割と存在意義が個々の大学で問われ始めているのです。 日本の大学は、これまで高校の延長である学生の高等教育機関として存在しましたが、大学がレジャーランドと化した時代に、大学卒業という学歴の内容価値も変化しました。学歴不問の大企業まで現れ、日本の大学の高等教育という内容が大きく信頼を失った時代が到来しました。日本の大学教育の崩壊と堕落が長い間放置されてきましたが、さらに少子化という問題で、日本の大学は大きな危機に直面しています。21世紀の日本の優秀な人材を育成する大学として、はたして日本の大学はその存在意義がある教育を行っているかという疑問です。「変わらない大学」や「変われない大学」を日本社会は21世紀の世界的な人材教育戦争の中でどのように変革していくべきなのでしょうか。今回は日本の大学について考えてみます。 日本社会に開かれた大学への改革 大学はどんな国家であれ、その社会における最高の人材育成機関です。高校の延長としての単なる学生の教育機関ではなく、社会全体の知性レベルを決定する大きな教育的役割があります。大学は単なる学生のためだけでなく、日本社会に生きている日本人全体の最高の高等教育機関であるはずです。しかし、現在の日本の大学は社会人の再教育の最高教育機関として機能してはいません。21世紀の加速度的に進歩する科学技術や経営手法研究に、大学卒業後に加速度的に陳腐化していく日本人の社会人知性は、現在放置されたままです。大学を卒業して10年も経てば、もはや大学の大学院で最先端教育を受け直さないと世界的な企業競争時代には追いついていけない時代が来ました。 日本社会のための日本人教育の最高機関として、大学卒業後も社会人大学院生を受け入れ、大学学部生よりも多くの社会人大学院生が学ぶ大学が日本には必要になりました。若い学生が経験豊富な社会人大学生や大学院生と学ぶ環境は、現在の学生には大きな衝撃となって現れるでしょう。 韓国では世界最先端レベルの大学・大学院教育が既存の国公私立の総合大学を超える規模で企業内大学・大学院で2000年にはすでに実施されていました。企業役員になるには、最新のMBA教育を再度受けることを要求され、査読論文も書けない経営者は排除されるなど、韓国の企業社会の知性改革は劇的に進められました。 中国では毎年、日本の国公私立大学全体を超える規模の新規大学設立が続いています。中国の大学生は大学進学の学部決定で大学側が成績で本人の希望とは関係無しに決定します。多くの中国人大学生は、大学側の決定した学部の勉強を教養としてしっかり勉強して、自分の好きな学科で将来の企業でしたい仕事に必要な学科勉強は独学します。将来の仕事にしたい学科は独学で勉強した分野という学生は多く、独学した分野で企業に就職して行きます。中国の大学生は大学で2つ(大学側の決定した専攻と自分が好きな独学の専攻)の分野の勉強をしっかりしています。 大学で必死になって勉強する大学生が日本の大学生の5倍以上もいる中国の10年後、20年後は恐ろしい知性大国変貌していると感じます。社会人大学・大学院生も中国では600万人(日本の全大学生数約250万人)以上が学んでいます。日本人が必要であれば知性の陳腐化を防ぐために、社会人として企業に就職した後でも、何度でも大学や大学院に戻ってきて学べる大学と日本人の知性へ根本的な考え方の転換が21世紀には必要です。 大学を日本社会の最高の知性教育機関として機能させるためには、これまでの教育カリキュラムや大学教員の内容に大転換が必要ですが、世界で進行する大学改革を日本だけが遅れていくわけには行きません。世界的な競争社会で知性の陳腐化を防ぐだけの世界最先端の知性教育を日本社会に開かれた日本の社会人全体に実施できる大学への改革は、レジャーランド大学を止めて、競争社会に直面する多くの社会人大学生や大学院生の教育を可能にする大学に変貌できるかということでもあります。 日本社会の要請に迅速に対応し、次々と新たな社会人教育カリキュラムを開発していく体制や高度な人材育成を可能にする学内評価体制など問題は簡単ではありませんが、この試練に日本の大学が対応できなければ日本の大学にも日本社会の働く社会人にも未来はありません。勉強しなくても卒業できる大学、学生だけの閉ざされた教育現場、時代の変化と要請を考慮しない教育カリキュラム、日本社会や企業社会と交流の乏しい研究内容など、日本の大学が変革されるべき問題は多くありますが、日本の大学の再生に私自身も協力していきたいと考えます。 私は母校の中央大学で講演や勉強会を2年ほど継続していますが、これまで1000人以上の学生が参加してくれました。大学生は大学をレジャーランドと思わされており、講演後に話してみれば学生はみんな学びたがっているし、人生を真剣に考えようとしています。学生に熱い情熱があるのを大学や日本社会が放置してきただけで、大学をレジャーランドにしてしまった罪は大人社会にあることが理解できます。大学生の現状を黙認し、放置してきた日本社会の大人達こそが大学の知性崩壊の責任者です。 私は変わろうとする大学生や大学院生、変えようと協力してくれる専門家の友人達と大学生や大学院生をこれからも支援していこうと思います。 @大学の総合広報機関の設置 学生だけでなく、日本社会に開かれた多くの社会人大学生・大学院生を勧誘するための総合広報機関の設置と説明会・セミナーの実施。 A大学学部の大学生・大学院生カリキュラムの総合検討機関の設置 日本社会と時代の要請を考慮した教育カリキュラムの企画・開発の専門機関。 教育カリキュラムの評価・統廃合・新規設置などの権限を持つ。 B企業社会と学生の距離をなくす学生インターンシップの総合窓口の設置 学生を単純労働のアルバイトではなく、企業の実務経験を促進させる企業インターンシップの交渉・宣伝・実施・相談の専門機関の設置。 C学生・社会人に関係ない教育評価の厳格化と単位認定の総合評価機関の設置 勉強なし卒業、ばらまき単位の再検討。教育カリキュラムの単位認定方法の企画・開発・評価を総合的に行う。 D科研費に頼らない大学と企業との共同研究の促進機関の設置 企業内研究業務のアウトソーシングとしての大学研究機関の役割強化。具体的な企業研究の多くを大学の研究資源を有効活用して対応する体制を確立する。 E大学知的財産の総合管理機関の設置 大学の知的財産である大学の教育カリキュラムや学生・教員の論文や研究過程での特許、著作権、商標(ブランド)といった大学の知的財産所有権の明確化と有効活用による収入の確保。 F国際的な人材育成のための徹底した学部大学生への外国語教育の徹底 英語教育だけでなく、欧州各国語や中国語や韓国語などのアジア語教育を徹底し、3ヶ国語の実力を持つ学生の育成を徹底して行う。 G海外の大学との交流研究の強化 欧米の有名大学ばかりでなく、北欧やアジアの大学との研究交流や学生交流を積極的に促進する。制度面で世界的な競争力を持つ北欧の大学や今後台頭するアジアの大学との大学交流を促進し、共同研究を可能にする国際交流の専門機関の設置。特に、翻訳・出版にコストがかかる海外の統計資料の翻訳・分析・比較研究には、大学の留学生や海外大学の協力は不可欠である。 H大学を卒業した学生や社会人を放置しない大学コミュニティの創設 大学を卒業した学生や社会人を放置せず、新たな大学OBのコミュニティで、様々な相談や要望に対応する支援機関の設置。大学を卒業した大学生・大学院生などの学術的で専門的な社会人活動を強力に支援する大学OBの社会人コミュニティの運営や支援を行う。 I大学を中心としたコミュニティによる新たな起業の支援 大学を中心とした学生、大学院研究者、大学教授、大学OBの専門家集団のコミュニティを核とした大学発の新規事業起業を活性化する。経験豊富な大学OBの専門家集団が大学の研究成果や新たなアイデアの起業に協力して、様々なアドバイスや支援が可能なコミュニティの創設を大学が強力に支援し、施設や備品の利用などにも協力する体制を整備する。 J大学で学んだ社会人専門家の能力活用 大学で学んだ社会人専門家の能力を活用した大学カリキュラムの開発、高度な専門性のある社会人専門家OBの大学教育への参加を促進する機関の設置。時代の要請に即応した教育プログラムの企画・開発・実施に社会人専門家OBの参加を実現する。 K企業社員教育のアウトソーシングの推進 日本企業の社員教育の業務を大学が大規模に、教育企画から開発・実施・評価までを大学から業務委託する体制を確立する。基礎教育・語学教育・専門教育など多くの企業教育プログラムを社会人専門家OBの協力によって、時代の要請に即応した業務委託が可能な体制を確立する専門機関の設置。 L大学に存在するサークル・同好会の再検討と支援 大学から発生する組織的な活動を放置するのではなく、大学として評価し支援する体制を確立する。学生の自助独立の精神を尊重し、適切なアドバイザーを派遣して大学としても社会的な活動には支援していく。遊ぶためのサークルやイベントばかりやっているサークルが大学に必要なのかの検討も行う。 具体的に大学変革の13項目ほどあげましたが、13項目だけでも日本の大学が具体的に実施できれば、日本の大学も大きく変わり、日本社会も大きく変化するでしょう。 M大学と実社会を行き来する日本人の知性創造サイクルの確立 大学で学び、社会人として多くの現実を経験し実社会で学んだことを検証し、さらに高度な専門性を大学に求め、また実社会で具体的に検証していく日本人知性の高度化サイクルが大学という日本最高の研究教育機関を中心に確立する。 日本の大学が、日本社会の現実の中でその価値が検証され、新たな社会現象や科学技術の解明のために大学で企業社会人がさらに学び、新たな検証が実社会の中でなされる日本人知性の高度化サイクルが日本社会で実現することは可能だと考えます。 スウェーデンの大学制度を考えても、日本に新たな知性創造のサイクルが大学を中心に可能であることは明らかです。問題は、現実にしていく勇気と覚悟が日本社会にあるかということだけです。スウェーデンはすべての大学が国立で、大学の入学金や授業料はなく、学生の負担は教科書代だけで、国民は生涯学びつづけることが当然と考えています。社会人が毎年新年には今年は何を学ぼうかということが、友人同士や家庭で話題となる社会はうらやましい限りです。学びつづける家庭生活や両親を持つスウェーデンの子供達は日本の子供達とは明らかに勉強する意識が違ってくるでしょう。 参考資料:北欧通信「スウェーデンの人材教育制度」 http://www.nakajima-msi.com/tooyama/hokuou01.htm N大学や研究者間の交流を促進するための学部学生の大学院進学制限 大学学部の卒業生の同大学院進学を制限し、大学院進学希望者は必ず他大学大学院に進学する制度の創設。大学間の交流や大学研究者の交流を促進し、日本全体の大学研究者の研究活動を活性化するためにも、大学間大学院進学の交流制度は不可欠。 日本の大学は大学間交流や大学研究者間の交流の活性化は、大学の閉ざされた研究環境を改善する方法としては大変有効です。学部から大学院まで継続して同じ大学で研究するというのは、日本全体の研究者知性交流のためにも制限する必要があります。 O大学院博士課程修了者は同大学の教員として従事することへの制限 大学の博士課程を修了して、講師などの大学教員として従事する場合は、同じ大学ではなく他大学で従事する制度も日本の大学には必要です。学部の大学と大学院の大学と教員として従事する大学が異なることは、大学の研究者の交流と研究の活性化には不可欠な条件で、日本の大学教育を大きく変えることになります。 P大学生に学ぶインセンティブを与える制度の確立 大学学部の学生・社会人の区別なく、1学年ごとに学業成績上位者1%に学年最優秀学業賞を与え、次年度年間授業料を無料とする制度の創設。 大学の学業における卒業後の経歴や授業料の免除というインセンティブを学生に与え、大学本来の学ぶ大学生への賞賛の制度を大学や社会で認知していく制度。 大学に入学後、1年間の学業成績上位者に対して、次年度の授業料を免除し、毎年の学生学業評価で次年度授業料の免除と最優秀学業賞の授与を継続する。 学生は1年次、2年次、3年次の3年間に上位成績1%の最優秀学業賞を授与された場合、最大で大学3年間の授業料が無料となる。大学における最優秀学業賞は卒業後の経歴や履歴として、社会的にも評価されるような大学の広報活動も実施する。 大学はその国家の最高教育・研究機関であり、その在り方は21世紀の日本社会の経済発展だけではなく、日本国民全体の知性まで決定するという認識が必要です。大学は単なる高校の延長の就職に必要な学歴を得るための教育機関であってはいけないのです。日本国民は高度な知性の日本人の最高教育機関である大学改革を他人事に考えては、自分の子供の教育だけでなく、世界的な競争社会に対応した21世紀の高度な日本人社会を創造する優秀な人材の教育もできません。大学は日本社会で最も重要な国家の最高知性の教育機関であり、21世紀の日本を創造する最も重要な研究機関であるという国民全体の認識が大学の在り方を変革していきます。 他人が変えてくれる社会変革を待つか、自らが社会変革の当事者になるか。自らが望む社会は自らが行動し獲得していく日本人の覚悟と行動が必要です。 参考資料:「北欧通信」
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| 中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋 隆 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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