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臥龍通信

臥 龍 通 信 第66号 <2004.1.10発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 66号 ◆
    年金問題の本質

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 ◆ 臥 龍 通 信 第66号 ◆
   年金問題の本質
年金問題の本質

日本の年金問題が大きな政治問題として議論されています。年金は赤字と言われている事実や少子高齢化の問題が必ずしも国民に理解されているとは思えません。年金赤字や高齢化による危機感で政府は来年度から年金負担は増加していきますが、ほんとうに増税が今必要なのかを検証します。

現在の年金は赤字であると盛んに宣伝されていますが、本当に赤字でしょうか。 まず2001年度で 年金の収入は、 掛け金が約27兆円 税金が約6兆円で、合計約33兆円です。 年金の支出(給付)は、 厚生年金が約21兆円 国民年金が約12兆円 共済年金が約7兆円で、合計約40兆円です。 単純に計算すれば約7兆円の赤字です。 しかし、年金にはこれまでの年金の貯金である積立金があります。 国民年金が約59兆円 厚生年金が約137兆円 その他が約30兆円で、年金の積立金は合計約226兆円という莫大な金額があります。

この年金積立金は財務省に集められ、様々な政府関係機関で投資などによって運用されています。 最近は、資金運用率が下がりましたが約7%の運用利益をこれまであげてきました。 年間約14兆円以上の利益を上げ、積立金運用利益と年金収入を足せば、年金はこれまで黒字でしたが、運用利益が3%も稼げないために下がってしまったので現在は赤字になっているだけです。 つまり、年金の赤字という政府のお話は、年金の積立金は使わないで年金の収入と支出が高額の給与と退職金の天下り官僚が行う資金運用の失敗によって、予定した運用利益を上げられず単純に赤字になったと言うことです。

また、年金積立金は国民年金支出の不足のために用意されていますが、現実は国民年金の支出には使われることはありません。足りなくなれば、増税で補填され年金積立金から使って黒字にするという発想はありません。 年金の積立金約226兆円は国民の年金の補填ではなく、あくまでも官僚の天下り先のための機関資金としてプールされるのです。年金の赤字は、年金の積立金の運用利益を上げられないための赤字であり、年金積立金の約226兆円の資金運用による不良債権は公表されていませんが、不良債権額はかなりの額になりそうです。

年金積立金の運用に失敗しても、損害は国家が補填することになっていますので、年金の積立金が戻ってこないということはありませんが、国家の負債として国民の税金負担となって、最終的には国民に年金資金運用の失敗責任がかかってきます。 日本のGDPの約50%にもなる約226兆円の年金積立金は、運用に多くの組織や人員が必要で、財務省や厚生労働省の天下り先は永久になくならない規模の資金です。国民の年金支給のための年金積立資金は、年金赤字の補填ではなく元公務員の高額の給与と退職金を支給する運用財団の天下り先の資金として利用され、運用に失敗しても責任を追及されず国家が責任を取るという構造が年金問題にはあります。

年金の収支が赤字であることを宣伝して、年金積立金を少しでも長い期間維持したい理由が、まるで官僚の退職後天下り先確保のために見えるのは私だけでしょうか。年金総支給額の不足分、約5年から10年分以上の年金積立金があるのに、それは使わず収支が赤字だからすぐに増税するというのはどう考えても納得がいきません。年金積立金の運用が赤字や不良債権化したからといって天下り官僚は責任を取ることもなければ、問題にもなりません。運用の失敗もすべて国民の増税でさらに補填されます。 国民は年金を払い、その年金資金は勝手に運用され、運用に失敗すれば増税で、運用利益が足りなければさらに増税で年金の制度は維持されていくのです。運用機関に天下った官僚の高額の給与や退職金は、運用に失敗しても関係なく支給され、国民の年金資金が不良債権化しても民間企業のように責任を追求されることもありません。

政府は年金の掛け率約13.5%を段々上げて年収の18.35%を政府は目指しています。 今検討されていることは、パートやアルバイトからの年金徴収です。週に20時間以上働くパートやアルバイトから年間約10%以上の年金を徴収しようという案が検討されています。パートやアルバイトは所得税にあたる源泉徴収をすでに給与の約10%を支払い、今度は年金でさらに10%以上徴収しようとするわけです。パートやアルバイトの収入の約20%以上が、これからは税金と年金で徴収されようとしています。学生や主婦からも年金を徴収することで、政府は約6000億円の年金資金が増加すると試算しています。

日本の官僚に外資系金融機関並みの資金運用益年間20%を望みはしませんが、せめて運用益10%くらいは努力して欲しいと思います。そうすれば、年金積立資金約226兆円で年間約22兆円の運用益が実現するのですが、現実は外資系金融機関の運用益20%に対して、日本の最も優秀な官僚による運用益は2%前後に落ち込みました。外資系金融機関は20%を達成できなければ無能であると社長や役員はクビですが、日本の官僚は無能という意識もなければクビにもならず、日本最高の頭脳集団として君臨しています。

年金の運用を効率的に行えない政府の国家経営力に大きな問題があるのは確かなことです。2004年度の国家予算は約82兆円で、約17兆5000億円が国債の返済(借金返済)で、実質は64兆5000億円が使える予算です。税収などの収入は約46兆円でとても実質予算64兆5000億円に足りず、国債による新たな借金が約36兆円です。膨大な借金をして国家経営をする政府など考えもできない状況が、国民の借金を増やす国家経営で、国民の将来の大増税を意味するという危機感をもって国民には理解されていません。

国家GDPの7%以上の借金をして国家経済を支えているが、やっと経済成長2%程度の予測とは日本のGDPは実質マイナス5%以上と言うことではないかとも考えるのです。 政府と地方の借金の総額である長期債務残高は2004年末で、すでに719兆円で国家GDPの1.4倍になりました。2004年の日本の国家経営は約36兆円の借金をして、17兆5000億円の借金返済をして、借金を返すために新たな借金を繰り返す国家経営は国民に莫大な借金を増加させ、政府と地方には719兆円の借金はさらに増えるばかりというのが日本の国家経営の実像です。 好き勝手に国民の税金を使い、足りなければ増税してくる政府をなぜ日本国民は支持しているのか。国家経営力のない政府を我慢できる日本国民の鈍感さが、まったく私には理解できません。

国民に正確な情報開示をしない政府。
国民に説明責任を果たせない政府。
借金返済のための借金を繰り返す政府
減らすことを知らず、足りなければ国民に増税するしか方法を考えられない政府。

年金積立金があれば厚生省の職員退職者が数千人でも天下り先を確保できると語った官僚の言う通りになった年金制度は、制度自体の問題点を十分に議論せずに増税されることになりました。情報は開示されており、知ろうとしない国民が悪いと意見もありますが、国民の無知を利用する国家組織に日本の政府はいつ変貌してしまったのでしょうか。 年金問題の本質を考えると、日本の国家経営の無能と腐敗をあらためて痛感します。 米国に頼らず堂々と米国と対峙し、米国の影響を排除した新たなアジアの盟主"中国"の出現を目の前に、日本の残された富の再配分に日本国民がお互いに戦っている場合ではありません。中国は秦の始皇帝の時代から、大漢帝国、大宋帝国、大モンゴル帝国、大唐帝国、大明帝国、大清帝国と世界に誇る大帝国の歴史が中国にはあり、数千年の歴史の中で100年ほど停滞しただけの中国が再び大帝国として大きな唸り声を上げ始めています。アジアの大帝国"中国"の復活に、米国頼りの日本は21世紀の新たな人類社会の中で漂流し始めています。

参考資料:「北欧通信」
発行日 発行No タイトル
2004.09.06 第9号  スウェーデン講演資料A New
2004.09.06 第8号  スウェーデン講演資料@ New
2004.08.16 第7号  世界遺産の旅
2004.06.21 第6号  スウェーデンから見た日本の福祉
2004.05.10 第5号  言語から見たスウェーデンA
2004.05.10 第4号  言語から見たスウェーデン@
2004.03.12 第3号  スウェーデン人から見た日本像
2004.01.27 第2号  スウェーデンのウメオ大学の生活
2004.01.08 第1号  スウェーデンの人材育成制度 

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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