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臥龍通信

臥 龍 通 信 第59号 <2003.08.20発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 59号 ◆
    国連(連合国)問題と日本外交

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   国連(連合国)問題と日本外交

国連(連合国)問題と日本外交

最近、国連問題が盛んに話題となっています。"国連"という名称の問題や"国連憲章の敵国条項"、また北朝鮮拉致問題の国連決議、国連分担金など多くの問題が話題となっています。今回は、話題となっている国連問題について特集します。

「国連の名称問題」
まず、「国連の名称問題」がありますが、日本では「United Nations」を「国際連合」と訳していますが、正式には「連合国」が正しいという議論があります。つまり、「United Nations」は、第二次世界大戦の「連合国」という意味であり、日本で言う「国際連合」という意味とは違うというわけです。ドイツや日本を敵国として戦う「連合国」が日本人の言うところの「国連」であって、現在すでに戦争が終結して国連の機能が変わっているから大きな問題ではないという政府(外務省)の議論もありますが、「国連」が「敵国」に対する「連合国」の組織であるという名称問題は、日本だけの名称で世界中では「連合国」の意識で「国連」を考えているとすれば、日本の「国連」における地位は、日本が考える国際協調の場とは違ったものになると言えます。「国連」という名称を「連合国」という名称に変更するべきだという議論には「国連」の役割を考える上で一理あります。

「国連の敵国条項」
国際連合(連合国)憲章には、敵国条項というものが現在もあり、国連(連合国)憲章53条と107条に敵国であった日本、ドイツ、イタリアなどの七カ国が国連憲章に違反した軍事行動を起こした場合、国連(連合国)は国連決議等の拘束力に優先して軍事制裁ができると規定しています。 すべての敵国が国連加盟国となり、敵国条項は死文化していると、1995年12月の国連総会において敵国条項の削除を求める決議が、賛成155の圧倒的多数で採択されましたが、現在も国連(連合国)憲章の敵国条項の改訂は実現していません。 つまり、国連(連合国)憲章には第2次世界大戦中に連合国の敵であった国々に対して、安全保障理事会の許可がなくとも軍事制裁(武力行使)を取り得ることなどが記載されています。敵国の具体的な国名は国連(連合国)憲章には明記されていませんが、日本、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの7ヶ国が敵国条項の対象国と考えられます。敵国条項の規定が改訂されるまでは、やはり「国連」は「連合国」であるという意見は具体性がないという判断も日本の外務省にはあるようですが、このような問題があることも知らずにいた日本人の在り方が問われています。

「国連(連合国)予算分担金問題」
「国連」が「連合国」であることは、安全保障理事会の常任理事国が米国、英国、フランス、ロシア、中国であることでも理解できます。特権的な拒否権を発動できる5大国の権限は、「国連」が相変わらず「連合国」であることを想像させます。日本は「国連(連合国)」での予算分担金を2003年度は米国の22%につぐ19.5%を負担しています。安全保障理事会の常任理事国で英国が5.55%、フランスが6.46%、中国が1.53%、ロシアが1.2%であるならば、日本は権限もない敵国条項の国家であるので19.5%の負担金ではなくて、ロシアより低い1%程度でも十分であるという意見は日本人なら当然と考えるでしょう。

「北朝鮮拉致問題の国連人権委員会」問題
2003年4月16日に、国連人権委員会は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人権状況を非難し、日本人をはじめとする拉致問題の全面解決を要求した決議を賛成多数で採択しました。北朝鮮を非難する決議は欧州連合(EU)が4月10日に提出して、日本や米国も共同提案国として参加しました。 決議案には28ヶ国が賛成し、ロシア、中国、キューバなど10ヶ国が反対を表明しました。14ヶ国が棄権し、韓国は投票に参加せず欠席して意思表示をしませんでした。

「賛成の28ヶ国」は、アイルランド、アメリカ、アルゼンチン、アルメニア、イギリス、ウクライナ、ウルグアイ、オーストラリア、オーストリア、カナダ、ガボン、グアテマラ、クロアチア、ケニア、コスタリカ、サウジアラビア、スウェーデン、チリ、ドイツ、日本、パラグアイ、ブラジル、フランス、ベネズエラ、ペルー、ベルギー、ポーランド、メキシコ でした。
「反対の10ヶ国」は、 アルジェリア、キューバ、シリア、ジンバブエ、スーダン、中国、ベトナム、マレーシア、リビア、ロシアでした。
「棄権の14ヶ国」は、インド、ウガンダ、カメルーン、コンゴ、シエラレオネ、スリランカ、スワジランド、セネガル、タイ、トーゴ、パキスタン、バーレーン、ブルキナファッソ、南アフリカ でした。
「欠席は1ヶ国」で韓国が欠席しました。

北朝鮮の日本人拉致の問題解決に、「反対」の国家が10ヶ国も存在することは驚きですが、同じ拉致被害を受けた韓国までが「欠席」とは信じられないという心境です。「国連(連合国)」という国際協調の場で、敵国条項は削除されず、権限も制限され、分担金は膨大な金額を負担し、日本人の拉致問題解決にさえ反対する国家があり、日本人拉致問題解決の決議に反対の投票をした国家には、日本人の税金から膨大な政府援助までしている状況は、もはや悲しいというしかありません。そして、韓国までが「欠席」とは韓国の現政権を疑ってしまいます。「国家政府」と「国民」の意識が違うことはありますが、それにしても「国連」の場での「国家政府」の決断は、日本国民の税金から巨額な国連負担金を負担している意味を考えてしまいます。
国連分担金は通常予算とPKO予算があり、日本は2002年度にPKO分担金額を約22億8400万ドル(約2741億円)負担しています。2003年の国連通常予算の日本分担率は19.5%で分担金額は2.63億ドル(約316億円)で、米国に次いで第2位の負担国となっています。 また、日本の政府援助であるODAの平成15年度政府予算は8578億円にもなり、日本政府から援助をもらっている国家には、日本人拉致問題の解決に反対している国家もあるということは、日本国民の税金を使ってODAを実施する日本政府官庁や外交を担当する外務省も考えなければならない状況と思います。 日本国民の税金から援助はもらっても、日本国民の拉致問題解決には協力しない国家には、日本政府としても拉致問題解決反対国に対する曖昧な態度は日本国民に対しても許されないと考えます。棄権の14ヶ国や欠席の韓国にも忠告は必要ですし、少なくとも日本人拉致問題に反対を表明したアルジェリア、キューバ、シリア、ジンバブエ、スーダン、中国、ベトナム、マレーシア、リビア、ロシアに対しては、何らかの日本国民を代表する政府としての抗議と圧力が必要です。 また、日本に対する「敵国条項」や「国連の権限」の改善がなければ、日本の国連分担金の負担率も再度検討する必要があります。

「北朝鮮越境者問題」
日本のNGOが北朝鮮国境越境者を「脱北者」と称して、亡命活動の協力を中国国内で行っています。先日も、日本のNGO責任者が中国公安当局に拘束されました。中国の国内法で「脱北者」は「不法入国者」として扱われ、北朝鮮に送り返されることになっています。日本人が「人道支援」という名目で、個人として中国の国内法に違反してまで不法入国者の協力をするのであれば、最後までその犠牲の精神を貫いて欲しいと思います。中国公安当局に拘束され、いかなる刑罰も甘んじて受ける覚悟で「人道支援」を実行するのであれば、すばらしい覚悟と言えますが、中国公安当局に拘束されれば、日本政府に助けを求めるようでは、「人道支援」の内容が疑われます。他国に入国し、明らかに違法であることと認識しながら違法行為を犯すのであれば、拘束されて違法行為を免除する措置を日本政府に要請しないでほしい。もし、中国政府が「釈放」を条件に10億円の経済援助を要求してくれば、一人の日本人の勝手な行動に国民の税金10億円が無駄になるのです。一人の国民の勝手な行動に国家と国民は大きなコスト(罪の免除と釈放の交換条件)を覚悟しなければならなくなります。

北朝鮮の政府が自国民をどんなに苦しめていようとも、それは北朝鮮という国家の問題で、北朝鮮の国民を助けたいと思うのであれば、まず国家として日本政府に行動させる義務が日本人にはあります。他国の政府が気に入らないから、個人として反政府(北朝鮮からの離脱は北朝鮮政府から考えると反国家行為ともいえます。)の人間を中国当局の法律まで違反して中国国内で支援するなどということは、拘束されればどのような扱いが待っているか考えるべきです。「人道支援」の代償として、中国で裁判になり服役する覚悟もなく、中国で拘束されるとすぐに日本政府の救助を求めるようでは、「人道支援」の精神と本人の覚悟が疑われます。日本政府としても、政府を無視して勝手なことをしておいて、困れば助けてくれでは「人道支援」団体も日本政府の「厄介者」にすぎません。そんなNGOの代表など拘束されても助ける必要などないのです。中国人であれば明らかに違法行為として処罰される行為を、日本人だから処罰しないでは中国政府と中国国民の法の平等に反します。中国で刑務所に入れられる覚悟でNGOは活動しているのだから、日本政府は他国内で違法行為を行うNGOなど関知しない方が良いのです。米国の強大な軍事力を背景にした米国のNGOと日本政府の支援も受けていない日本のNGOとは、同じNGOでもできることが違うという意識が必要です。

日本政府が、国家として「脱北者」を「難民」として受け入れるように政府を動かすのが、まず日本人としてのやるべき第一歩で、日本政府の「難民」受け入れと「支援」の意思もないままに、日本国民が勝手に他国の国内で違法とされている「脱北者」の支援など、するべきではないのです。他国の国内で勝手なことをしておいて、困れば政府に助けてくれというNGOの報道は、日本人として恥ずかしくてたまりません。他国に出かけていき、他国政府や法律を無視した活動をすれば、どんなことが待っているかを十分に考えない日本人の行動はほんとうに愚かです。「脱北者」を「難民」としてうけいれない国家の国民が、「脱北者」を支援し他国への亡命という「他国の迷惑の種」まで作り出している現状は、日本の報道機関も十分に考えるべきです。日本人が勝手に中国で「脱北者」の亡命を支援し、日本は「難民」を受け付けず、頼んでもいない韓国政府や米国政府への受け入れを要求する活動など、国際的にも迷惑な活動で、日本政府は中国や韓国や米国に対して「難民問題」を拡大して困らせたいのかとも疑われます。日本に数万人の「脱北者」を受け入れる覚悟もないのに、日本のNGOは亡命先国家の迷惑も考えない「脱北者」の亡命支援などするなと関係各国から抗議が来そうです。我々がすべきことは、日本政府を動かす覚悟と行動であり、目立つだけの責任意識のない日本のNGOの「人道支援スタンドプレー」ではありません。自国政府も動かすことのできない国民に、他国国民に対する「人道支援」などおこがましいのです。日本人の個人の気持ちで、多くの政府に迷惑をかける「迷惑人道支援」を「美談」と扱う日本の報道機関の良識も疑ってしまいます。他国に対する自分勝手な感情のお節介も度がすぎると国際問題となります。NGOだからといって、国家の主権を甘く見ていると、今後の日本のNGO活動に大きな禍根を残すことになります。日本のNGOは他国の法律を尊重もしないし、平気で他国法律にある違法行為を行い、拘束すれば日本政府に助けを求める迷惑団体だとは言われたくないものです。日本人の良識が国際的にも問われています。

関連資料:「臥龍通信」
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥龍通信第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第109号「東シナ海ガス田問題」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のイネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」
臥龍通信第93号 北朝鮮問題
臥龍通信第60号 日韓の近代・現代史
臥龍通信第59号 国連問題と日本の外交
臥龍通信第50号 朝鮮半島の中国と米国の関係
臥龍通信第43号 日本の安全保障

参考資料:
発行日 発行No タイトル
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革


中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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