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臥龍通信

臥 龍 通 信 第58号 <2003.07.10発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 58号 ◆
    国家経営力(2)

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   国家経営力(2)

国家経営力(2)
圧倒的な組織経営の敗退

「経営」ということを考えると、「企業経営」がまず考えられますが、組織経営の歴史は「企業経営」よりはるかに永い「軍隊組織の組織経営」があります。現在の企業経営は、経済発展とともに、「軍隊組織の組織経営」から多くの経営手法を学びました。 人類の歴史を考えてみると、圧倒的な資金力と人材力と技術力の強大な軍隊組織が、資金も人材も技術もない弱小な軍隊組織に敗北し、滅んできました。アレクサンダー大王とペルシャの戦いやモンゴル帝国の世界制覇は、通常の考え方では理解できない勝利を実現しました。
日本の歴史でも、平家一族と源氏一族の戦いや室町幕府連合と織田信長の戦いや幕末の徳川幕府軍と薩長連合軍の戦いを考えても、圧倒的な組織経営に乏しい組織経営が勝利するという、通常では考えられないことが起こりました。薩長連合軍は約50倍という圧倒的な軍事力だった幕府連合軍に勝利したのです。莫大な資金と人材と技術がある強大な組織経営も、乏しい組織経営によって各個に撃破されれば、どんなに強大な組織も崩壊してしまいます。10万人の軍隊も総合力を発揮できず、1万人の軍隊単位でしか機能しない状況では、2万人の軍隊に1万人が包囲され各個に撃破されて、滅亡してしまいます。 巨大な組織経営の総合力を、どのレベルまで発揮できるかは、組織存亡のカギでもありました。

国家という巨大な組織を経営する国家組織経営力が、どのように発揮されるか。国家の存亡はまさに国家経営力にかかっています。 朝鮮半島での戦争の可能性が盛んに論議されていますが、1994年までは韓国の大統領が平事の韓国国軍の統帥権を持っていませんでした。現在も、戦争が起きた場合の有事の韓国国軍統帥権は在韓国連軍総司令官が持っており、韓国大統領の指揮下にはありません。どうせ、国連軍に守ってもらっているのであれば、軍隊の指揮権も国連軍に任せてしまおうという発想は、いかにも現実主義を重んじる韓国的な発想です。どうせ軍隊の指揮権を使いたくない日本政府であれば、国民の安全のためには自衛隊の有事の指揮権は韓国と同様に在日米国軍司令官に任せてしまうことも考えられます。また、現実主義の韓国人的発想をすれば、日本は米国に守られて国際社会で経済活動をしているのだから、米国の51州目の日本州になってしまうこともいいかもしれません。約2億6500万人の米国に約1億2500万人の日本が参加すれば、米国の約3分の1を占める人口と経済力で、米国の民主党と共和党が支持母体1億数千万人ですから、日本は日本人を中心にアジア党を結成し米国大統領を生み出す一大勢力として、米国政治に参加するのも面白い選択です。米国の一州として、米国の強大な軍事力と経済力に守られ、米国大統領まで日本人にしてしまう挑戦はなかなか面白い選択で、中国やロシアや北朝鮮などにも無視されずにすみます。北朝鮮の日本人拉致問題など、起きようもなかったでしょう。 中国人の発想には、最も強い指導者に税金を払い経済活動に専念し、一族の繁栄を実現するという考えがあります。中国よりも強い英国の支配は、香港にとっては幸福な選択でした。アジアの現実主義は、国民の安全を第一に考えます。日本国民を守れない政府など存在意義さえなく、税金を支払う対象にさえなりえません。民族は国家を超越した存在です。国家が滅亡することと民族が滅亡することは、同じではありません。国家の滅亡は支配の滅亡であって、民族の滅亡ではありません。民族の滅亡とは、民族が地球上から消滅することを意味しています。国家支配がどうであれ、日本民族の未来永劫の繁栄を考えれば、国民を苦しめる国家体制など滅ぼしてしまうくらいの民族としての覚悟が必要です。

韓国では、李承晩大統領を退陣に追い込み、米国に亡命させた民衆デモは、最初、京畿高校の学生が蜂起し、ソウル大学生が続き、その他の大学生や市民が参加した大規模なデモとなりました。最前列の京畿高校生やソウル大学生は銃で撃たれ、死亡した者も出ましたが、これ以後ソウル大学生はいつでも政府を倒すことができるという自信を持ち、市民も政府はいつでも倒せるという意識で政府を考えるようになりました。政府を倒した高校として、京機高校は今でも忘れられてはいません。ソウル大学の京畿高校出身者は『京畿会』を結成し、『京畿会』出身者のソウル大学生こそが真のエリートとして社会的に認知され、多くの長官(大臣)など高級官僚を輩出するようになりました。
韓国国民にとって、政府とはいつでも倒せる一時的な政治体制であり、強大な権限を大統領が私的に行使すれば、韓国国民の全国的な数百万人の蜂起が起きるでしょう。強大な権力を国民のために行使できない大統領や官僚組織は、つねに韓国国民から追放の危機にさらされます。命をかけて政治を変革するという韓国の民族性は、到底日本人のまねできるところではありません。政府と国民の間の緊張感が今の韓国の政治と経済を支えています。国民自ら血を流しても政治を改革するという経験のない日本人には韓国の政治は想像もできません。

一方、国民のための国家経営を最優先に考えるアジア的な現実主義は、卓越した国家経営者の登場で加速度的に進んでいます。国家経営とは、国民から税金を取り使うことだけで、足りなければ増税までして、自らの国家経営を反省するでもなく、政党政治の党派批判に明け暮れることではありません。国家経営が悪化している中で、国家経営者の内輪もめなど、もう国民には関係のないことです。強大な日本の資源と資産を有効活用できない国家経営者の日本で、無能な国家経営者と一緒に滅ぶか、また流血の国民蜂起と国家経営者の追放という、もはや究極の選択が頭に浮かびます。
アジアの国家経営者が最大のビジネスマンとして、国家経営を始めれば、国家規模の資金と人材と技術を動員できます。日本の大企業では到底対抗できない規模の技術開発やビジネスが始められます。アジアにおける経済戦争は、すでに国家経営者による国家資源と資産の総力戦であることを考えれば、数千人の世界レベルの研究者や数百億円、数千億円の集中した投資が可能になります。日本の大企業といえども単独では、アジアの経済戦争に投入される知性や資金に対抗できない企業競争がアジアで始まっています。強大な資源や資金を有効活用できない国家経営者に守られた経営力のない企業経営者の日本の大企業は、アジア政府を相手に分散した孤独な戦いを続け、各個に撃破されて敗退していきます。日本の復活は企業経営力の復活より先に国家経営力の復活が不可欠であり、国民の決断の時期がきていると思います。

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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