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臥龍通信

臥 龍 通 信 第57号 <2003.07.10発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 57号 ◆
    国家経営力(1)

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   国家経営力(1)

国家経営力(1)
時代遅れの政党政治と官僚制度

永田町は総裁選挙と国会解散の準備に大忙しのようです。『日本の知性はしんだのか?』で展開している「日本の政治や官僚機構」と「国家経営力」という視点で、今回の臥龍通信をお届けしたいと思います。

日本という国家には、まったく国家経営という視点が失われたようです。日本の政治とは政党間の権力闘争というまったく時代遅れの政治体制になってしまいました。国家経営者たる政治家が政党間で権力闘争している時代ではないのに、国民不在の権力闘争に明け暮れています。国家経営力が急速に衰え、国家経営の危機に直面している現在、国家経営者たる政治家が政党間闘争をしていては、日本の国家経営はどうなるのでしょうか。
企業経営で考えれば、経営が悪化しているのに経営者会議の社長派と専務派がお互いの批判に明け暮れているようなものです。国家経営の管理職ともいえる官僚組織ですが、できるだけリストラされないような経営トップを担ぎ、組織の存続を画策するという現在の国家経営の在り様は、国民にとって悲劇というしかありません。

国家経営を企業経営で考えれば、国民は企業の所有者である株主の存在です。株主から見れば、企業経営が悪化している企業の経営陣の派閥争いなど、許しがたいことです。全員総辞職の処置になるのですが、日本の国家経営者はそうはいきません。 日本は法治国家ですから、法律に従ってすべてが動くとすれば、国家経営のスピードは国会の4年から5年遅れの法案にしたがって動くしかありません。国民がどんなに困っていても、法律がなければ、政治家も官僚も何もしないでいいし、責任も法律がないことで免除されます。法治国家であるまえに日本は人知による人治国家であるはずです。卓越した国家経営力の政治家と官僚をなぜ日本人は生み出せないのでしょうか。
国民の税金を使うことしか考えない政治家と官僚は、使う資金が足りなければ国民に増税だといいます。日本の膨大な政府予算を効率よく運用して、日本国民の税金を半分にするとなぜ言えないのでしょう。韓国の国家GDP約50兆円を超える約82兆円(一般会計)の国家予算を持ちながら、日本の国家経営者はなぜ国民を幸福にできないのでしょうか。 日本の国家予算の特別会計は約369兆円を運用しています。外資系投資会社の資金運用利益は年20%で、それ以下の運用利益では撤退します。外資系のように上手く運用してくれれば、特別会計から約74兆円の利益が生まれます。企業と国民の税金をほぼゼロにできる金額です。日本の第一級の知性集団が政治家と官僚組織であるならば、外資系投資会社以上の運用をして、国家予算の約82兆円を稼いでみせろという心境です。そうすれば、国民の税金はゼロになり日本経済は20%以上の経済成長を達成し、日本経済も復活するでしょう。外資系投資会社には到底及ばないからと、10%の運用利益でも企業と国民の税金を半額にできます。日本の経済成長を10%以上にできる資金が生まれます。資源と資産を有効活用できない日本の国家経営の無能力は、もはや企業にとっても国民にとっても致命的です。こんな厳しい状況でも企業利益をあげている企業があるのはすばらしいなどと、余裕を見せている場合ではないのです。日本の最も大きな国家経営というマネジメントが破綻しているのです。

政府は7月9日に全省庁の人事・給与システムのOSを「リナックス」にすると発表しました。富士通・日本IBM・沖電気工業の3社が人事院から受注したと報道されました。「リナックス」は確かに公共財として無償で利用できるOSですが、その「リナックス」の権利が揺らぎ始めています。米国のソフトウェア大手のSCOグループはAT&Tが開発した「UNIX」の権利をノベルから1995年に取得しました。SCOは「UNIX」の知的財産権で米国IBMに対して、「UNIX」技術を不当に「リナックス」に転用されたと今年の3月に提訴しました。不当に「リナックス」に転用されたとする「UNIX」の訴訟の結果によっては、全世界の「リナックス」ユーザーに対する不当使用の訴訟が起きかねません。米国SCOグループは、マイクロソフト社の反トラスト法違反訴訟で有名なデビッド・ボイズ弁護士を顧問弁護士として訴訟を起こし、米国IBMは苦戦しています。米国IBMに対する30億ドル(約3500億円以上)の損害賠償訴訟の結果が、「リナックス」全ユーザーにも及びかねない時期に、政府システムの「リナックス」決定は、いったい何を考えているのか理解できません。今回の政府決定者は世界の何を見て、決定しているのでしょうか。日本政府相手の訴訟になったら、米国政府が支援するSCOグループから総額5千億円以上の損害賠償の可能性が出てきた「リナックス」の今回の政府決定は理解に苦しみます。それとも、自分たちの給与が減るわけではないし、国民の税金だからかまわないというのでしょうか。

国家経営力のない国家指導者と官僚の放漫経営は、国民からの無限の増税で維持されつづけるのでしょうか。使うことだけに専念する国家経営、足りなければ増税してまで使いつづける国家経営とは、いったい何なのでしょう。日本の国家経営はすでに破綻しているとなぜ誰も言わないのでしょうか。国民から際限なく税金を取れると考えているのでしょうか。破綻した国家経営者から、際限なく資金を要求される国民は悲惨です。 自民党や民主党などの政党意見など、どうでもいいのです。政治家であれば、まず政党ではなく政治家個人が国家経営をどうするかを明らかにすべきです。国家経営者たる政治家の派閥争いである政党批判など、もうどうでもいいのです。国民の税金を何に使うのかという税金を使う政策議論ばかりするのではなく、いかに国家資源と資産を有効活用し国民の利益を生み出すかの議論だけでもなく、多くの資源と資産を活用した具体的な行動を期待します。国家経営の現場でも企業経営の感覚が必要な時代が来たのです。日本国民の模範たる国家経営者の国家経営がいまのようでは、日本の企業経営も限界が見えています。人知で統治できず、法律を理由に改革は進まず、法律でも統治が難しくなるようでは、日本はもう終わりです。法律がなければ何もできない。法律があっても無力なのでは、もうどう考えていいか分かりません。法律の不備に困るだけでなく、法律があっても法律無視の大人達や不気味な犯罪の増加はもう忍耐の限界です。国民のための国家経営を実現できない時代遅れの政治闘争を繰り返す政党政治と経営力なき国家経営者を組織保全に利用する官僚機構との決別を日本国民は真剣に考える時期がいよいよ来たといえます。


中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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