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臥龍通信

臥 龍 通 信 第47号 <2003.04.25発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 47号 ◆
    日本のITの基礎知識(3)

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 ◆ 臥 龍 通 信 第47号 ◆
   日本のITの基礎知識(3)

リレーショナル・データベース・マネジメント・システム(RDBMS)は、オンライン・トランザクション・プロセッシング(OLTP)に最適になるように設計されてきましたが、DSS(Decision Support System)意思決定支援システムの研究が1975年くらいからIBMやカルフォルニア大学バークレー校で始まり1985年くらいからDSSに適合するRDBの必要性が市場でも出てきました。1993年にDSSやEIS(Executive Information System)の具体的実現のために、リレーショナル・モデルの提唱者E.F.Codd博士は多次元データベースとその分析のためにOLAPの12のルールを定義しました。OLTPが基幹業務系の定型業務システムであれば、OLAPは情報系の非定型業務システムのために考えられたといえます。OLAPは1993年以降、MOLAPやROLAPさらにHybrid OLAPなど多くのOLAPソフトに発展しました。 MOLAP(Multidimensional OLAP)は、さまざまな次元に対応した集計処理が可能であり、ROLAP(Relational OLAP)は表形式のデータを多次元的に表示できます。Hybrid OLAPはMOLAPとROLAPの両方の機能を持っていました。

OLAPは企業システムが集積したデータを分析するためのデータベースの構造と分析が可能な機能を併せ持つソフトウェアです。データウェアハウスがコンセプトとして提唱された1999年当時、まだ具体的ソフト製品が少ないのにOLAPはすでに多くの製品が販売されていました。 データウェアハウスをお話する時に、当然お話しなければいけないことがあります。データマイニング(Data mining)です。データマイニングはOLAPと同じ"分析"をするわけですが、ちょっと違います。OLAPはある方向性、つまり仮説に基づく分析をするのに対してデータマイニングは仮説を立てることのできるデータの特性や関係、パターンなどを分析します。データマイニングは大規模な企業データの中から企業経営や企業戦略に有効な傾向、関係、特性を探し出すというわけです。OLAPによる分析以前に気づかないデータの特性を探し出し仮説検証をさらに繰り返して、より有効な意思決定が可能な情報を膨大なデータより抽出するのです。より膨大なデータをより早く分析して、日々の意思決定に役立てようとすることは、今後の企業経営や企業戦略に重要な要素となってきました。

ソフトウェア工学は、1968年NATOのソフトウェア危機会議が発端となっています。東西冷戦時代の危機の中で、新たな最先端軍事兵器の開発と急速にコンピュータ化される統合防衛システムの必要性から、従来のソフトウェア開発が危機を迎え、欧州の地域防衛の中心であるNATOで、軍事用ソフトウェアの開発方法が大きな議論となりました。つまり、地域防衛や国家防衛のための軍事システムの開発が膨大となり、構想計画から実現まで3年から5年もかかるソフトウェア開発の現状では、国家防衛などできないという危機感でした。急速に変化し進化していく最先端の軍事装備の拡大競争で、重要なソフトウェアが3年や5年遅れでは、使い物にならないという問題意識は、早く確実にソフトウェアを開発する様々な手法研究を推進する方向で進みました。欧州と米国の最先端のソフトウェア専門家集団が欧州と米国の国家防衛を担って召集され、ソフトウェア工学の研究はソフトウェアをいかにつくるかの技術や開発の方法や管理の方法など数多くの理論手法を作り出しました。日本は欧州と米国の国家の存亡を賭けたソフトウェア研究など関係ないところで、国家経済の復興に邁進していました。日本では知られていませんが、ERPはそのソフトウェア工学の高度な開発手法と管理手法の歴史の中で最大の成果として存在します。

ソフトウェア工学の発展が今後ERPを更に進化させるものと期待しています。 ただ、日本ではソフトウェア工学の成果を実践するというのはとても難しい状況があります。ここ20年ほどの学術的理論研究は、大きく進歩したにもかかわらず日本人はそれらの研究成果を学ぶ大学をレジャーランドにしてしまいました。数値分析、開発工学、経営モデルといった学術的研究成果が多く生み出され、思想やコンセプトではなく現実の世界に適用可能な多くの手法がここ20年くらいで、どれだけ現実の世界を変えてしまったのか、日本人は気づかずに来てしまいました。 たとえば、ソフトウェア工学の古典と言われていますが、フレデリック・ブルックスの「ソフトウェア開発の神話」は1975年、バリー・ベームの「ソフトウェア工学の経済学」(COCOMOモデル)は1981年、トム・デマルコの「構造化分析とシステム仕様」(DFDモデル)が1978年です。オブジェクト指向は1986年(ブーチ)からですし、Javaは1996年にJava1.0が出されました。つい最近のソフトウェア工学の研究成果が、次々と現実のソフトウェアを生み出す重要な方法論・手法として利用されています。


中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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