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臥 龍 通 信 第45 号 <2003.04.25発行> http://www.Nakajima-MSI.com |
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| ◆ 臥 龍 通 信 第45号 ◆ 日本のITの基礎知識(1) |
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今回から5回連続で、日本のITの基礎知識を連載します。私の専門分野のITの整理をしておこうと思います。 現在、日本の大企業と中堅企業の約5000社以上の企業で欧米のERP(Enterprise Resource Planning)が採用されています。すでにIT業界ではERPと言う言葉は常識になりましたが、日本のERPに始まる欧米のパッケージ・ソリューションの話を連続して掲載します。最初は1993年から1994年に日本に輸入されたSAPを代表するERPの話です。ERPという名称は1993年ぐらいに日本では、ガートナー・グループが使っていた名称です。SAPなどの多くの海外パッケージ企業が、自社製品をERPではなく、基幹業務統合パッケージと呼んでいた1994年に、Dun&Bradstreetのガートナー・グループがERPという名称を使い、ERPのコンセプトを日本に広めてきました。米国生産在庫管理協会( APICS )が「受注から生産、出荷、勘定までにかかわる企業の総資産を管理し、活動計画を立案する会計指向のシステム」と定義しているERPですが、1997年まではERPは日本であまり理解されることもありませんでした。 現在も十分理解されているとは言えないERPですが、ERPはまず製造システム・モジュールのMRPからMRPIIへと発展し、さらに業務モジュールを拡大しERPに進化しました。1960年代に企業業務の製造系の手法として提唱されたMRP( Material Requirements Planning )は資材所要量計画として、部品表(BOM)から展開された資材の所要量を、発注、購買、在庫管理など効率的に計画するためのものでした。1980年代MRPはMRPIIへと発展します。MRPIIのMRPは(Manufacturing Resource Planning)で1960年代のMRPとは違います。MRPIIは、MRPの資材所要量計画に、要員、設備、資金など製造に関連するすべての要素を統合して計画・管理するものです。計画・管理の対象が資材から人間、設備、資金と拡大し、さらに人事、会計、販売、マーケティングなどの業務に対象が拡大しERPが登場しました。現在、ERPを考える時に更に重要な点があります。MRP以前からMRPの基礎となる研究がありました。それは第二次世界大戦で米国と英国の専門家集団によって進められた「OR(オペレーションズ・リサーチ)」の数学的手法です。 第二次世界大戦の時、米国や英国で対潜水艦の攻撃、防空体制の設定、船団の護衛方法などの様々な軍事研究に数学者、心理学者、自然科学者など合同研究チームがいくつも作られました。戦争後、軍事研究スタッフは民間企業に移り企業経営の意思決定の問題にも同じ手法を適用し始めました。1940年代から現在までに、数々の数理的手法が考案され、具体的経営に利用されました。線形計画法、ゲーム理論、ベイズ決定理論、シミュレーション理論など、数理的モデルが次々と生み出されました。これら「OR(オペレーションズ・リサーチ)」の数学的手法は、1960年代のMRPの中に取り込まれます。計画の部分の計算・シミュレーション、在庫計画、物流計画と数理理論を現実の企業業務に適用し、最新の数理的研究成果が、現在では数ヶ月でERPにモジュール化される時代になりました。サプライチェーンもこの数理的理論の現実利用という歴史の上にあります。非線形理論としての制約の理論(TOC:Theory of Constraints)を利用しているサプライチェーンも数理的理論適用の具体例です。 米国の国防省がBPR、ERP、SCMの研究に多くの予算をかけています。オペレーションズ・リサーチ(OR)を日本では経営科学とも呼びますが、オペレーションズ・リサーチは「あらゆる組織体における経営の問題の数学的分析と解決」に研究が向けられており、その歴史は第二次世界大戦の米国軍隊の兵站研究から始まりました。 つまり、ERP、SCM(サプライチェーン)など新しく登場したソフトウェア・パッケージは米国国防総省のOR研究の膨大な数理理論をそのソフトウェアの中に取り込ながら、今も成長し続けています。そして、SCMは『ザ・ゴール』の複雑系理論やTOC(Theory of Constraints)や人工知能研究の成果も取り込んだアルゴリズムの中で複雑な計画シミュレーションが可能です。ちなみに、世界的なSCMパッケージ企業のi2テクノロジーの創設者シデュー氏は、元テキサス・インスツルメント人工知能研究所の計画スケジューリングのソフト開発プロジェクトリーダーで、1992年に有名なSCMパッケージの「Rtythm」を開発しました。 |
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| 中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋 隆 | ||||||
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