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臥龍通信

臥 龍 通 信 第139号 <2006.05.10発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 139号 ◆
    国際社会の幻想A

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 ◆ 臥 龍 通 信 第139号 ◆
    国際社会の幻想A
国際社会の幻想A

日本人がよく話題にする国際社会とは何でしょう。国際社会の協力や国際社会の合意や国際社会の圧力という言葉の国際社会とはいったい何でしょう。日本人は、専門家でさえ言葉の内容が曖昧です。

「連合軍」と「敵国条項」
人類は20世紀になってようやく国家を超えた話し合いと調整の場を獲得したように見えますが、いまだに国家を超えた人類共通の利益追求を実現できてはいません。日本では国際連合と呼ばれている組織は英語では「United Nations」という表現で、「国際連合」と訳すよりは「連合軍」と訳すべきだとの意見もあります。
現在では、多くの国家が加盟する「連合軍」(国連)は国際社会の調整機関という見方もありますが、現実には主要連合国5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)が常任理事国として特別な地位にある、あくまでも連合国の国家利益中心の組織という見方もあります。
「連合軍」とは第二次世界大戦の連合軍で、現在では日本の高校生のほとんどが、どの国とどの国がどんな理由で戦ったのかさえ答えられない過去の話ですが、連合軍(国連)の敵国は日本、ドイツ、イタリアなどの国家でした。現実に、連合軍(国連)憲章には、敵国条項というものが現在もあり、連合軍(国連)憲章53条と107条に敵国であった日本、ドイツ、イタリアなどの七カ国が国連憲章に違反した軍事行動を起こした場合、連合軍(国連)は連合軍(国連)決議等の拘束力に優先して、決議なしでも軍事力で武力制裁ができると規定しています。 すべての敵国が国連加盟国となり、敵国条項は死文化していると、1995年12月の国連総会において敵国条項の削除を求める決議が、賛成155の圧倒的多数で採択されましたが、現在も連合軍(国連)憲章の敵国条項の改訂は実現していません。
つまり、連合軍(国連)憲章には第2次世界大戦中に連合国の敵であった国々に対して、安全保障理事会の許可がなくとも軍事制裁(武力攻撃)を取り得ることなどが記載されています。敵国の具体的な国名は連合軍(国連)憲章には明記されていませんが、日本、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの7ヶ国が敵国条項の対象国と考えられます。敵国条項の規定が改訂されるまでは、やはり「国連」は「連合軍」であるという意見は具体性がないという判断も日本の外務省にはあるようですが、このような問題があることも知らずに、国際社会の善意を信じている日本人の在り方が問われています。

国際組織としては「国際連盟」というものが、「連合軍(国際連合)」の前に存在しましたが、日本やドイツなどが脱退して、国際社会の協調を無視した戦争を始め、国際的な組織である「国際連盟」は崩壊し、第二次世界大戦で、日本やドイツやイタリアと戦う「連合軍(国際連合)」が世界的規模で組織されました。国際連盟も連合軍(国連)も大国の都合によって組織された組織である限りは、現在もその大国の国益優先の組織的体質(連合軍の常任理事国の5カ国の特権)があると考えられます。

日本の国際社会観
国際社会の非情さを経験していない日本人は、国際社会や国際的な組織(連合軍)を過大に期待しますが、世界の多くの国家は日本ほどに国際社会の正義や良心を信じてはいません。日本人は国際紛争などが国際社会の調整で解決ができるような幻想を持ちますが、いったいどこの国家が他国の戦争に、ただ正義だけで協力してくれるでしょうか。
民族の独立を弾圧し、領土を分割し、他国の領土を略奪する行為を容認し、弱い民族や国家には独立の自由や領土の保全さえ否定する組織として、国際連盟や連合軍(国際連合)が機能してきたことは否定しようがありません。

朝鮮半島を分割して、朝鮮戦争の悲劇と北朝鮮と韓国の問題を作り出したのは連合軍(国連)の決定であって、朝鮮半島の朝鮮民族の権利など認めなかったのは、連合軍(国連)でした。ベトナムを分割して、ベトナム戦争の原因となる決定も連合軍(国連)によるもので、ベトナム民族の権利など、最初から無視したのは、連合軍(国連)で、連合軍(国連)の決定で、多くの民族の独立や民族の存続が否定されてきました。ベトナム民族は米国とベトナム戦争という悲惨な戦争なしでは民族の統一と独立が実現できませんでした。日本人が大きな問題とする北朝鮮問題は、その原因が連合軍の大国の国益に従う国際社会の決定によって承認された北朝鮮という民族分断の国家の存在に始まります。北朝鮮は国際社会から孤立していると言われていますが、現実には世界の154カ国の国家と正式に国交がある国際社会から孤立などしていない国家であることは、日本ではまったく話題にもなりません。民族の権利を大国の国益と大国に従う国際社会である連合軍(国連)の決定で否定され、奪われた国家の悲劇がいまだに続いています。連合軍(国連)によって、民族の意思を否定され、同じ民族同士が対立し、戦わなければならない決定を押し付けられた朝鮮民族、ベトナム民族、ドイツ民族などに国際社会の正義など信じようがありません。

日本は幸運にも国際社会の冷徹な決定によって、領土を分割され、民族の統一と独立を否定された経験がありませんが、多くの民族や国家は過去だけでなく、現在も国際的な組織である連合軍(国連)に民族の独立や領土保全の権利も認められてはいません。

中国は国際連盟の時代に、国際社会の合意によって、領土が奪われていきました。中国を植民地にするのではなく、明らかに領土を永遠に奪ってしまうことが国際社会の合意として進められました。李氏朝鮮は国際社会の合意として、民族の独立を否定され、国家の独立さえ国際社会の合意で失いました。そして、現在はクルド民族やパレスチナ民族の独立も国際社会は認めようとせず、逆に民族独立を弾圧する側に連合軍(国際連合)はいます。

日本の領土問題
日本はロシアとは北方四島、韓国とは竹島、台湾と中国とは尖閣諸島で領土問題を抱えています。中国を植民地や傀儡政権の国家として支配するのではなく、あからさまに領土分割を要求して、国家領土としてきたロシアは、日本とは違う領土という考え方をします。もともと国家の領土など、どの時代の領土を基準とするかでも確定した考え方があるわけではありません。理論的に国際法があると言っても、どの国家も無視するのであれば、国際法などあっても意味のないことです。国際社会の良心も正義もなく、ただ国際社会に存在するのは、個々の大国の国益しかないとすれば、国際社会など頼るほうが間違っています。
日本の場合に、日本の領土はアイヌ民族の東北地方や北海道や沖縄人の沖縄をどの時代の段階で、日本の領土として確定したのでしょうか。日本政府が言うだけでなく、他国が認めない限りは領土とは言えません。国際法などと言う他国を拘束することもできない、また国際法を無視してもだれも気にしない国際法など、日本の領土の拠り所にもなりません。日本の領土を認めさせることのできない主張をどれだけ日本政府が独りよがりに継続しても、日本領土の問題は永久に解決できません。専門家が言う国際法なる理論など、まったく意味がありません。

李氏朝鮮は国際社会の国際的な機関の決定で国家の独立を否定され、日本に併合され朝鮮は日本となり、朝鮮人は日本人となり、国家と民族は独立を復活するまでの36年間朝鮮の国家と国民は消滅しました。中国の清朝は国際社会の合意で、欧米の植民地に分割支配され、ロシアに沿海州などの領土を奪われました。連合軍(国際連合)の裁判所で国際機関の裁定として領土問題を解決できると日本人は考えますが、中国人や韓国人の歴史は、国際社会の決定は決して自分たちの領土も独立も守ってはくれないという国際社会を信じてはいけない教訓を鮮明に残しました。国家の独立を否定して、領土を否定し、国家と民族の権利を簡単に奪ってしまう国際社会の決定と非常さを知らない日本人には考えられないことですが、日本人は他国には関心がないために、国際社会の非常さが見えてきません。台湾は国際社会から中国の一部であるとして突然に独立を取り消されて、連合軍(国連)から追放され、日本も台湾を独立国とは認めず、クルド民族やパレスチナ民族はいまだに独立の自由さえ国際社会から認められてはいません。大国に民族独立の権利や領土さえ否定され、大国による弾圧をいまだに支持する国際機関と国際社会の正義とは何なのでしょう。

国際社会の幻想
国際社会は世界的な大戦がないという意味では、平和な社会ですが決して安心した社会ではありません。大国は国益を優先して、不利益な国際条約などは平気で無視して、批准もしません。弱い民族や国家は独立や民族の存在まで否定されます。

日本政府は、「日本は核保有を永久に放棄して、国際平和のために努力します。」と言いますが、世界でどれだけの国家が信じているでしょうか。日本には米国の原子力空母の母港があり、米国の原子力潜水艦や原子力空母や航空機が核武装していないなど誰も信じていません。日本は核兵器を放棄しているでしょうが、日本の用心棒が核兵器を持っています。「私は銃を持っていない平和主義者だ。実際に銃を身に着けてはいない。」と言っても、後ろに立つ用心棒が機関銃を持っていたら、何の意味もありません。日本は核武装していなくとも、日本の用心棒である米軍は確実に核武装していると世界は考えています。核武装した用心棒に毎年6000億円以上払い、米軍に守ってもらっている日本の平和主義など、どこに意味があるのでしょうか。最近は、用心棒の米軍再編成のために3兆円支出の話がありますが、日本は核武装した用心棒が場合によっては、雇い主の言うことを聞かない状況では、核武装したコントロールのできない用心棒がいる日本は、明らかにアジアの脅威でもあります。毎年6000億円以上払うから、日本の用心棒にならないかという要請をすれば、世界の中では、フランスや英国やロシアや中国までが、日本政府の言うことを聞く用心棒になってくれる可能性がありますが、高飛車に雇っている用心棒から口は出さずに金さえ出せばいいと言われる日本政府は、世界のどの国家から見ても同情すべき状況です。

我々の孫の時代の2100年には日本の人口は政府統計が予測した約5000万人程度になった場合、ロシアや中国だけでなく、統一朝鮮の1億人を超える可能性のある朝鮮半島までが、日本の脅威となります。日本は我々の孫の時代に国家と民族の独立を維持できるのでしょうか。国家の独立を捨てて、民族存続のために、米軍の駐留費も払えなくなった日本は米国の州となって生き残るのでしょうか。

弱ければ、国家や民族の独立さえ否定してしまう過酷な国際社会の中で、言うことを聞かない金だけを要求する核武装した世界最大の用心棒に頼って、これからも日本人は国際社会の正義を信じていくのでしょうか。米軍と日本の関係は、口は出さないが、お金も出さないという関係か、日本の米軍の指揮権は日本政府が持つが、その代わりに駐留費を日本が出すという関係が、日本と米国の対等な同盟関係ではないでしょうか。日本政府は日本の米軍に口は出すな、しかし駐留費や海外移転費などは日本政府が出せでは、いざという時に指揮権のない日本政府は、米軍に日本を守らせる強制力さえありません。毎年6000億円以上の税金を使って、雇い主の日本がひたすら用心棒の米国に日本を守ってくれとお願いするしかありません。日米安保条約と日米同盟ほど、世界から見ても時代遅れの愚かな関係はありません。命令権も指揮権のない傭兵部隊に、国民の税金を払う愚かな国家など世界を探しても日本だけです。そして、傭兵部隊に核武装させて、我々は核武装していないなどと言うのも日本だけです。原子力潜水艦や原子力空母が日本に母港を持ち、常に核攻撃に備えている米軍が日本に存在するのに、日本の非核三原則の「作らず、持たず、持ち込まず」の原則は、事実上まったく無意味です。核武装した米軍が日本にいながら、日本には核兵器はなく、核武装もしていませんという嘘を、国内だけでなく、海外に対しても表明する日本政府にアジアは深い不信感を持っています。

中東問題の歴史的視点
国際社会の大きな問題として、中東問題とイラン問題が話題になりますが、欧米とイスラム問題は、簡単ではない歴史的な背景があります。ユダヤ人商人1人は欧州商人3人の能力があり、イスラム商人1人はユダヤ商人3人の能力があり、インド商人1人はイスラム商人3人の能力があり、インド商人と互角なのが華僑と言われるほどアジアは商業民族の宝庫でした。強大な帝国を築くイスラム教徒は凶暴なだけでなく、実は非常に高い技術と商業の民族でもありました。インドのゼロの発見から、現在のアラビア数字の数学など、アジアの商業発達が商業取引や在庫管理のための数学をアジアで発展させました。

欧州のポルトガルやスペインや英国が大航海時代を迎える以前に、アジアは民族の多様性を容認する広大な商業経済圏を形成していました。中国からインド洋、アフリカに至るまでの広大なイスラム教、ヒンズー教、ユダヤ教、キリスト教、仏教、道教などの宗教圏の多様性を認め合う商業経済圏が存在していました。民族の対立と戦争を繰り返しながら、どの民族も商業取引だけは保護してきました。13世紀に世界人口の半分を支配下に置くモンゴル帝国の成立で、ユーラシア大陸の陸路と海路の巨大な商業ネットワークはアジアに世界的な富の蓄積を可能にしました。モンゴル帝国の遺産を引き継いだ中国の明朝の鄭和は、約200隻の27000人を超える大艦隊で、インド洋からアフリカ沿岸まで朝貢貿易という商業貿易の遠征を7回も行いました。コロンブスの時代の船(約40〜50人乗船)の10倍以上もある鄭和の船(約500人乗船)は、アジアからアフリカまで航海していました。鄭和の遠征は、1405年から1433年まで続きますが、ポルトガルは鄭和に50年遅れて、1488年にバーソルミュー・デュアスがアフリカの喜望峰を発見し、1498年にはバスコダ・ガマがインドに到達します。

ポルトガル船は幸運にもマラッカ海峡で数十隻の海賊船を蹴散らし、東南アジアからインド洋の交易秩序を確立した鄭和の200隻を超える武装・交易船団と出会うことはありませんでしたが、もし出会っていれば、ポルトガル船は10倍以上の大きさの鄭和の船を中心とする200隻27000人の大船団に蹴散らされて、アジアを植民地にすることはなかったと思われます。鄭和は中国の明朝の永楽帝に信頼された優れた軍人でもあり、イスラム教徒でもありました。鄭和は、莫大な金銀や陶器を満載して、アジア各国との貿易を進めますが、鄭和の後に来るポルトガルやスペインは貿易ではなく、殺戮と略奪と商業権の支配でまさにインド洋のアジアを海賊・泥棒行為で略奪し、インド洋のアジア民族からすべての富と権利を奪い取っていきました。メッカ巡礼のイスラム教徒の船を焼き払い、皆殺しにする行為がポルトガル船やスペイン船によって平然と行われました。平和的な商業経済を知らない、商業取引の数学さえ知らない、他民族を殺し奪うだけの野蛮な欧州民族は、文化的にも商業的にも高いアジア人の虐殺と略奪の歴史をアジアで始めます。多様な文化や宗教を容認する知性もない殺戮と略奪だけの欧州民族がアジアの平和的な経済圏を徹底的に破壊し、独占していきます。

鄭和に会っていれば、ひとたまりもなく踏み潰されていた欧州の侵略は、中国王朝の停滞の中でインド洋から東南アジアへと拡大し、やがて中国にまで及ぶことになります。15世紀から20世紀までの欧州民族の歴史は他民族の殺戮と略奪のための文化と技術の発達を実現し、20世紀には世界的な戦争を始めることになります。

殺戮と略奪を基本とする文明と交易と商業活動を基本とする文明のどちらを選ぶかと言えば、私は交易と商業活動を基本とする平和な文明を選択します。殺戮と略奪のために、科学技術を利用することなど、私は無意味だと考えます。ペルシャ帝国の末裔である現在のイスラムの人々が、欧州民族と同じ殺戮と略奪の文明を選択すれば、欧州民族との対立と戦争は避けられません。アジアの21世紀の大国であるインドや中国が欧州民族の殺戮と略奪の文明を選択するのではなく、歴史的な交易と商業活動の文明を選択することを私は強く望んでいます。民族の文化や宗教や民族独立や民族存続の権利さえ奪った欧州民族には、大きな恨みがある国家がアジアやアフリカにはたくさんありますが、あえて欧州民族と国際社会に対する恨みと復讐を忘れて、アジア民族は歴史的な交易と商業活動の平和的な文明に戻って欲しいと考えます。

国際的なテロを非難するのは簡単です。しかし、テロの原因を作ったのは誰なのかも考えなければなりません。民族の文化や宗教や民族独立や民族の存続さえも否定しておいて、抵抗すればテロと非難しては、また戦争を起こす文明など、我々アジア人は21世紀には認めてはならないのです。中国は民族の団結のために共産主義を利用しましたが、中国4千年の歴史的な商業民族に戻りつつあります。インドはカースト制という考え方を超えた新たなインドに生まれ変わりつつあります。欧州民族に対する歴史的な復讐心は忘れて、歴史的な商業民族としてのアジアを実現するには、中国とインドの役割は非常に大きなものになります。

すでに、中東のドバイで始まっている「イスラム・ルネッサンス」の動きは、イスラム圏の人々の高度な技術と文化の商業民族への回帰を目指しています。イスラム圏の文化的で平和的な新たな動きに、インドは3000万人の印僑で、中国は5000万人の華僑で、歴史的な商業民族としてのイスラム・ルネッサンスを強力に支援しています。ドバイは新たな21世紀のイスラムを構築するために、イスラム・ルネッサンスで世界中から多くの交易・商業施設が建設され始めています。中国はドバイに1000店を超える巨大な商業店舗施設を建設し、数千人を超えるドバイで働く中国人のための住宅施設も建設し始めています。

アジアに必要なのは、殺戮と略奪の軍事力ではなく、交易と商業活動を確保する最低限の軍事力であって、そのためには欧州民族の殺戮と略奪の文明でアジアの平和的な商業圏を破壊されないだけの軍事力が必要というだけです。アジアで15世紀から殺戮と略奪を繰り返してきた欧米諸国に、二度と殺戮と略奪されないだけのアジアの軍事力を欧米の脅威と言われる理由がアジアにはありません。防衛しなければ殺戮し略奪して、防衛すれば脅威だと文句をつける欧州文明をもはやアジアは気にする必要はなくなりました。中国とインドとイスラム圏が欧州民族の殺戮と略奪の文明を我々は永遠に否定すると宣言するだけで、もはやアジア全体と戦う戦力は欧州民族にはありません。堂々とユーラシアの商業民族として平和に、アジア民族は努力していけばいいのです。21世紀に欧州や米国を侵略して、自国の領土としたいと考える国家などアジアにはありません。アジアはアジアで堂々とユーラシア大陸で平和的に繁栄していくだけです。もし、欧州民族が再びアジアに戦争を挑む時は、アジアは欧州民族の殺戮と略奪の文明の抹殺のために、徹底的な戦争になる可能性もないわけではありませんが、地域の広大さと人口から考えても、21世紀に生き残るのはユーラシアのアジア民族です。

日本人は、欧米に植民地にされ、領土さえ奪われた中国の苦しみを知りません。民族の独立だけでなく、存在さえ否定された朝鮮民族の悲しみも知りません。そして、民族を分割統治され、同じ民族で対立し戦うベトナム民族や朝鮮民族の悲劇も知りません。民族の独立や存続をいまだに認められないクルドやパレスチナの人々の復讐心も知りません。何世紀も略奪され続けてきたアフリカや中東の民族の悲劇も知りません。殺戮と略奪の欧州文明が21世紀も継続することは、決して人類社会を平和で豊かなものにしないでしょう。

守ってやっているんだから、金を出せと言う核武装した用心棒を抱える日本は、21世紀にどちらの文明を選択するのでしょうか。守ってやっているからといっては金を出せと言われ、日本人が頑張って金儲けしても、金を貸せと言われては米国の国債を買わされる日本は21世紀にどのように生きていくのでしょうか。日本は欧米の殺戮と略奪の文明を受け入れた過去の反省がいまだに足りないようです。

21世紀は、BRICsのブラジル、ロシア、インド、中国の時代だけでなく、ユーラシア大陸の陸路の商業貿易が可能なモンゴル・タタールの時代でもあり、日本海からインド洋に至る海路の商業貿易が可能なイスラム・ルネッサンスの時代でもあります。あらゆる宗教と民族を受け入れていくモンゴル・タタールの理念はイスラム・ルネッサンスの理念と結びつき、人類人口の60%以上の人口を持つユーラシア大陸の陸路と海路の巨大で平和な商業文化圏を可能にしていくでしょう。800年以上も前に存在したユーラシア商業経済圏は、21世紀に再びユーラシア大陸に新たな形で再構築されて、多くの民族と国家に平和と繁栄をもたらすでしょう。ユーラシア大陸は中国やインドの台頭とモンゴル・タタール末裔の国家群とモンゴル・タタールを受け入れたイスラム国家群の新たな秩序が、本来は平和的な商業民族であるユーラシア民族国家に新たな時代を約束するでしょう。

殺戮と略奪の文明の上に成立した先進国と呼ばれる欧米民族の国家が国際社会の中心ではありません。人類社会の中心は過去も現在も、ユーラシア大陸の国家群が中心であり、21世紀もユーラシア大陸の陸路と海路の商業貿易が世界の中心です。米国も欧州各国もユーラシア大陸の国家群を支配下に置くなどもはやできません。モンゴルから黒海に至るモンゴル・タタールの国家群や中東のイスラム国家群がインドや中国と協力して、800年前のモンゴル帝国の大ユーラシア商業文化圏を復活させることは不可能ではありません。21世紀の国際社会の多様性を容認できる新たな理念に、ユダヤ教やキリスト教やイスラム教やヒンズー教や仏教の共存共栄を可能にしたモンゴル・タタールの理念は、人類社会に大きな影響を与えます。

日本のテレビでは、日本の領土問題で韓国や台湾や中国やロシアともめていますが、韓国側が主張する16世紀の地図が曖昧だといっては、韓国の主張を否定しますが、関が原の戦いの前に、日本の沖縄や北海道という名称あったでしょうか。沖縄や北海道は当時から日本の領土だったでしょうか。16世紀に日本周辺の詳細な地図が当時の日本にあったでしょうか。

中国に遺棄された日本の国際法違反のガス兵器の問題も戦争が終わり、中国政府に引き渡したものだから、もはや造った日本の製造責任はない、中国が処理すべき問題だと平然と宣伝されます。朝鮮半島の併合も、先進国の反対がなかった国際社会の合意で行ったことだから、どこに日本の責任があるのかと当然のごとくテレビでは主張されます。強い国家が弱い国家の権利を否定していく過ちを日本はいまだに反省していません。

日本は1972年の日中平和条約で第二次世界大戦の終結を宣言しますが、中国が内戦状態にあったために日本の戦争責任に対する中国の責任追求は十分ではありませんでした。そして、日中平和条約では、100万人以上の日本軍の8年にわたるベトナム戦争のような戦争責任を当時にさかのぼって、当時の日本軍兵士を1972年の中国で裁くことも莫大な戦後賠償金の要求も放棄してくれました。

中国や朝鮮半島の民族は第二次世界大戦の日本の戦争責任に対する過酷な復讐を行っていません。具体的な復讐はしないから、戦争責任を認め謝って欲しいと言っています。いつまで謝ったら気がすむのかと日本人がキレたら、復讐を誓う不幸な戦いがまた始まるかもしれません。中国や韓国で日本人がしてきた歴史的な過ちを実際に経験している人々が生きている限りは、日本人は謝り続ける義務があることに日本人は気づいていません。日本人に家を焼かれ、両親や子供を殺された人々が生きている限りは殺した日本人は許されたとはいえ、謝り続ける義務があるのです。そして、加害者が勝手にもう過去のことだとか、いつまで謝ればいいのかと言うことは、被害者に新たな憎しみを生み出します。中国とロシアは、過去も現在も日本以上に米国の重要な連合軍5大国の仲間であり、韓国や台湾の地位も米国にとって決して低いわけではありません。日本が中国と対立した場合、日米安全保障条約があっても米国が日本を守ってくれるという保障はありません。日露不可侵条約が簡単に破られ、日本はソ連に攻められた経験を日本は忘れています。平気で条約を破棄することがある国際社会の非情さを日本はいまだに理解していません。

現在、米国は存在しなかった大量破壊兵器を理由にひとつの国家であるイラクを崩壊させ、さらにイランの核利用と核開発に対して、強硬な態度を深めています。核兵器はなぜ連合軍の5大国に限定され、イスラエルの核武装を一切問題にされず、イスラム教国の核武装には米国はなぜ反対するのでしょうか。最近は、インドの核利用と核武装を容認した米国は、イスラム教の国家というだけで勝手にイランやイラクの核武装を否定するのでしょうか。フランス、英国、ロシア、中国、米国の5大国の核武装とイスラエルとパキスタンとインドが核武装していますが、北朝鮮やイランなどは核武装できないと米国が人類社会の核武装の決定権を持っているのでしょうか。ユダヤ教のイスラエルの核武装に対抗するイスラム教の国家の核武装は戦争をしてまで阻止するという米国はイスラム教国家の敵と思われても仕方がありません。抑圧する側は正統な権利として抑圧する権利を主張し、抑圧される側の抵抗はテロとしてさらに抑圧していくのが現実の国際社会なのです。

15世紀以降の欧州民族が行った世界的な蛮行は、北アメリカと南アメリカの民族を滅亡させ、先住民族からすべてを奪い去ってしまいました。オーストラリアやニュージーランドの先住民族もすべてを奪われ滅亡しました。アフリカ大陸は奴隷供給地として植民地に分割され、インド洋から中国までのアジアの各民族は民族が皆殺しされて、消滅するほどの侵略はありませんでしたが、多くのアジア民族は植民地となる過程で広大な地域で殺戮と略奪を受けました。15世紀の欧州では先住民族など、霊魂ある人間ではなく、家畜であって殺しても殺人にはなりませんでした。16世紀になって、先住民族であるアメリカ大陸のインディアンが霊魂ある人間か否かが真剣に議論されました。そして、ローマ教皇のパウル3世はヨーロッパ民族のあまりにも先住民族に対する残酷な行いを憂慮して、1539年に「インディアンと言えども霊魂ある人間と認め、スペイン国王はインディアンの保護に努めよ。」と教皇教書を発表しましたが、依然として多くの欧州民族は世界中の未開民族の多くを家畜と考えても人間とは認めてはいませんでした。日本では織田信長が家督を継いだばかりのころ、欧州民族は侵略する先住民族を家畜扱いして、人間でないから殺しても殺人にはならない、人間として良心の呵責も感じない殺戮と略奪の時代を走っていたのです。そして、アジア諸国が国内の内乱や体制腐敗で弱体化していく300年ほどを待ち、19世紀には蓄積した科学文明の高度な武器によって、アジア侵略を本格化させます。ヒットラーも比べものにならないほど、広大な地域で組織的かつ計画的に国家指導による民族抹殺の歴史が500年も欧州民族の手で世界中で実行されました。

欧州民族の殺戮と略奪の歴史は、世界中から奪った富によって、20世紀に世界的な大規模破壊兵器の民間人も戦闘員も関係ない無差別戦争に発展します。米国は、1584年のバージニア植民地に始まり、1787年にアメリカ合衆国として独立して、1850年代には先住民族をほぼ滅亡させて、約300年ほどで先住民族を皆殺しにして、その土地をすべて奪ってアメリカ合衆国は建国されました。そして、1893年には、ハワイで膨大な利益を得ていた白人の製糖業者たちがクーデターを起こし、ホノルル湾に停泊していたアメリカ巡洋艦の海兵隊がハワイ王朝のイオラニア宮殿を取り囲み、リリウオカラニ女王は王宮に幽閉されました。その後、白人たちは女王に廃位の署名を強要して、ハワイ王朝は滅亡し、米国の州に併合されます。「アロハ・オエ」という有名なハワイの歌は、あなたが愛されますようにと平和を祈る歌ですが、この歌の作者は狭い部屋に幽閉されたハワイ王朝最後の女王リリウオカラニでした。1881年にハワイ王朝のカラカウア王がハワイが将来日本の領土になることも覚悟で申し出たハワイ王族のプリンセス・カイウラニと日本の皇族との結婚は、当時の明治政府に拒否され、ハワイ王朝は誰からも非難されることなく、当然のようにアメリカ合衆国に併合されたのです。現在先進国といわれる多くの国家は約500年という殺戮と略奪の歴史の上に、現在の国家の繁栄を築きました。現在の国際社会とは、まさに殺戮と略奪の論理の上に成立した社会なのです。

韓国が中国に日本以上の投資を行うようになりました。韓国が朝鮮戦争で戦った中国と協力し始めたのは、中国の国内に100万人以上の韓国語と中国語と英語を話す中国東北部と中央アジアの朝鮮族の存在があります。朝鮮民族は韓国の約4750万人と北朝鮮の約2200万人と日本、米国、中国、中央アジアなどに約250万人の移住者がいます。モンゴルから中央アジア、欧州に至るモンゴル・ウルスの動きに韓国も北朝鮮を経由する欧州に至るユーラシア陸路商業網の可能性を模索し始めました。殺戮と略奪と対立の文明を選ぶか、共存と繁栄と平和の文明を選ぶか、日本はまさに歴史の大きな岐路に立っています。


参考文献:
臥龍通信第66号「年金問題の本質」
臥龍通信第117号「独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)」
臥龍通信第121号「郵政民営化法案の欠陥」
公開コンテンツ「日本の官僚主義」
公開コンテンツ「厳しい国家財政」
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥龍通信第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」

発行日 発行No タイトル
2005.12.20 第129号  民主主義と資本主義A
2005.12.20 第128号  民主主義と資本主義@
2005.12.08 第127号  日本人の伝統とプライド
2005.12.08 第126号  耐震偽装住宅問題
2005.10.06 第125号  市場原理主義と小さな政府
2005.09.21 第124号  小泉政権と国家財政
2005.09.14 第123号  郵政選挙(終わりの始まり)
2005.09.07 第122号  日本社会の貧困
2005.09.01 第121号  郵政民営化法案の欠陥
2005.08.31 第120号  日本政治の構造改革
2005.08.22 第119号  戦後60年の政治
2005.08.15 第118号  戦後60年の総決算
2005.08.10 第117号  独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)
2005.07.28 第116号  世界ブランドランキング2005
2005.07.08 第115号  日本の少子化と女性問題
2005.07.08 第114号  米国政府要望書
2005.07.01 第113号  日本の右傾化
2005.06.17 第112号  日本の戦後と靖国問題A
2005.06.17 第111号  日本の戦後と靖国問題@
2005.06.02 第110号  狂気の日本
2005.06.02 第109号  東シナ海ガス田問題
2005.05.23 第108号  中国から見た日本
2005.05.13 第107号  日本の国際競争力(IMD2005)
2005.04.18 第106号  最近の中国対立
2005.04.18 第105号  明治の成功と失敗
2005.04.18 第104号  報道の意図と文脈
2005.03.22 第103号  ライブドア騒動の深層
2005.03.15 第102号  日本の時代遅れの国際感覚
2005.03.05 第101号  日本のブランド戦略とデザイン戦略
2005.03.05 第100号  中国の知的財産権問題と日本の歴史問題
2005.02.22 2月号外  頑張れホリエモン
2005.02.20 第99号  21世紀の知的財産権戦略
2005.02.20 第98号  日本の対中貿易
2005.02.10 第97号  不動産ファンド
2005.02.10 第96号  中国のエネルギー戦略
2005.01.20 第95号  クルド人を救え
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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