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臥龍通信

臥 龍 通 信 第119号 <2005.08.22発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 119号 ◆
    戦後60年の政治

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 ◆ 臥 龍 通 信 第119号 ◆
    戦後60年の政治
戦後60年の政治

日本は戦後60年の大きな転機を迎えています。失われた15年で日本人は疲れ果てています。日本の国家をどうするのかという国民の選択が大きな意味を持つ時代が来つつあります。戦後60年の政治に登場した「変人・奇人の小泉首相」という国家指導者の奇行に日本の内外の政治は大混乱です。日本の国家の運命を担う政治家の子供じみた喧嘩政治や論理的でない議論に、マスコミも大騒ぎです。報道機関の中立性と言うことで、様々な意見が放送されますが、報道機関は報道の公平性を守ると同時に、報道機関としての専門性ある良識の意見が求められるのも事実です。日本国内や海外にある様々な問題について、様々な意見を流しっぱなしで、報道機関としての意見が聞こえてこないのはおかしなことです。中立であることは、意見を言わないことではなく、どちらにも加担しないが独自の意見があると言うことで、何も言わないこととは違います。垂れ流しの報道と明確な意見なき報道機関は国民にとって報道機関の義務を果たしているとはとても思えません。

郵政民営化の法案否決で、憲法で曖昧であった三権分立の基本理念を見事に打ち砕いた小泉首相は、法律が不備であることは悪用しないという良識を打ち砕き、最大限に法の盲点は利用するというこれまでにない政治家です。行政府の首相が立法府の国会を屈服させ司法府まで支配下に置くことを現実に実行する独裁的政治家が戦後60年で登場する時代になりました。郵政民営化は誰も反対していないが、「小泉流郵政民営化」には反対という意見で、国内は総選挙に突入しています。

自分の公約は守らなくとも大した問題じゃないと国会で答弁した小泉首相が、郵政民営化は公約だから絶対に守らせると自分の公約は守らなくてもよく、他人はどんなことをしても守らせるという理解不能の首相の登場に、人間の良識外の存在の首相を政界だけでなく、国民の良識派さえも思考停止してしまいました。

郵政民営化の議論は、「郵政民営化」に反対か賛成かという議論ではなく、どんな「郵政民営化」を選択するかの議論でなければならないのに、内容の検討なしの「スローガン」問題になってしまいました。「郵政民営化法案」の内容や国会の180時間の議論を十分に検討しないで、「郵政民営化法案」の賛成・反対は言えないはずですが、単純な内容もない賛成・反対だけが選挙の問題になってしまいました。

郵政民営化の賛成・反対の判断
今回の選挙の要点は、小泉政権の「郵政民営化法案」を国民が読んでみれば、政治家に聞かなくとも国民は判断できます。小泉流の郵政民営化の法案がいかにいい加減な法案であるかは、まともな良識ある人間にはすぐに理解できるはずです。小泉首相の思惑は「国民は郵政民営化法案を読んで判断などしないから、どんなに不備があっても改革に反対なのか、賛成なのかという選挙にしてしまえば、国民は不備な法案など知りもせずに賛成する。」ということでしょう。今回の小泉流「郵政民営化法案」の是非を国民に問うと言うのであれば、答えは簡単です。今回の法案はどう読んでも不可です。不満なのは政府からどんな圧力があったかは知りませんが、「郵政民営化法案」の内容が政府が言うとおりに合理的な内容になっているかをマスコミ各社は一切報道していません。郵政民営化法案をなぜマスコミ各社は検討して独自の見解を公表しないのでしょうか。明らかに国民に情報を出さない、知らせないというマスコミの意図を感じます。

今回の「小泉流郵政民営化」は、小泉首相が郵政公社になってから4年間かけて、「どんな郵政民営化」が可能かを検討し、準備するというものを、郵政公社になって2年で突然に「郵政民営化」と動き始めました。郵政公社も官僚も自民党も4年で準備する「郵政民営化」をすぐにやると言い始めて、驚き慌てました。民営化して民間企業としての決算のコンピュータシステムや都市銀行に負けない融資業務や郵便業務以外の民間業務などの準備がまったくできていない「郵政民営化」を突然やると言い出した良識外の首相は、無理なことを権力を背景に周囲に要求して、無理な「郵政民営化法案」を作りました。

政府は「郵政民営化」の基本方針を発表していますが、法案は115ページの法案です。簡単に引用すると下記のとおりです。

<最終的な民営化時点における各事業会社等のあり方>
  最終的な民営化時点における各事業会社等のあり方は、以下の通り。なお、分社化に必要となる枠組み等については、郵政民営化法案(後述)に盛り込む。
 
(1) 窓口ネットワーク会社
(ア) 業務の内容
・ 適切な受託料の設定及び新規サービスの提供により、地域の発展に貢献しつつ、収益力の確保を図る。
・ そのため、郵便、郵便貯金、郵便保険の各事業会社から窓口業務を受託する。また、例えば、地方公共団体の特定事務、年金・恩給・公共料金の受払などの公共的業務、福祉的サービスなど地方自治体との協力等の業務を受託する。
・ 民間金融機関からの業務受託の他、小売サービス、旅行代理店サービス、チケットオフィスサービスの提供、介護サービスやケアプランナーの仲介サービス等地域と密着した幅広い事業分野への進出を可能にする。
(イ) 窓口の配置等
・ 窓口の配置についての法律上の取り扱いは、住民のアクセスが確保されるように配置するとの趣旨の努力義務規定とし、具体的な設置基準のあり方等は制度設計の中で明確化する。
・ 代替的なサービスの利用可能性を考慮し、過疎地の拠点維持に配慮する一方、人口稠密地域における配置を見直す。
・ 窓口事業の範囲は、原則として郵便局における郵便集配業務を除く郵便、郵便貯金、郵便保険に係る対顧客業務及び上記(ア)の業務とする。
 
(2) 郵便事業会社
(ア) 業務の内容
・ 従来の郵便事業(窓口業務は窓口ネットワーク会社に委託)に加え、広く国内外の物流事業への進出を可能にする。高齢者への在宅福祉サービス支援、情報提供サービス等地域社会への貢献サービスは、適切な受託料を得て、引き続き受託する。
(イ) サービスの提供範囲
・ 引き続き郵便のユニバーサルサービスの提供義務を課す。
・ ユニバーサルサービスの維持のために必要な場合には、優遇措置を設ける。
・ 信書事業への参入規制については、当面は現行水準を維持し、その料金決定には公的な関与を続ける。
・ 特別送達等の公共性の高いサービスについても提供義務を課す。このために必要な制度面での措置は、今後の詳細な制度設計の中で検討する。
 
(3) 郵便貯金会社
(ア) 業務の内容
・ 民間金融機関と同様に、銀行法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行う(窓口業務や集金業務は窓口ネットワーク会社に委託)。
(イ) 新旧契約の分離
・ 民間企業と同様に納税義務を負うとともに、新規契約分から郵便貯金の政府保証を廃止し、預金保険機構に加入する。
・ 公社勘定は公社承継法人が保有し、その管理・運用を郵便貯金会社が受託する。運用に当たっては、安全性を重視する。
 
(4) 郵便保険会社
(ア) 業務の内容
・ 民間生命保険会社と同様に、保険業法等の一般に適用される金融関係法令に基づき業務を行う(窓口業務や集金業務は窓口ネットワーク会社に委託)。
(イ) 新旧契約の分離
・ 民間企業と同様に納税義務を負うとともに、新規契約分から郵便保険の政府保証を廃止し、生命保険契約者保護機構に加入する。
・ 公社勘定は公社承継法人が保有し、その管理・運用を郵便保険会社が受託する。運用に当たっては、安全性を重視する。
 
(5) 公社承継法人
(ア) 業務の内容
・ 郵貯・簡保の既契約を引継ぎ、既契約を履行する。
・ 郵貯・簡保の既契約に係る資産の運用は、それぞれ郵便貯金会社及び郵便保険会社に行わせる。
(イ) 公社勘定の運用
・ 公社勘定に関する実際の業務は郵便貯金会社及び郵便保険会社に委託し、それぞれ新契約分と一括して運用する。
・ 公社勘定の運用に際しては、安全性を重視する。
・ 公社勘定については、政府保証、その他の特典を維持する。
・ 公社勘定から生じた損益は、新会社に帰属させる。

<移行期・準備期のあり方>
 
(1) 移行期のあり方
 民営化の後、最終的な民営化を実現するまでの間を、移行期と位置付ける。移行期のあり方は、以下の通り。
(ア) 移行期における組織形態
・ 国は、日本郵政公社を廃止し、4事業会社と国が全額株式を保有する純粋持株会社を設立する。設立時期は2007年4月とする。情報システムの観点からそれが可能かどうかについては、専門家による検討の場を郵政民営化準備室に設置し、年内に結論を得る。窓口ネットワーク会社及び郵便事業会社の株式については、持株会社が全額保有するが、郵便貯金会社、郵便保険会社については、移行期間中に株式を売却し、民有民営を実現する。その際には、新会社全体の経営状況及び世界の金融情勢等の動向のレビューも行う。また、国は、移行期間中に持株会社の株式の売却を開始するが、発行済み株式総数の3分の1を超える株式は保有する。

郵政公社の約24万人の社員は、「郵政民営化」に反対ではありません。「郵政民営化」に対する準備期間が突然終わりではなく、あと2年準備にくださいと言っているだけで、郵政公社4年の準備期間を突然に2年で終わりと宣言し、すぐにしなければならない理由がないでしょうと言うわけです。郵政公社の社員が都市銀行や大手保険企業に対抗できる融資業務や保険業務ができるまでには時間がかかります。郵便、郵便貯金、郵便保険の各事業会社から窓口業務を受託する現在の郵便局の窓口ネットワーク会社は、例えば、地方公共団体の特定事務、年金・恩給・公共料金の受払などの公共的業務、福祉的サービスなど地方自治体との協力等の業務を受託するとなっています。 民間金融機関からの業務受託の他、小売サービス、旅行代理店サービス、チケットオフィスサービスの提供、介護サービスやケアプランナーの仲介サービス等地域と密着した幅広い事業分野への進出を可能にするとありますが、できるかもしれませんが、2年間でこれだけの広範囲の他業種業務が現在の郵便局に可能なのでしょうか。 日々の郵便業務をこなしながら、新たな民営化企業になるための教育は、約2万4700ある郵便局で少ない局員が昼間に研修などは受けられません。郵便業務が終わった夜や土曜や日曜に融資業務などの研修を受けることになります。1年間に土日無休で研修しても100日程度で3ヶ月くらいの研修では都市銀行に対抗できる接客融資業務や広範囲な他業種業務能力の研修など不可能です。昼間は郵便業務に従事し、夜間は新たな金融商品の勉強や融資業務の研修や他業種業務の勉強もしなければならなくなります。
そして、郵便局にコンビニなどの民間業務をさせることになれば、コンビニの膨大なコンピュータシステムを2年では到底構築できません。コンビニ業務などの研修や勉強を24万人に徹底するならば、少なくとも郵政公社の社員は2年以上1日の休みもなく、夜間まで勉強する厳しい民営化の準備を覚悟しなければなりません。人件費は1.6倍以上になりますが、2年以上も家庭生活を犠牲にした民営化の作業が郵政公社社員を襲います。

コンピュータ部門は過労で倒れるものが続出するでしょう。2〜3年の時間をかけた「郵政民営化」ではなぜだめなのか。十分に議論した結果の準備された「郵政民営化」ではなく、なぜ首相の思いつきの「郵政民営化」なのか。郵政公社の社員の生活を極限まで追い詰める「郵政民営化」をなぜ今、どうしてもしなければならないのか。「郵政民営化」は誰も反対していません。「郵政民営化」に十分に準備できる時間をもう2年くださいと言っているだけなのに、反対派は抹殺だと言われます。多くの郵便局は、少数の局員で業務をしています。業務は個人商店のようなものです。それが、大手スーパーに対抗できる接客業務能力を突然要求されても無理な要求です。小さな郵便局で大手都銀と戦う銀行業務や融資業務が要求されます。しかも、日々を郵便業務で働く郵政公社の社員に新たな能力を要求するのですから、時間もなく働きながらの研修や勉強は過酷です。ライブドアの堀江氏でも自分の会社の社員に2年間は休みもなく、働きながら夜間も研修・勉強があると宣言すれば、社員のほとんどは辞めていくことを知っていて、小泉流「郵政民営化」には賛成です。他人の痛みや苦労には無関心の国民や堀江氏ですが、郵政公社としては4年の準備期間を約束した小泉首相の2年で終わりという突然の思いつき「郵政民営化」には、どうしても納得できないでしょう。

また、現在の郵政公社という一体組織を分割して、2年後に郵便、郵便貯金、郵便保険の各事業会社の各事業の分割民営化会社にすれば、郵政公社一体で黒字の会社が、分割民営化後は郵便会社はすぐにでも赤字に転落する民間企業になります。いずれ縮小して赤字となる貯金や保険の民間企業も、窓口会社が業務範囲を10年以上かけて少しづつ広げても、それは窓口ネットワーク会社という民間企業の利益になるだけで、民営化されて民間企業となった赤字の郵便会社や貯金会社や保険会社の赤字補填はできません。郵政公社で全体として税金を使わない黒字会社を、市場競争力のないまま分割民営化して、窓口会社が業務拡大を失敗すれば、すべての郵政事業を赤字にしてしまう民営化にどんな意味があるのでしょうか。赤字の民間会社は倒産か売却の処理をするか、日本の都市銀行と同じように税金で救うかの選択が待っているだけで、市場競争力のない民間企業としての準備もない郵政民営化は、結果として郵政事業を海外の企業に売り渡すか、税金救済の結果しか生みません。税金を使わない黒字の郵政公社のままであと2年間は、市場競争力ある業務教育と他業種業務拡大の可能性と業務教育を十分にして、2年後に一体民営化か分割民営化かの民営化の方向性を郵政公社の業務能力を見極めた検討後に決定しても、決して遅くはありません。郵政公社の郵貯と簡保の資金が政府に無駄遣いされているから、郵政民営化であるなら、政府が無駄遣いしない決定をすればよいわけで、競争力のない郵政企業の民営化後の企業は、資金の運用先がなく政府にまた資金を預けるはずです。政府に無駄遣いを止める意思がない限り、郵政資金は民営化されても最終的には政府に無駄遣いされ続けてしまいます。

都市銀行の不良債権処理や合併に対して、融資業務は不良債権化しないように締め付け、合併のコンピュータシステムについても、完璧でないと合併は認めないと小泉政権の竹中大臣は銀行いじめを続けていますが、「郵政民営化」では融資業務の経験もない郵政公社に融資をさせて、決算もできないコンピュータシステムでもかまわないと「郵政民営化」を推進しています。

今回の「郵政民営化」は、郵政公社を民間企業にするだけでなく、これまでの郵政公社社員の働き方を大きく変えることになるという視点が欠けています。今回の「郵政事業の民営化」は法案を検討しても看板が「公社から株式会社」に変わるだけではないのです。郵政公社の仕事が民営化後も同じ仕事と言うわけではないのです。業務が専門性のある業務が多岐にわたり、場合によっては異業種業務まで追加される郵政事業だけではない大幅な専門性の高い業務の増加なのです。明日から看板が変わったといって仕事ができるものではないのです。日本国民は郵政法案も知らずに、看板が変わり公社の社員の身分が変わるだけだろうと、そのお手軽知性で簡単に考えて多くの国民が賛成です。郵政事業は国民が育ててきた国民の財産です。その財産に国民は無関心で、政府は郵政事業の民営化による株式の販売で5兆円が政府に入ると言っていますが、5兆円程度では香港上海銀行でも日本の郵政事業を買収できます。働く郵政事業従事者の立場を考えず、民営化後の海外からの買収防止策もなく、郵政事業のめちゃくちゃな民営化をなぜ国民は賛成なのでしょう。郵便局が普通の銀行やコンビニになるには、24万人の社員の働きながらの再教育が必要になるという認識が国民にも議員にもありません。郵便局員が明日から都市銀行のような融資業務など簡単にできないのです。他人の苦しみや苦労にはまったく無関心な国民と政治家の日本では、いつ自分が苦労を要求される側になるか分かりません。「郵政民営化」が国民に賛成されて、郵政公社の約24万人は今後どれだけ苦しむことになるのでしょうか。郵政公社が民営化された後の民営化企業がスタートする時は、多くの郵便局が民営化業務を苦しさから郵便局を止めるという決断をしないと誰が保証するのでしょうか。どれだけ、首相や国会議員が郵便局は守ると言っても、民営化があまりにも過酷であった場合は、郵便局自体が止めたいと言ってくることはないのでしょうか。全国に約2万5000ある郵便局は、普通、特定、簡易の3種類の郵便局に分類されます。このうち、約1万9000と全体の7割以上を占める特定郵便局は、明治政府が郵便制度を創設する際、地方の名士や資産家らに業務を委託したのが発端ですが、この特定郵便局があまりにも過酷な民営化だから、特定郵便局を2年で辞めて、他業種の商売に変わりますといってしまえば、郵政公社の窓口郵便局は約1万9000が消滅しますから、郵政公社が崩壊して民営化どころではありません。特定郵便局が郵便局を2年で辞めると全国で団結して反対すれば、小泉郵政民営化など吹っ飛びます。

「郵政民営化」の結論は、「郵政民営化」がたとえ国民の賛成の審判を受けても、時間のない郵政公社社員の生活犠牲に成り立つ「郵政民営化」であるなら、あまりにも過酷な現状に、多くの郵便局が「郵便局」の閉鎖を申し出ると言う最後の舞台があるかもしれません。時間のない過酷な郵政民営化に全国の数千の郵便局が廃止を申し出ると言う事態が起こらないとはいえません。苦労する郵政事業をするよりは都市部では他の商売をするほうが楽だということも出てくるでしょう。地方の郵便局も高齢化していまさら勉強もできないから止めますと言うことも出てくるでしょう。働く人間を考えない「郵政民営化」、郵政公社の過酷な運命に無関心な国民、もう日本には社会の協和と言う言葉はなくなってしまうのでしょうか。あなたは、現在の仕事を昼間に従事しながら、銀行業務や証券業務の基礎から学び、昼間の仕事にどんなに疲れていても銀行の金融商品や融資業務を勉強し、場合によってはコンビニ業務まで勉強して業務できるように、夜間や土日を研修と勉強に使って2年で準備するように突然に命令されたら、どうしますか。多くの社員が脱落するか、辞めていくでしょう。「郵政民営化」の賛成で、無関心に郵便局の局員を追い詰めていく、痛みの分からない国民にはもはや失望するしかありません。

最近は周辺諸国の韓国や中国ともめる日本ですが、中国と韓国の状況が大きく変わりつつあります。韓国に投資する国家として、米国は常に第一位の国家でしたが、2003年からはベルギーが第一位で米国は第二位になり、第三位が英国で、日本は第四位の地位になりました。韓国に対する欧州からの投資は急激に増加して、米国の19.2%を超えて47.3%までに拡大しました。韓国が米国から距離を持つようになったのです。在韓米軍の撤退問題など、韓国の米国離れは進んでいます。

一方、韓国と中国は急速に接近しています。中国に対する投資は、第一位の香港、第二位のバージン諸島、第三位の米国、第四位の韓国、第五位の台湾、第六位の日本と、韓国は日本以上に中国投資をしています。中国と韓国の2000年の歴史の中で、日本と米国の影響下にあった約100年を除外すれば、韓国は多くの歴史を中国との友好関係の中で生きてきました。日本に植民地にされ、大国の対立で分断されて韓国は中国との関係を失いましたが、やっと中国との友好関係を復活し、急速に中国に接近しています。

日本は中国と排他的経済水域の問題で先送りの問題解決を避ける態度を続けてきましたが、やっと中国の動きに問題解決の動きを始めました。8年以上も前から中国の東シナ海の動きを監視してきた防衛庁などの情報は外務省では無視され続けてきました。東シナ海の油田の利用が始まっても日本政府はその対応を放置して、急に中国の動きを国家主権の侵害と騒ぎ始めました。中国と日本の排他的経済水域の問題を先送りして解決してこなかった日本が、いきなり国家主権の侵害と言い始めても問題解決は簡単ではありません。中国の海軍力など問題にならないと中国の海軍増強に無関心だった防衛庁は今になって慌てる結果になりました。人類の歴史の中で2000年の大国であり続けた中国の歴史は、現代史の100年が中国が停滞し、日本や米国が発展する時代であったに過ぎず、いずれ中国は歴史的大国の復活を成し遂げることは当然のことでしたが、日本は今になって中国の経済復興と軍事復興に慌てています。日本や米国がどうであれ中国は歴史的大国として人類史に復活することは当然に考えられることですが、中国が1978年の改革開放路線から30年も経たず、大国としての基盤を確立するとは考えられなかったのです。21世紀の米国を超える経済・軍事大国の登場の可能性に、日本政府と日本国民は必死にそんな時代は絶対に来ないと思い込もうとしています。中国が日本を超える経済軍事大国になることはありえないことだし、決して許さないと考えますが、中国は日本や米国に関係なく歴史的大国の復活を成し遂げるでしょう。ロシアとインドと連携する超大国の中国の復活の時代に日本政府と日本国民はどう対応していくのでしょうか。世界の覇権は米国のものではないと歴史的アジアの覇権者の復活に、日本はどう対応していくのでしょうか。現在も他国を武力で侵略し、他国領土を奪い、大量破壊兵器や核までも保有していると疑われても、検証の義務も果たさず、領土返還の国連決議にも従わず、500以上の国連決議も無視続けるイスラエルという国家がありますが、他国を武力で侵略し領土を奪う行為を国際社会はどうすることもできない事実があります。何でもありの非情な国際社会の中で日本はアジアのどのような地位の国家になりたいのでしょうか。

物事を深く知ろうとしない国民、マスコミ報道に流されていく国民、意見を言うだけの知識も知性もない国民、21世紀の日本の政治はまさに宣伝上手の独裁者がふさわしいのかもしれません。憲法改正し、戦争放棄の国家から戦争ができる国家になる日本にはまさに独裁者がふさわしいのです。米国軍と一緒に国際貢献と言う海外派兵を行い、交戦権を認めて戦闘行為が可能になり、戦死者を祭る靖国神社が国家神道として復活する。反対派は徹底的に政界から追放して、独裁的な首相による政治体制を確立して、日本は21世紀に再び海外に軍隊を派遣して戦争できる国家になるのでしょうか。
日本の歴史的な政治分岐点に国民は大きな選択をしようとしています。

「郵政民営化」を叫び、「官から民へ」の「構造改革」を主張する小泉首相と武部自民党幹事長ですが、1994年6月30日、村山政権が発足した時の日本社会党の委員長だった村山富市氏を首班とし、自民党と新党さきがけの三党による連立政権時代に、「政治改革による構造改革」に大反対だった小泉さんと武部さんが、「政治改革による構造改革」推進派だった岡田氏を今になって、反改革派と非難するのも面白い事態です。政治家は国民が何も知らないとバカにしていますが、しっかり政治家の言ってきたことと行ってきたことを覚えている国民もいるのです。嘘と誤魔化しを恥ずかしいと感じない政治家を国民は決して許してはいけないと思います。

参考文献:
臥龍通信第66号「年金問題の本質」
臥龍通信第121号「郵政民営化法案の欠陥」
公開コンテンツ「日本の官僚主義」
公開コンテンツ「厳しい国家財政」
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥龍通信第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」

発行日 発行No タイトル
2005.08.10 第117号  独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)
2005.07.28 第116号  世界ブランドランキング2005
2005.07.08 第115号  日本の少子化と女性問題
2005.07.08 第114号  米国政府要望書
2005.07.01 第113号  日本の右傾化
2005.06.17 第112号  日本の戦後と靖国問題A
2005.06.17 第111号  日本の戦後と靖国問題@
2005.06.02 第110号  狂気の日本
2005.06.02 第109号  東シナ海ガス田問題
2005.05.23 第108号  中国から見た日本
2005.05.13 第107号  日本の国際競争力(IMD2005)
2005.04.18 第106号  最近の中国対立
2005.04.18 第105号  明治の成功と失敗
2005.04.18 第104号  報道の意図と文脈
2005.03.22 第103号  ライブドア騒動の深層
2005.03.15 第102号  日本の時代遅れの国際感覚
2005.03.05 第101号  日本のブランド戦略とデザイン戦略
2005.03.05 第100号  中国の知的財産権問題と日本の歴史問題
2005.02.22 2月号外  頑張れホリエモン
2005.02.20 第99号  21世紀の知的財産権戦略
2005.02.20 第98号  日本の対中貿易
2005.02.10 第97号  不動産ファンド
2005.02.10 第96号  中国のエネルギー戦略
2005.01.20 第95号  クルド人を救え
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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