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臥龍通信

臥 龍 通 信 第117号 <2005.08.10発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 117号 ◆
    独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)

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 ◆ 臥 龍 通 信 第117号 ◆
    独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)
独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)

日本民族は歴史的に岐路に立っています。日本民族の命運を強力な政治権力の議会を自由に支配する首相独裁に任せてしまうのか。また、意思決定は遅くても集団的政治体制である議会民主制を維持するのか。日本民族は21世紀の大きな選択をしなければならない時代を迎えています。日本国首相という独裁者の個人的な思いや能力に日本国民の運命を託すことができるのか。日本民族は今回の選挙で大きな選択をしなければなりません。

2001年に登場した小泉首相は、大多数の国民の支持を得て、内閣総理大臣に就任して、約4年が過ぎました。小泉首相の支持率は現在も約48%ほどあり、現在も多くの国民の指示を受けています。小泉首相は、国民の支持を背景に、自分に反対するすべての勢力を政治から追放して、日本の政治上初めての議会を自由に支配し、自分に都合のいい法律を制定できる独裁政治を始めようとしています。自分に反対する勢力はすべて追放してしまう過激さは、今回の「郵政民営化法案」に反対した身内の自民党議員に冷徹に発揮されました。反対した議員を自民党公認しないばかりか、対抗立候補者を立て、自分に反対する議員は落選させ政治追放してしまう小泉自民党は、対立する意見を政治の場から永遠に消滅させ、首相の意見に議会が絶対に反対できない体制を構築しようとしています。

「郵政民営化」は自分以外の地球上のだれもできないことであり、小泉首相の「郵政民営化」の方法論だけがどんな「郵政民営化」より優れており、小泉首相の「郵政民営化」方法論以外はすべて「郵政民営化」反対論であると自分が神であるかの如く宣言する恐ろしさには限りない恐怖を感じました。「郵政民営化」の方法論は「小泉民営化論」が唯一のものであり、自分の「郵政民営化論」以外のあらゆる「郵政民営化論」を否定してしまう国家首相の宣言は恐ろしすぎます。「郵政民営化」には他にも方法論があると言う意見を否定して反対者と断罪し、反対者には政界追放まで宣言する政権はどう考えても狂っています。

自分の考え方がこの世の唯一のものと宣言し、他にいくらでも方法論がある優先順位の低い「郵政民営化法案」に反対した自民党議員に政界追放を宣言するなど、また自分の所属する自民党を平気で壊すと言う精神構造は恐ろしすぎます。小泉の小泉による小泉のための政治に、自民党を壊し、身内の自民党議員を脅し、議会民主制を平気で無視していく小泉首相に国会議員は恐怖していることでしょう。自分はこの世の絶対的な者として、自分の考えだけが正しく、自分以外のすべてを考え方を否定し、脅して人間を屈服させ、自分の考えに反対する者は冷徹に排除していく政治は、やがて国民にも向かってくるでしょう。小泉政権に反対の国民は自民党議員と同じように冷徹に切り捨てられ、抹殺されていくでしょう。自分の考えを実現するためには身内の自民党議員や日本国民や国家国土を冷徹に犠牲にできる独裁者の登場は国民の選択でもありますから、国民が後悔しても仕方がないことなのですが、独裁者の暴走を支持はしても、止める国会議員も法律も国民も存在しません。

小泉政権の特徴は、@スローガンだけ政策、A丸投げ政策、B無責任政策、C内容ない政策、D反対者抹殺政策などがあります。

@スローガンだけ政策
「郵政民営化」や「構造改革」というスローガンが先行する政策ですが、具体的な方法論が独裁者にはありません。スローガンを語るだけの知識や方法論が独裁者にはありません。そのために、外部から人材を登用するのですが、担当者にスローガンの実現を丸投げしてしまいます。スローガンを具体的に実現する能力がなく、また方法論の内容にはまったく興味がないために、国会答弁でもスローガンを繰り返すだけでまともな答弁ができません。

A丸投げ政策
国政の優先順位も無視して、自分の好き嫌いでスローガンを掲げて、実現の能力がないために担当者に丸投げして、具体的な方法論さえ理解しようとしません。私は専門家でないと平気で答弁する独裁者は、最終的にはスローガンの実現責任も担当者に押し付けてしまい、自分は決して責任を取ることなど考えません。

B無責任政策
スローガンだけの丸投げ政策で、責任意識もない独裁者は、自分の過ちも決して認めようとしません。まるで自分が神であるかのようにスローガンを繰り返し、決して他の意見を聞こうとせず、失敗の責任も認めようとしません。国会答弁で嘘をつき、約束したことを守れなくても、その程度の約束は守らなくても良いと恥ずかしくもなく国会答弁する独裁者を日本国民は恐ろしいとは考えず、今でも支持しています。嘘や詭弁やごまかしを続ける首相を多くの国民がこれから国民の模範として尊敬していきます。

C内容のない政策
改革と言いながら、改革が中途半端で、批判されるとこれまで誰もできなかったことで未来永劫誰もできないと宣言します。この世に唯一の改革者と宣言し、他の方法論の存在を否定し、改革のスローガンだけで具体的な実現の方法論も慎重に検討しません。とにかく、スローガンを掲げて自分以外にはできなかったことだと宣言して、恥ずかしいとも思わないほど恥知らずです。内容などには関係なく、自分の考えに反対か、賛成かだけを問題にする内容のない国家最高権力者の処断が恐ろしさを倍化させます。

D反対者抹殺政策
自分の意見が地球上で最良の無二のものであり、自分が決定した方法論以外のすべての方法論を抹殺して、反対意見を持っているというだけで追放を考える政権は恐ろしい政権です。「郵政民営化法案」に賛成しないと解散するぞと国会議員を脅す政権ですから、自分の考え方を認めないと戦争を始めて、国土を火の海にするぞと国民を脅しかねない政権など認めるわけにはいきません。

小泉政権で言われたことは、「構造改革」、「官から民へ」、「小さな政府と大きな政府」、「郵政民営化」などでしたが、問題は内容ですが、小泉政権の内容は悲惨です。

「構造改革」
「構造改革」というのは、時代を超えた政治の使命です。地方や都市の格差や科学技術の進歩と社会構造の変化に対応した政府政策や政府組織を改革し続けることは、政治の使命です。「構造改革」はこれまでの政治におけるあたりまえのことですが、小泉政権以前には「構造改革」がなかったような印象を国民に与え、国民は「構造改革」は小泉政権以外にはできないとまで思い込んでしまいました。日本社会の地域格差や所得格差や様々な組織の利害調整のための「国家組織の構造改革」は政治の最も重要な使命ですが、小泉政権は自分たちだけが「構造改革」ができると宣伝に成功しました。過去の政治が戦後60年間で時代の進歩に対応しない、「構造改革」のできない政治であったならば、日本は世界第二位の経済大国になる前に破綻しています。国民を騙す政治と政治に騙される国民の問題が今回大きくクローズアップされました。小泉政権の「構造改革」4年が国民にもたらしたものは、5兆5000億円以上の国民負担の増加と200兆円以上の国債を発行して、国民の借金を増加させたことだけでした。

「官から民へ」
郵政公社や道路公団といった組織が民営化されつつあります。民営化とは民間企業になると言うことです。公務員は民営化で公務員でなくなりますが、民営化は巨大な企業を作り出し、公務員であった社員に政治と国民の関与ができない組織を作り出すと言うことです。民営化すれば談合は民営化同士の企業の取引として合法化されます。天下りも政府や国民に批判されることのない民間企業になります。政府系の独占的民間企業として、役員報酬や社員報酬も上限なくもらうことができます。談合や天下りや給与や退職金について、もはや国会も国民も関与できない巨大な民間企業が出現するのです。無駄遣いしても国民から批判されることもなく、堂々と天下りして巨額な退職金ももらえます。経営が悪化すれば巨大な企業であるために倒産させられないと政府から巨額な援助金が税金から投入されます。困るのは一般企業と同じで末端の社員がリストラの対象として苦労するだけです。業務の効率化を可能にするのは、制度ではなく、働く社員の意識です。「郵政民営化」で業務が効率化でき、今よりも合理的な組織になるなど、経営の現場を知る者として言わせてもらえば、素人の発想です。国営だから談合や天下りが批判されますが、民間企業になれば経営陣の多くが旧公社理事の公務員であれば、どんなことになるかの発想もできない「官から民へ」の構造改革は、官僚の天下りをさらに増加させ、官僚天国を民間企業に作ることでしょう。騙す政治と騙される国民の構図がここでも見えてきます。公社や公団で制御できなかった公務員は民間企業になれば、もはやまったく批判することさえできない存在になります。官僚天国の「官から民へ」の構造改革は、小泉政権の見せかけ改革と見抜くことが国民には必要です。

「小さな政府と大きな政府」
小泉政権は「小さな政府」を目指すと言っています。「小さな政府」とは国民の税金負担を小さくして、国民サービスはできるだけ民間企業に任せると言うことです。しかし小泉政権の4年間で国民負担は5兆5000億円も増加しました。これからは消費税のさらなる負担が国民を待っています。税金負担は「小さな政府」を目指して減少するのではなく、これからは大幅に増加していきます。公務員の削減は、公団公社の民営化で減少しますが、公務員の新たな特権民間企業が出現するだけで、公務員が減るのに国民を待っているのは大増税です。「小さな政府と大きな政府」の議論は、日本社会に現在ある国民サービスを国家組織が行うか、民間企業で行うかで国民の支出は変わりません。変わるとすれば、国民に平等に供給されてきた国家の国民サービスを民間企業が行うようになり、金持ちはより多くのサービスを受け、低所得者はサービスを受けられなくなるということです。政府の公団公社が民営化して民間企業になったから、無理無駄がなくなり企業効率は上がるなど経営を知らない素人の発想です。公団公社時代に汚職や無駄遣いを止められなかったとすれば、誰も経営に文句も言えない民間企業になったら、無理無駄はさらに拡大するでしょう。「小さな政府と大きな政府」は基本的に国民負担を何も変えないどころか、金持ちだけが豊富なサービスを受ける社会になりかねないことを国民はそろそろ気づくべきです。

「郵政民営化」
「郵政民営化」は小泉政権の最も重要視する政策でしたが、内容がお粗末過ぎました。決算もできないコンピュータシステムで民間企業になると言うのですから大笑いです。投資業務の担当者も通信教育で勉強中という有様では、民営化を賛成できません。毎日の金銭の出し入れ数字が合わない郵便局がたくさんあり、1円でも数字が合わなければ合うまで残業という銀行業務さえまともに遂行できない組織の意識改革が必要であって、民間企業になったから毎日の金銭収支が完璧になり、決算できるコンピュータシステムが自動的に稼動するなどということはないのです。「郵政民営化」には数百、数千の方法があるはずです。「小泉政権の郵政民営化法案」がこの世のただひとつの民営化方法論であり、他のいかなる方法論であっても、「郵政民営化」を否定する方法論だと宣言する小泉政権は恐ろしい政権です。「小泉政権の郵政民営化法案」は内容がお粗末で、「小泉政権の民営化法案」は明らかに否決されるべき法案でした。郵政民営化は公社として4年間は民営化の準備をすると決定したのは小泉首相でした。郵政公社の民営化まで4年でコンピュータシステムだけでも大変な作業ですが、公社になって2年でなぜ無理やり民営化しなければならないのか。情報システム担当者の無理ですという意見を否定してまで、なぜ今民営かなのか。私には理解不能の状況です。「郵政民営化」を実現したという個人的な満足のために、システムもまともでない金融機関を利用しなければならないとしたら、国民は大きな迷惑です。しかも、「郵政民営化」の責任を取るわけでもない小泉さんの個人的な思いに振り回されるのはもういい加減うんざりです。国会議員を脅してまで民営化法案を可決させようとした小泉政権には恐怖さえ感じます。「郵政民営化」には誰も反対していません。反対しているのは、内容のお粗末な「小泉政権の郵政民営化」なのです。

郵政民営化を担当している竹中大臣のホームページを見ると「郵政民営化の4つのメリット」が掲載されています。

小泉政権の郵政民営化が国民にもたらす4つのメリット
[1]350兆円が民間のものになる
いま、郵政は、郵貯を240兆円持っている。これは、日本のメガバンクの合計よりも多い。そして簡保は、最大の日本生命の3倍規模だ。両方あわせると350兆円である。いま国のものになっているこの巨大な資産が民間のものになるということの意味は大きい。

国会答弁では、金余りの日本で銀行も資金運用先を探しているのに、民間部門でどこに資金運用するかは明確にされていません。350兆円を民間のどこに運用するのか、350兆円が民間のものになるとはまさに意味不明です。

[2]2万4000のコンビニチェーン
主に三つの商品に限定されている郵便局という名前のコンビニがある。それが民営化され、民間と同じ競争レベルに立つと、多くの商品を扱うようになったり長時間営業が可能になったりする。それだけ国民の利便性は増すだろう。

民間銀行・証券業務もまともにできるのか疑問のある郵便局に、コンピュータシステムも間に合わない状況で、セブンイレブンを超えるコンビニのコンピュータシステムの構築が可能と思っていることは、コンビニをなめています。郵便局の職員だった者が、コンビニの陳列や在庫管理など兼務できるはずがない理想を言っています。ドイツの郵政民営化はスーパーやコンビニに郵便業務を委託して、郵便業務だけの郵便局を潰していったから成功しました。官が民になったのではなく、民が官になった成功でした。
郵政の国営を維持している米国から、日本は郵政の民営化を要求されていますが、自動車で隣町まで行かないと郵便局がないドイツの郵政民営化の成功は、多くの郵便局の廃止で成功しました。
スーパーやコンビニがサービスの追加として郵便業務を委託されることと、これまで郵便局であったところがコンビニ業務を始めることは大きな違いがあります。

[3]公務員が減る
公務員として日本郵政公社で働いている人員は現在28万人だ。この28万人が公務員でなくなるわけだから、「公務員を減らして小さな政府に」という基本姿勢に一致する。

税金で給与をもらっていない郵政公務員が公務員でなくなっても、現在の国民の税金負担にはまったく関係がありません。郵政事業で利益を上げて黒字の税金から給与ももらっていない公務員の削減が、なぜ税金から給与をもらい、国民の年金資金を無駄遣いする厚生労働省の経費削減を放置して、郵政公社民営化が優先して行われるのか、私には理解できません。「小さな政府」は公務員の削減によるサービス提供の民営化で、民営化されても税金で取られるか、自分の財布から民営企業に費用を支払うかの違いしかありません。「大きな政府」ですべて税金で取られるか、「小さな政府」で税金を取られない分、民営化された民営企業に直接費用を支払うかの違いに過ぎません。

[4]国の財政に貢献する
よく、郵政は国鉄とちがって、税投入をしていないから、民営化の必要がないという意見を聞く。しかし、たとえば、郵政は税金も預金保険料も払っていない。
つまり、国民は見えない形で税負担をしていることになる。それが民営になれば、これらの支払い義務が生じる。結果として、日本の財政に貢献することになるだろう。

竹中大臣は6月の国会答弁で、「民営化10年目の2017年3月期の郵便貯金銀行の最終損益(税引き前)が600億円の赤字になる」との試算を明らかにしました。「日本郵政公社のままなら同時期の郵便貯金事業は1383億円の黒字になる」との試算も合わせて答弁しました。
試算は資金運用の金利と、貯金者への利払い金利の差が現在の1・3%より小さい1%と仮定、民営化した場合も公社のままの場合も新規事業は行わないとの条件でした。民営化されて民間企業になれば業績が赤字であれば、企業は税金を払うことはありません。赤字が見えていて、税収は見込めず、株価は安くなり、企業買収の対象にさえなるかもしれません。
小泉流「郵政民営化」はもうめちゃくちゃです。

郵便局がなくなるかなくならないかの議論も盛んですが、国民が知らないことがあります。郵政事業を維持している全国約1万9000の「特定郵便局」は個人の資産である土地建物と人員を国家に提供する特殊な国家公務員です。簡単に言えば「特定郵便局」は郵政フランチャイズのオーナーのような存在です。一般公務員と違って、個人の土地建物を明治には無償で国家に提供した郵政事業の中心にあります。当然に、個人資産を国家に提供するので一般公務員よりも特典がありますが、その特典や世襲制が批判されます。自分の親の土地や建物を国家に提供して郵便局が成り立っているのに、その事業を子供が継げないのならば、郵便局を止めて郵便局の土地建物をアパート経営やマンション経営に商売替えした方が得です。政府は郵政事業を国家国民のものと言いますが、実際は個人の土地建物の約1万9000の個人資産郵便局で成り立っています。「特定郵便局」に十分な説明もせずに、株式会社化されて政府だけが株で儲けようなど反対されて当然です。勝手に民営化するのであれば、土地建物ごと全国約1万9000の郵便局が止めると言い出したら、日本の郵政事業は崩壊します。

今回の9月11日の衆議院選挙には自民党と日本国民の未来がかかっています。
自民党政権は議院内閣制を首相に否定されてまで、政権存続を考える政党ではなかったはずですが、戦前の内閣の陸軍大臣が辞任して内閣を総辞職させるぞと脅して、戦争に突っ込んでいって国民は誰も止められなかった過去を思い出してしまいます。政治独裁と政権の暴走を誰も止められない国家体制は、恐ろしい政治体制と言えます。小泉政権の約4年間の「構造改革」は5兆5000億円も国民の負担は増加させただけで、「官の金を民へ」と言う「郵政民営化」も郵政公社を止められるのに止めずに、郵政公社の金を200兆円以上も国債に使い、「官の金を官に」使い国家借金をさらに増やしたのは、小泉首相本人です。国家権力を反対者排除のために使い、権力のない者に絶対的な権力を使って脅し、冷徹に排除していく21世紀の自民党政治の本質が今回も見えてきました。小泉首相は今回の郵政民営化法案に反対した自民党議員に対する報復のために、750億円の国民の税金を使って選挙を実施して、自民党の反対議員の抹殺を決断しました。小泉首相の法案に反対した自民党議員の抹殺に使われる税金は反対議員一人に対して20億円以上の税金を使うことになります。反対議員の半分が抹殺されたとしても、反対議員の抹殺費用は一人40億円の税金がかかる選挙など、本当に必要だったのでしょうか。日本の47都道府県の30%以上の小泉首相の法案に反対の決断をした地方の15の県の自民党県連は小泉首相の脅しに対して、地方を代表し地方の意見に従った公認をされない報復を受けた郵政民営化法案否決議員の支持を発表しました。

内閣総理大臣の国会解散権
内閣総理大臣の国会解散件については、憲法に明確な規定がなく、これまで様々な解釈がされてきました。これまでの解釈では、内閣総理大臣の国会解散権は国会の内閣不信任案が可決されるか、参議院で否決された法案は衆議院で再度審議して、3分の2の賛成がなければ、その段階で解散が議論されて、内閣総理大臣の解散ができるという解釈ですが、まず衆議院の再審議をしないで、解散をしてしまいました。内閣総理大臣の解散権はこれまで慎重でしたが、小泉首相は言うことを聞くまで何度でも内閣総理大臣は国会を解散することができる前例を作ってしまいました。国会から選ばれた内閣総理大臣は、自分の言うことを聞く国会議員ばかりになるために、何度でも国会を解散して国会を支配する方法を実現しました。米国の大統領でさえ持っていない国会解散権を、小泉首相は立法府の国会から選ばれた行政府の内閣総理大臣が立法府の国会を完全支配する体制を確立しました。憲法に規定されている三権分立の精神は事実上崩壊しましたが、日本のマスコミ各社は三権分立の崩壊をまったく問題にしません。小泉首相の「総選挙で自公で過半数を取れなければ退陣する。」という発言を「総理の不退転の意志」と報道します。総選挙で過半数を取れなければ、内閣総理大臣の指名はないから退陣はあたりまえのことですが、「総理の強い意志」とマスコミは騒ぎます。大学入試で「不合格ならば、入学せず。」というようなものです。今回の選挙を「郵政民営化」を国民に問う「郵政民営化選挙」と言っていますが、もし今回の選挙で小泉首相が勝てば、今度は「郵政民営化の信任」ではなく、「小泉政権のすべての政策の信任」と言い出し、再度「郵政民営化法案」を国会で可決させ、さらに反対派のいなくなった国会で、憲法改正と自衛隊の海外派遣の合法化を成立させるでしょう。国民の国防の義務ももりこまれ、徴兵制も可能な憲法が国会で反対されることなく成立するでしょう。日本の議院内閣制は、司法と行政と立法の憲法に規定された三権分立の制度で成り立っていました。国家政府である内閣の行政を審査し、不正のチェックをして、行政府を監視し、行政府に必要な法案を作るのが立法府の国会議員の仕事でした。独立した権限で行政府を監視する立法府に、行政府の総理大臣は言うことを聞かない立法府を解散総選挙で脅し、行政府の総理大臣を監視する役割の立法府の国会議員に対して、行政府の言うことを聞かない立法府の国会議員は抹殺すると宣言しました。立法府は行政府に従えという日本の三権分立が崩壊し、司法の基本である法律を作る立法府を支配下に置き、行政府が三権の頂点に立つことになりました。日本の政治に絶対権力を持つ内閣府の総理大臣が独裁権を確立した瞬間でした。今回の選挙は「郵政民営化選挙」ではなく、三権分立を崩壊させて、「国会を支配する総理大臣に絶対権力を認めますか?」という選挙であることを、国民は見抜かねばなりません。

年金国会の「人生いろいろ発言」(注1)、中国に対する「孔子発言」(注2)、今回の「ガリレイ発言」(注3)など、なにも深く知らない非常識発言を誰も止める者はいないのでしょうか。小泉政権の支持者は知能指数の低い主婦層&子供を中心、シルバー(高齢者)層、具体的なことはわからないが、小泉総理のキャラクターを支持する層、内閣閣僚を支持する層などとして、知能指数の低い支持者向けの「郵政民営化宣伝パンフレット」作成費と賛成工作資金、約1億数千万円を業者に支払いました。小泉政権の支持者は知能が低い主婦や高齢者と考えているなど、呆れてものが言えません。何事も深く考えない首相、人格的にも信頼できない暴走する首相を誰も止めない自民党執行部は、もはや政権政党としても存在意義がありません。

(注1):まず、小泉首相の発言で有名なのは、「人生いろいろ発言」です。国会の答弁で、年金の未納問題で、野党から追及された小泉首相は、選挙で落選した時代に、ある企業の社長に「働かなくてもいいよ。君の仕事は選挙に当選することだから。」と言われ、社員として入社しても働かずに給与と厚生年金を払ってもらっていました。「勤務実績がないのに給与をもらい、厚生年金にも加入していた。」事実に、野党は「勤務実績がなくても、厚生年金に加入するというのは、詐欺行為にも等しい。」として、追求しました。 小泉首相は、「会社員でも働かず、好きにしていいという企業もあるのだから、企業もいろいろ、社員もいろいろ、人生もいろいろです。何が悪いのですか。」と答弁しました。 「企業で働いていない一般の国民は国民年金に加入し、企業で働く厚生年金には加入できないことになっているのに、名義だけで厚生年金に加入することは詐欺行為だ。勤務実績もなく厚生年金に加入できれば、国民年金の加入者はすべて厚生年金に加入できることになる。年金行政の根幹をゆるがす大問題発言だ。」と野党は小泉首相を攻撃しました。 小泉首相は、「世の中には良い人もいるもんだと感謝しており、会社もいろいろ、社員もいろいろなのですから、私のしたことのどこが悪いのか理解できない。」と答弁しました。 そして、小泉首相は、「選挙に落選した時代に私を雇ってくれた企業の社長には今でも大変感謝しているし、社長のお墓にお参りに行きたいくらいだ。」とも答弁しました。 国会答弁後に分かったことですが、小泉首相を雇ってくれ、大変感謝している企業の社長は死んでおらず、現在でも生きており、お墓参りなど行けないことが判明しました。 マスコミのインタヴューで、「答弁された社長は生きているということですが、どう思われますか?」という質問に、小泉首相は「良い人は長生きするもんだね。」と答えただけでした。

(注2):小泉首相は最近の国会の答弁で日本のA級戦犯に関して「罪を憎んで人を憎まずという言葉は孔子の言葉だ。」と答弁して、加害者の日本の首相が被害者の中国に対して「罪を憎んで人を憎まず。」という愚かな答弁をしてしまいました。日本の中国侵略で親子三代の悲惨な一族の歴史を持つ日本の中国侵略の現実の被害者でもある中国の胡錦濤国家主席はどんな思いで、小泉首相の答弁を聞いたことか、その怒りが理解できます。ちなみに、中国の人民日報は5月31日付で、小泉首相の発言を「断片的に引用して、孔子を曲解したものだ」論評し、問題の「罪をにくんで人を憎まず」という部分の後には、「罪を犯した人間を生かそうとする。それができないなら『刑』する。」と続くことを紹介し、また、前後の部分から判断して、「罪をにくんで」の部分は「小さな罪なら、これを赦(ゆる)す。老人や弱者は受刑させない。」という考えを反映したものだと解説しました。そして、「靖国神社に祀られているA級戦犯の犯した罪は、小さな罪なのだろうか。彼らは、弱者だったのだろうか。」と疑問を投げかけ、小泉首相の発言を、「孔子の一節を断片的に取り上げ、勝手な解釈をほどこしたものだ。」、「小泉首相はもっと勉強するべきだ。」と反論しました。

(注3):ガリレイは中世のキリスト教異端裁判で、地動説を否定するようにローマ教皇と言う権力者から弾圧されて、弾圧された側の弱い立場の人間であるガリレイを、小泉首相は権力者で弾圧している側が例えに出しているのはどう考えてもおかしな話です。小泉流の「郵政民営化」の方法論は間違っていると反対した国会議員が、小泉流の「郵政民営化」はこの世で唯一の民営化論であると賛成せよと脅されて、反対議員が「それでも小泉民営化は間違っている。」とつぶやくのなら理解できますが、弾圧する権力者が俺はガリレイだとは驚くべき無知と言うしかありません。

日本の政党は、日本の様々な地方状況の背景があり、議員を支持している地方の状況は決して同じではありません。当然、国民全体の利益と言う政策はほとんどありません。地方の利害の対立を調整して、全国的な納得を目指す政策は、日本の国家組織の大きさと地方の様々な状況が、国会で国会議員の議論によって調整されるのが、日本の議会制民主主義でした。自民党の地方党員の「郵政民営化反対」の意見を聞こうともせず、十分な説明もなく、地方の選挙区の支持者である自民党党員の意見を代表した地方の自民党国会議員にどのような罪があると言うのでしょうか。自民党は小泉のものであり、全国の自民党党員の意見など関係なく、独裁者の意見に無条件に従えと強要する小泉政権は、やがて日本は小泉のものであり、国民の反対など許さないと、反対意見の多くの自民党党員を無視したように、国民も無視していくでしょう。参議院で「郵政民営化法案」が否決されたからと言って、可決した衆議院を解散させると脅す首相は恐ろしい存在です。

今回の「郵政民営化法案」は、完全民営化して株式を売却して買収の危険性があるため、地方から郵政公社の民営化の株を地方自治体に売却して下さいという意見さえ出され、47都道府県が意見書と反対書を提出し、全国市町村の93%が反対意見を表明した法案であるから、地方が地盤の自民党国会議員は反対を表明することはありえる欠陥法案でした。民営化に間に合わない決算もできないコンピュータシステムも大笑いなのですが、問題だらけの法案に反対したと言って、自民党追放とは自民党もなさけない政党になりました。自民党の国会議員は地方の自民党党員の支持で当選してきました。その自民党の地方党員の多くの反対があった法案に、地方から当選した自民党国会議員が反対するのも当然のことでした。自民党は小泉首相のものでもなく、国会や国会議員は小泉首相のおもちゃではありません。自民党は総裁のものでも執行部のものでもなく、自民党の党員のものであり、自民党が全国の地方党員のものであるとすれば、今回反対した自民党議員には地方の自民党党員が多くの支持をして当選させることを望んでいます。全国の自民党党員を無視した自民党執行部の脅しを地方の党員の反乱で、正常な議院内閣制の状況に戻って欲しいと思っています。自民党の党員は県単位で「郵政民営化法案」の是非をまず問い、県単位で自民党執行部とは違う行動も考えるべきなのです。自民党は小泉首相のものではなく、全国党員のものなのですから。

今回の「郵政解散」は、自民党のほとんどの党員や地方議会議員が反対したにもかかわらず、自民党内部の多数決を総裁が無視したことから始まっています。全国の自民党党員の意見を聞かず、多くの地方議会の議員決議を無視して、自民党の小泉執行部が脅しで国会採決をしたことで、自民党内部の分裂は決定的になりました。衆議院を解散しても参議院がそのままでは可決の見込みはないにもかかわらず、法案に賛成した衆議院を解散させて、反対者は政界追放の処断を下しました。小泉首相の冷徹さは、自分を自民党総裁にしてくれた恩義ある田中議員や亀井議員に対する態度でも分かります。中国や韓国の政府は、今回の小泉首相の脅しと追放を強行する政治を見て、彼は日本の議会制民主主義の三権分立を崩壊させ、日本の絶対的な独裁権を確立し、戦争を決断すれば反対派をすべて政界から追放して、国民の意見も聞かずに侵略を再度始めるかもしれない危険な国家指導者と考えたでしょう。

今回の解散選挙を「郵政民営化選挙」にしたい小泉首相ですが、今回は小泉首相の4年間の政治が問われる「小泉独裁政治信任選挙」になります。不良債権処理が自分の功績と語る政権ですが、民間企業が頑張ったのであって、景気の回復も民間企業が頑張った結果であって、あたかも自分が日本を立て直したと言う政権など、信用もできません。自分以外の人間は利用はしても恩義も感じない、利用できないことは平気で切り捨てていく国家指導者は、国民さえも利用し切り捨てていくでしょう。

日本の国民は確かに平和ボケしていますから、日本の現状認識も驚くほど低く、政治家に騙され続けます。日本の必要とする「構造改革」とは、国家税収約40兆円、支出約80兆円、借金700兆円以上で、現在の借金と国家財政不足を次世代の国民の負担させないためには、現在の税金をすぐにも2倍にするか、すべての国家公務員をクビにして、警察も消防もなにもない国家政府ゼロを実現するか、子供に将来3倍以上の税金を負担させるかしかありません。どんな方法論であっても国民はこれから想像以上の税金負担を覚悟するしかないのです。国民の税金を2倍にして30年以上も税金に苦しむか、国家政府の組織を解体して20年以上も国家政府なしで生きていくかの間で苦しい選択が日本の「構造改革」であり、「郵政民営化」などで争っている場合ではありません。高額所得者は税金90%以上、一般国民は60%以上の税金を覚悟しないと子供は今の3倍以上の所得の70%を超える税金に苦しむことになります。子供に苦しみを負担させる親の世代は子供が苦しむとも気づかずに政治に無関心で生きていくのです。「小さな政府と大きな政府」などという議論のレベルではない日本の現状なのです。

自分の考えに反対すれば、国会を解散するぞと国会議員を脅し、自分の言うことを聞かない議員は公認しないし、対抗候補を立てて落選させて国会から追放するなど、国家最高権力者のするべきことではありません。8月15日に靖国に参拝することも、税収が足りなくて国民の借金である国債発行を毎年30兆円以内に抑えることも、小泉首相の公約でしたが、一度も守られたことはありません。小泉首相は国会答弁で、公約を守れなくても、たいした問題ではないと発言しています。小泉首相の公約は首相自身は守らなくても、自分以外の国会議員には脅しても、解散しても、政界追放しても守らせるとは、もはや理解不能の国家指導者です。十分に知りもしないことを引用しては恥をかき、恩義ある人物が生きているのに死んだことにしてしまうような、知性もなく礼節もない国家権力者をいまこそ変えるべきなのです。国民の懸命な選択を期待しています。独裁政治の始まりを阻止して、自分たちの利益を越えて独裁政治に反対した今回の自民党造反議員には心から拍手したいと思います。

地方と都市の対立
今回の「郵政民営化騒動」で、議論にならない視点があります。マスコミも注目しませんが、今回の騒動を自民党内部の問題として考えた時、自民党の党員と支持者の中で地方と都市との考え方が大きく違ってきたということです。日本は地方と都市圏の集合体で、犯罪防止に躍起になる都市圏もあれば、住民はみんな知り合いで家の鍵をかけない地域もたくさんあります。月20万円で十分に暮らせる地域もあれば、高額の家賃や物価で十分に暮らせない都市圏もあります。これ以上変えて欲しくない自然に囲まれた暮らしもあれば、さらに道路と地下鉄を作って欲しいという地域もあります。生活のコストも生活のスタイルも生活の環境も大きく違う地方と都市の自民党党員や自民党支持者が、都市中心の政策を打ち出したことで、地方の反乱になりました。変わらなければならない都市とこれ以上変わりたくない地方の考え方が大きく違ってきたのです。都市から地方に旅行に行って、都市とは違うのどかな風景や生活は変わらないで欲しいと感じますが、日本政府の政策は都市型の改革を地方にも要求してきます。日本の地域の多様性を考える慎重な改革をこれまで自民党は心がけてきたから、政権政党として自民党は日本の政治を支配できました。日本の改革は、小泉政権だけのキャッチフレーズではなく、これまでの政権は日本の組織改革の法案を作るのが国会議員の仕事ですから、多くの改革法案を作って日本を世界第二位の経済国家にしました。日本人の豊かな生活を実現したのは、小泉政権以前の政権の功績です。

日本国民の豊かな生活を実現するためには政策失敗もありました。国民も豊かな生活に満足して政治に無関心になりました。そして、積もり積もった国家財政の借金と財政赤字は、国民に大きな税金負担として国民生活を圧迫するようになりました。巨大化した政府組織の国家予算の削減の最初は、当時大赤字だった国鉄です。次々と整備される都市の地下鉄網で便利になる都市に比べて、地方の赤字路線は次々と廃止され、国鉄と国鉄バスに頼っていた地方の生活は学校通学や通勤の手段を奪われ、学生や勤労者などの多くの若い住民が地方から都市圏に出て行き、地方の過疎化は急激に進みました。地方が国鉄の民営化で経験した過疎の危機は地方から交通と物流を奪うものでしたが、今回の「郵政民営化」で今度は通信と金融を地方から奪うのかと考えても当然のことでした。地方の生活を破壊した国鉄民営化の前例を考えて、自民党は慎重に検討するべきだったのですが、地方の自民党の党員や支持者に十分な説得をしないままに、欠陥だらけの法案採決を小泉政権は実行しました。中央線や山手線が廃止されれば、都市住民はどのような不便をこうむるかを考えれば、地方の国鉄路線廃止の地方住民の気持ちが分かります。「またか!」、「中央政府は地方住民を殺す気か!」と十分な説明がなければ、反対するのは当然です。政府の借金に無関心だった国民を利用して、莫大な借金をした政府が、「もう国家が破綻するから構造改革だ!」と宣言して、また都市優先の地方切捨て政策では、地方は納得しません。自動車時代だから鉄道がなくても大丈夫と言われても、高齢者ばかり残った地方には無理ないい訳です。都市では郵便局がなくても都市銀行の支店がたくさんあり不便ではないですが、地方は国鉄という交通手段を奪われ、自動車も運転できない高齢者ばかりで銀行もないところに、郵便局までなくなったら、地方ではもはや生活できません。高齢者に自動車があるから言った政府は、今度はメール通信がありますと言うのでしょうか。地方の危機感を共有できない冷たい都市生活者に、地方生活者はささやかな反乱を始めています。都市生活者が旅行で地方に行き、地方ののどかな自然と生活を守って欲しいと感じますが、地方生活者は言うでしょう。「のどかな自然と生活を奪うのは都市生活者の考える政策を支持する都市生活者のあなたです。もうすぐのどかな自然を守ってきた住民はいなくなります。あなたはもう二度とここには来れません。」

経済論理による国鉄の民営化は地方の交通を奪い、地方の過疎化を加速させましたが、同時に都市圏に出て行った地方の国民が、都市の競争に負けて帰る地方の家まで奪うことになりました。都市の競争に敗れた地方の国民は、帰って子育てする地方の生活環境を失い、都市圏の低所得者として生活することになり、本来であれば地方に帰って助け合いの地域社会で、子供を生んで子育てするはずが、都市圏の低所得者として子供も生めない苦しい生活をすることになりました。都市圏に新たな人材を供給してきた地方の崩壊は都市圏に対する新たな人材供給を不可能にしていきました。都市圏の競争は熾烈で勝っても負けても子供を生んで子育てするような余裕のある環境ではなく、地方の社会も崩壊して新たな人材供給もなくなり、日本の少子化を今になって慌てる結果になってしまいました。地方の崩壊がやがて都市圏の崩壊になるという意識は現在もありません。地方の新たな人材供給を失ってしまった子供が生めない競争社会の都市圏は、これから急激に高齢化と少子化の波に襲われます。国家財政の破綻の危機に、何とか急激に増大する税金負担を逃れたい都市圏住民が「郵政民営化」急ぐのは理解できますが、郵政民営化を実現しても国民の税金が大幅に軽減されるわけではありません。郵政民営化で、もし地方の崩壊が決定的になれば、地方からの新たな国家人材の供給は永遠に不可能になります。地方から都市圏に移ってきた国民は少数の勝ち組と多くの負け組に別れ、多くの負け組は地方に帰ることもできず、子供も生めない環境で生活することになります。地方にも都市にも子供はいない崩壊した地方社会と高齢化していく都市圏というのが、数十年後の日本の姿です。

都市圏の高齢化と少子化は、地方が崩壊した過程を繰り返すことになるでしょう。都市圏で学生や勤労者の減少によって赤字になる国鉄路線や私鉄路線が出できてます。2007年から団塊の世代が大量に退職し始めますが、通勤しなくなった退職者の都市圏は急速に通勤利用者を失っていきます。経済論理により利用者が減少した赤字路線は廃止となって、働く勤労者は出て行っても新たな住民は移ってはきません。住民の減少で採算が合わなければ、スーパーもコンビニも銀行も郵便局もなくなります。都市圏の赤字路線の廃止はもはや国営企業ではない民間企業のJRには、経済論理でどんなに住民の反対があっても社内決定で廃止にできます。日本国民の都市圏住民は、「我々の利用する路線ではない。」と無関心で、地方住民は、「我々の苦しみが分かったか!」と同情もしてくれないでしょう。いつでも転居できる富裕層や若者以外は、都市圏周辺の崩壊していく地域で、不便な生活をする退職者が大量に生み出されるのです。地方を切り捨てた政府を支持した都市圏住民は、数十年後には地方住民と同じ思いをすることになるのです。経済論理で地方を切り捨てた都市は、地方社会の崩壊によって全国的な少子化を生み出し、今地方の生活を郵政民営化で回復不可能な決定をしようとしています。少子化と高齢化の膨大な税金負担を生み出す原因を都市生活者は作ってしまったのです。もはや、これまでの莫大な国家借金と日本の高齢化と少子化の莫大な税金を負担できるのは、都市圏だけになりましたが、都市圏も地方と同じ路線廃止と金融機関の撤退の苦しみをいずれ経験することになるのです。都市圏だけ生き残ろうとして、地方を切り捨てても、税金負担の総額は変わりません。地方を切り捨て、都市の多くの負け組を生み出せば生み出すほど、勝ち組に対する税金負担は負け組の分だけ限りなく増加していくのです。国家社会の中では勝ち組も負け組もないのです。他人の苦しみを理解しない社会は、やがてすべての国民が苦しむ社会を作るのです。

今回の「郵政民営化法案騒動」で、あまり具体的な議論になりませんが、郵政民営化による郵便貯金の国民資金の放出は、小泉首相の国際公約のような気がします。米国や欧州の金融機関にとって、日本人の郵便貯金の資金が放出されることは、莫大な利益を上げる大きなチャンスです。海外の銀行を例に考えれば、銀行の預金者からの資金調達は預金者に対する利子が必要になりますが、海外の銀行が預金者に年4〜5%の利子を払って預金を集めていれば、郵貯からもし100兆円の資金調達ができて預金者への利子が年0.5%程度の支払いで済み、3.5〜4.5%の利子分が銀行の利益として転がり込んできます。海外で預金者から銀行が100兆円を調達すれば、4〜5兆円の利子を払わなければなりませんが、日本の郵貯の資金が放出されると、日本からは100兆円を調達しても、5000億円程度の利子で済みます。海外の銀行は世界中で預金者の資金を運用して、20%以上の運用利益から預金者に年4〜5%の利子を払いますが、日本からの資金は政府の低金利政策から年0.5%以下の利子を支払えば資金調達できます。世界中で資金運用できる運用利益の高い銀行は日本にはなく、低コストの資金調達が可能になる郵政民営化による郵便貯金の放出は、外資系金融機関にとってはまさに競争相手のいない大儲けのチャンスです。
最近、世界第二位の香港上海銀行(HSBC)が日本での業務拡大を発表しました。時価総額が20兆円を超える香港上海銀行グループの国際的ネットワークは、77の国と地域にある9800を超えるの営業所からなり、25万3000人の従業員が働いています。香港上海銀行グループはアジア太平洋地域、ヨーロッパ、アメリカ大陸、中近東、アフリカにおいて営業を行っており、総資産は2004年12月31日現在、1兆2767億ドル(約132兆4,274億円)です。最先端のテクノロジーにより結ばれた国際的なネットワークを通じて、グループは個人向け及び法人向け銀行業務、投資銀行業務及びプライベート・バンキング、貿易金融、キャッシュマネジメント、トレジャリー及び資本市場サービス、保険、消費者及びビジネス金融、年金及び投資信託運用、受託サービス、証券及び証券保護預り業務等の広範囲に渡る金融サービスを提供しています。日本の銀行が競争相手にもならない国際的な銀行が郵便貯金の資金を狙ってこれから次々と日本に参入してきます。そして、海外の預金者は1億円の預金で年400〜500万円の利子を受け取り、日本の預金者は同じ1億円の預金で年50万円にもならない利子を受け取るのです。

郵政民営化の議論で、国会審議でも出なかったことがあります。それは、郵政公社が持っている国民の郵貯と簡保の資金の不良債権問題です。郵政公社の資金は財務省が借りて、財政投融資の資金にしてきましたが、不良債権化した国民資産がどれだけあるかを明確にしないと民営化はまず考えられません。すでに100兆円を超える不良債権があり、その不良債権は財務省の借金だから税金で補填するとなれば国民一人に約100万円の税金負担です。郵政公社の約350兆円のどれくらいが不良債権になっているのかを明らかにして、不良債権の責任は財務省が取るのか、融資した公団公社がとるのか。そして、最終的に不良債権の処理に国民はどれだけの税金を負担することになるのか。郵政公社の不良債権の責任問題と国民負担問題を議論・解決しないで、うやむやに郵政公社を民営化して、財務省や公社公団の責任や与党自民・公明の政治家責任を問えないようにしてしまうことは、絶対に反対です。郵政民営化は政府や官僚の責任が問われる公社から、早期に民営化して政府や官僚の影響下にないため民間企業として不良債権の処理を密かに進めるためのものではないかと疑ってしまいます。民営化後に民間企業として不良債権が発覚しても、国民や政治家が手の出ない民間企業として、民間企業の経営には誰も文句が言えません。不良債権の責任は誰も取ることはなく、国民が税金でまた負担を要求され、最終的には、『ウォールストリート・ジャーナル』2005年8月8日号のインターネット版記事にあるとおりに、「郵政民営化法案は廃案となったが、これは手取りの時期が少し延びたに過ぎない。ほんの少し待てば、われわれは3兆ドルを手に入れることができる。」と米国の思うとおりになるのでしょうか。

今回の選挙で、日本の有権者はどんな選択をするのでしょうか。2005年は50歳以上の人口が日本の人口の50%を超えた年になりました。選挙権のある20歳以上の選挙人口の60%以上が50歳以上の国民になったのです。自衛隊の国際貢献と米軍と一体となった海外派兵を進める日本ですが、徴兵されない50歳以上の60%の選挙国民が、定職につかないニートやフリーターの20代、30代の若者に少しは日本という国家のためにのために働けと若者の徴兵制に賛成すれば、政治に無関心で選挙にも行かない若者は、民主主義の多数決原則で合法的に徴兵される時代が来るかもしれません。日本の若者の政治無関心の代償は将来大きな後悔となるかもしれません。政権維持のために50歳以上の選挙者を重要視する何でもありの独裁政権を放置しておくと、50歳以上に有利で49歳以下にはつらい法案が次々と国会で少数の反対派を追放して可決成立するでしょう。50歳以上の国民を重視し、20代・30代・40代の国民を無視しても政権が維持できる時代に、政党政治の議員内閣制度を独裁的な政治家に任せてはいけません。国会で切り捨てられるのは反対派の国会議員ばかりでなく、次に政府に切り捨てられるのは自分たちかもしれないという国民の政治に対する危機意識はこれからさらに重要です。

参考文献:
臥龍通信第123号「郵政選挙(終わりの始まり)」
臥流通清第122号「日本社会の貧困」
臥龍通信第121号「郵政民営化法案の欠陥」
臥龍通信第120号「日本の政治の構造改革」
臥龍通信第119号「戦後60年の政治」
臥龍通信第118号「戦後60年の総決算」
臥龍通信第117号「独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)」
臥龍通信第66号「年金問題の本質」
公開コンテンツ「日本の官僚主義」
公開コンテンツ「厳しい国家財政」
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥龍通信第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」

発行日 発行No タイトル
2005.08.15 第118号  戦後60年の総決算 
2005.08.10 第117号  独裁政治への道(郵政民営化法案騒動) 
2005.07.28 第116号  世界ブランドランキング2005 
2005.07.08 第115号  日本の少子化と女性問題 
2005.07.08 第114号  米国政府要望書 
2005.07.01 第113号  日本の右傾化 
2005.06.17 第112号  日本の戦後と靖国問題A
2005.06.17 第111号  日本の戦後と靖国問題@
2005.06.02 第110号  狂気の日本
2005.06.02 第109号  東シナ海ガス田問題
2005.05.23 第108号  中国から見た日本
2005.05.13 第107号  日本の国際競争力(IMD2005)
2005.04.18 第106号  最近の中国対立
2005.04.18 第105号  明治の成功と失敗
2005.04.18 第104号  報道の意図と文脈
2005.03.22 第103号  ライブドア騒動の深層
2005.03.15 第102号  日本の時代遅れの国際感覚
2005.03.05 第101号  日本のブランド戦略とデザイン戦略
2005.03.05 第100号  中国の知的財産権問題と日本の歴史問題
2005.02.22 2月号外  頑張れホリエモン
2005.02.20 第99号  21世紀の知的財産権戦略
2005.02.20 第98号  日本の対中貿易
2005.02.10 第97号  不動産ファンド
2005.02.10 第96号  中国のエネルギー戦略
2005.01.20 第95号  クルド人を救え
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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