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臥龍通信

臥 龍 通 信 第115号 <2005.07.08発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 115号 ◆
    日本の少子化と女性問題

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 ◆ 臥 龍 通 信 第115号 ◆
    日本の少子化と女性問題

日本の少子化と女性問題

来年は、いよいよ日本の人口がピークとなり、日本の人口は減少していきます。日本の少子化は労働人口の減少、国家税収の減少、経済発展の停滞、年金や医療費の増加など、多くの国家的問題の原因ともなりえる問題で、長期に見れば日本民族の消滅を意味します。若い者からいなくなるという日本の少子化は国内では世代間格差と世代間負担の急激な増加を意味します。日本の経済、政治、税金、社会保障、治安など多くの問題を世代間格差で対応する政治も大変です。選挙に行かない若者の意見を聞くよりも選挙に行く高齢者の意見が政治には反映されるでしょう。若者の利益よりも高齢者の意見を日本の政治が優先するのは明らかです。当然として、減少する若者の税金負担や医療保険負担は増加する高齢者のために、際限なく増加していきます。

また、日本の少子化は子供を生む女性の問題でもありますが、日本の経済や税金の問題で少子化が語られることがほとんどです。日本の与党自民党の先生方は、日本の少子化は大学に行き、企業で働くようになった日本の女性のわがままだと感じています。女性は学問も必要なく、働くことも必要なく、家庭で子供を生んで、子育てをするべきだというわけです。少子化は女性のわがままだという単純な問題ではありませんが、自民党の先生方は真剣に少子化問題を議論すると女性問題を扱うことになり、選挙での女性票が減っては大変と、厚生労働省で申し訳程度の支援を始めて政府の少子化対策は終わりです。

日本の少子化は子供を生んで育てる社会環境を問題にしないで解決はしません。子供が安全で安心な学べる学校教育がなされているか。子供の教育に高額な教育費を負担する親の能力がなければ、子供は教育で大きな格差に直面しないか。結婚して働く女性に子育ての機会を社会や企業が十分に保障しているか。働きながら子供を生み、子育てする父親や母親の権利を保障する日本社会でも日本企業でもないとすれば、日本で子供を生んで子育てするのは裕福な金持ち層だけです。結婚して子育てしながら働く家庭は高額な子育て費用と教育費を負担できる層に限られていることに、日本の政治家先生は気づこうともせず、女性のわがままと思い込んでいます。国民生活の安全と安心を確保する責任も忘れて、政治家先生にどんなに苛酷な環境でも、女性は子供を生み子育てするべきだと、少子化を国民の責任にされては国民は悲惨です。

平均寿命、教育水準、国民所得を用いて、基本的な人間の能力がどこまで伸びたかを算出する国連の人間開発指数(HDI)で、日本は175カ国中9位(2003年)ですが、女性の所得、専門職・技術職、行政職・管理職及び国会議員に占める女性の割合を用いて算出するジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)では、70か国中44位(2003年)で、HDIに比べてGEMは大きく落ち込み、2004年でもジェンダー・エンパワーメント指数では世界38位です。日本の基本的な人間の能力の開発及び女性の能力の開発は進んでいるものの、日本の女性がその高い潜在能力を発揮する機会は、日本社会では十分でないという国際評価です。つまり、日本では人間能力の評価は世界9位のレベルの人間能力の開発が行われているが、日本女性に対して日本人は世界評価として38位の評価の社会地位しか与えていないというわけです。日本女性は社会進出して社会的な地位を目指すよりも子供を生めと言う国会議員も多くいますが、国際的な人権意識の後進性が日本の政治家にも深く蔓延しています。日本は女性の民法上の権利でも差別があり、社会的な能力評価にも大きな差別があると国連は考えていますが、難民の人命も軽視する難民人権問題だけでなく女性の人権問題でも日本は世界の人権保護の考えから大きく遅れをとっています。日本は経済力が世界第二位というだけで、国民生活には経済大国と言うほどの内容がありません。

日本の平成16年版「少子化社会白書(全体版)」によれば、「人口増加には、弥生時代から10世紀以降にかけてみられる稲作農耕とその普及による人口増加と、19世紀から現代にいたる工業化に支えられた人口増加という2つの大きな流れがある。」と説明しています。
「江戸時代までの人口について様々な資料から推計したところ、縄文時代には約10万人〜約26万人であり、弥生時代には約60万人であった。奈良時代には約450万人、平安時代(900年)には約550万人となり、慶長時代(1600年)には約1,220万人となった。江戸時代には17世紀に人口が増加し、18世紀には停滞して、おおむね3,100万人から3,300万人台で推移した。」とも説明しています。
日本の人口は、明治までは約3000万人程度で、明治以降に急激に増加して約4倍の人口になったということです。

第1−1−1図 有史以来の日本の人口の推移

出所:平成16年版「少子化社会白書(全体版)」

平成16年版「少子化社会白書(全体版)」によれば、「明治時代の人口推計によると、1872(明治5)年の日本の総人口は、3,480万人であった。現在から100年前の1904(明治37)年には、4,613万人となった。1912(明治45)年に、5,000万人を超え、1936(昭和11)年には、明治初期の人口の倍となる6,925万人となった。人口増加率は、毎年平均して1%を超えていた。こうした人口増加の背景には、明治以降の農業生産力の増大、工業化による経済発展に伴う国民の所得水準の向上と生活の安定、保健・医療等の公衆衛生水準の向上、内乱がない社会の安定等、様々な要因があげられよう。」
「第2次世界大戦による経済社会の混乱を経て、1947(昭和22)年から1949(昭和24)年の第1次ベビーブーム期を迎えた。人口増加率は、外地からの引き揚げも加わって、年率2%を超えた。1948(昭和23)年には、総人口は8,000万人を超えたが、早くもその8年後の1956(昭和31)年には、9,000万人を超えた。この頃の「厚生白書」では、急激な人口増による「過剰人口」にどのように対応していくのか、ということを政策課題として取り上げている。」
「ちょうど明治元年(1868年)以来100年目となる1967(昭和42)年には、わが国の人口は1億人を超えた。当時、世界の国々の中で、人口が1億人を超えたのは、中国、インド、アメリカ、ソ連(当時)、インドネシア、パキスタン(分離独立前のバングラデシュを含む)に次いで7番目であった。このように明治以降の近代日本の歴史は、100年間に総人口が3倍になるという人口拡大期であったのである。さらに、1971(昭和46)年から1974(昭和49)年には、第1次ベビーブーム期の世代が結婚、出産期を迎えたことにより、第2次ベビーブーム期を迎えた。その後も人口は増大を続け、2003(平成15)年10月時点では、1億2,760万人と、過去最高の人口となっている。」
「しかしながら、次に述べるような第2次ベビーブーム期以降の出生数の減少と、高齢者人口の増大に伴う死亡数の増加により、人口増加率は1986(昭和61)年から0.5%を割り込む低率となり、2003(平成15)年では対前年比0.10%増と戦後最低の伸び率となっている。まもなく、わが国社会は総人口が減少する「人口減少社会」を迎えようとしている。明治以降、第2次世界大戦中の一時期を除けば、わが国の総人口が減少するのは、初めてのことである。」と説明しています。

第1−1−2図 総人口及び人口増加率(1872〜2003年)

出所:平成16年版「少子化社会白書(全体版)」

日本の少子化が日本の国内問題で最大の問題であるという認識は政治家先生方にも、縦割り行政の官僚達にもありません。したがって日本の深刻な国内問題に有効な政策が実行されません。来年から現実化する日本の少子化問題は、現在の税金に加えて国民一人に約700万円になろうとする日本政府の借金返済のため大増税が待っています。子育てのための保育所や幼稚園は十分に整備されないまま、大増税が待っており、子育てや学校教育の費用負担は大増税でますますできない環境になるでしょう。大増税は働く環境も苛酷なものにするでしょう。大増税による収入減少はさらなる労働を国民に要求するものになるでしょう。さらに、高齢者の増加による年金や健康保険の負担も増大し、日本の国家経営の失敗による責任は政治家先生方でも官僚でも高齢者でもなく、今後の若者世代に膨大な負担としてすべて集中します。子育てもできず、過酷な労働に耐え、国家経営の責任をすべて引き受けなければならない日本の若者には限りない同情を感じます。日本に少子化を防止し、若者の幸福な未来を約束する条件はもはや日本にはありません。50年後に日本の人口が8000万人に減少しても、その頃にはこの世に生きていないから、どうでも良いという国民もいるでしょう。しかし、我々の子供たちは生きているのです。子供たちに膨大な負担をさせて、自分たちの生を全うすることなど私には考えられません。子供たちの世代を犠牲にして成り立つ高齢者の生活など、今から阻止しなければいけません。国家政府には国民生活の未来を決定する権利と責任があるのですから、自分の子供の世代を犠牲にしないためにも高齢者は現在の政府の存在を変える必要があります。また、若い世代も選挙に無関心でいると大変な負担を押し付けられると真剣に現在の政府を考え、国政に参加する必要があります。どうせ、選挙にも行かず政治に無関心なのだから、政府の国家経営の失敗は若い世代にすべて負担してもらおうと政治決定されれば、若い世代は現在の何倍もの税金で苦しむことになるでしょう。現在、日本の大学までの教育には約2000万円が必要で、子供が二人いれば約4000万円の費用が必要となり、マンションを買うか、子供を教育するかの選択が今後の家庭には重要な選択となります。税金からは大学までに約1500万円の教育費が学生ひとりに支出されていますが、これからは国家の教育費も削減され、大学院や留学といった高学歴の教育は限られた富裕層にだけ可能になっていくでしょう。

日本企業と思い込んでいる企業はすでに海外で日本国内以上の利益を上げています。日経新聞の調査によれば、日本の主要企業の海外の営業利益はホンダで71%、ダイキンで66%、日産で71%、三井物産で63%、トヨタで41%です。上場427社では営業利益の約30%が海外の利益です。企業は日本の法人税が高くなれば、いつでも本社を海外に移転し、日本から逃げることが可能です。日本での営業利益が小さく、法人税が高いならば日本に本社を置いておく理由がありません。当然に、優秀な社員も税金の高い日本から海外に逃れることができます。日本の国家税収の重要な高額納税者である企業や社員が海外に逃れれば、残った国民が海外に逃げた企業や個人の税金まで負担し、さらに過酷な日本の税金負担をすることになります。国民の税金を30兆円も使って日本の銀行は救われましたが、日本の大手銀行は相変わらずゼロ金利で、手数料や口座維持料まで取る銀行まであります。巨大な日本の大手銀行ですが現在税金を払っているのは、りそな銀行だけで6億円です。日本企業は赤字であれば、税金は払いませんから、日本企業の税金を当てにしていると国民だけが過酷な税金負担をすることになります。企業はいつでも税金を逃れていきますから、優先順位もなく、未来に対する選択と集中の戦略もなく、先送りして次の世代の国民にすべての国家責任を押し付ける日本の政治はそろそろ変えなければならないと感じます。

厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、日本の世帯収入は7年連続で減少し、2003年の1世帯当たりの平均所得は前年比1・6%減の約9万3000円減少し、579万7000円で、日本企業は過去最高の利益を上げていますが、国民の収入は7年連続で減少しました。生活状況は、過去最高の56%が「生活が苦しい」と答えています。日本の富裕層25%の収入は国民全体収入の75%を占め、残りの75%の国民は国民全体収入の25%で生活しており、富裕層とそれ以外の国民の収入格差はすでに9倍で、中国の都市部収入と農村部収入の格差3倍を超える貧富の格差が日本にはあります。そして、これからは際限のない国家経営の失敗による責任者追求のない、国民だけに責任を押し付ける大増税が国民を襲います。日本の企業は過去最高の利益を上げていますが、法人税は過去の約20兆円の半分の約10兆円になってしまいました。税金は過去の半分の税金の財界企業は、日本国民の所得控除の廃止と消費税のアップには賛成しています。国家税収は企業の税金は半分にして、国民負担ばかり増加させるというのが日本の財界の意思です。国家経営の失敗の責任はすべて国民負担にしてしまう日本の国家経営が何を目指して行われているか、もはや理解不能の状況です。

参考文献:
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥龍通信第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」

発行日 発行No タイトル
2005.07.08 第114号  米国政府要望書
2005.07.01 第113号  日本の右傾化
2005.06.17 第112号  日本の戦後と靖国問題A
2005.06.17 第111号  日本の戦後と靖国問題@
2005.06.02 第110号  狂気の日本
2005.06.02 第109号  東シナ海ガス田問題
2005.05.23 第108号  中国から見た日本
2005.05.13 第107号  日本の国際競争力(IMD2005)
2005.04.18 第106号  最近の中国対立
2005.04.18 第105号  明治の成功と失敗
2005.04.18 第104号  報道の意図と文脈
2005.03.22 第103号  ライブドア騒動の深層
2005.03.15 第102号  日本の時代遅れの国際感覚
2005.03.05 第101号  日本のブランド戦略とデザイン戦略
2005.03.05 第100号  中国の知的財産権問題と日本の歴史問題
2005.02.22 2月号外  頑張れホリエモン
2005.02.20 第99号  21世紀の知的財産権戦略
2005.02.20 第98号  日本の対中貿易
2005.02.10 第97号  不動産ファンド
2005.02.10 第96号  中国のエネルギー戦略
2005.01.20 第95号  クルド人を救え
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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