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臥龍通信

臥 龍 通 信 第107号 <2005.5.13発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 107号 ◆
    日本の国際競争力(IMD2005)

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 ◆ 臥 龍 通 信 第107号 ◆
    日本の国際競争力(IMD2005)

日本の国際競争力(IMD2005)

スイスの経営開発国際研究所(IMD)が「2005年世界競争力年鑑」を発表しました。日本の世界競争力の総合ランキングは昨年の2004年度版の23位から21位とランクを上げました。IMDは世界60地域と国家で、4つの分野で314項目の調査を行い、各分野ランキングや総合ランキングを発表しています。IMDの4つの調査分野は「マクロ経済」、「政府の効率性」、「ビジネスの効率性」、「インフラの整備」の4分野で、さらに詳細な調査項目の314項目で、各国の著名な大学教授や研究者の協力で毎年調査結果を発表しています。

IMD2005年度ランキング
1位 米国
2位 香港
3位 シンガポール
4位 アイスランド
5位 カナダ
6位 フィンランド
7位 デンマーク
8位 スイス
9位 オーストラリア
10位 ルクセンブルグ
11位 台湾
12位 アイルランド
13位 オランダ
14位 スウェーデン
15位 ノルウェー
16位 ニュージーランド
17位 オーストリア
18位 ババリア地域(ドイツ)
19位 チリ
20位 浙江省(中国)
21位 日本
22位 英国
23位 ドイツ
24位 ベルギー
25位 イスラエル
26位 エストニア
27位 タイ
28位 マレーシア
29位 韓国
30位 フランス
31位 中国

日本の世界競争力ランキング(世界60カ国と地域)

IMD総合評価

21位

IMDビジネスの効率性評価

35位

IMD政府部門の効率性評価

40位

IMD法人税の高さ評価

60位

IMD語学力評価

60位

中国の世界競争力ランキング

IMD香港

2位

IMD台湾

11位

IMD中国浙江省

20位

IMD中国本土

31位


世界競争力ランキングで、中国は香港が2位、台湾が11位、中国浙江省が20位で、中国本土の31位を考えれば、中国圏は香港や台湾が中国浙江省を中心に中国本土の国際競争力を上げているようにも見えます。
中国の経済発展は、海外からの投資があったから可能になったのであって、中国の経済力は海外の投資なしには成り立たないとの見方がありますが、2001年9月に中国の南京で、第6回在外華僑大会が開催され、世界に広がる華僑6000万人(日本の在外居住者は250万人)の華僑代表5000人が集まりました。当時の朱容基首相は、『中国経済のいままでの成功のカギは、海外華僑からの本国への投資にあった。』と発言しました。1978年から始まるケ小平の改革解放政策で、海外からの直接投資の約70%が華僑企業によるものであったことを高く評価しました。欧米や日本の投資ではなく、香港や台湾を中心とする華僑資本の投資が中国の経済発展を可能にしました。中国統計年鑑2003年によれば、海外からの中国に対する直接投資は、香港と台湾で投資総額の41%で、東南アジアの華僑資本もあわせれば50%を超えますが、米国の投資額は10%、日本は8%という状況です。
中国は過去も現在も中国華僑資本によって自国だけで経済成長を成し遂げてきたことがよくわかります。年間5兆円の海外からの投資の50%が華僑資本であることは、日本ではほとんど話題になりません。日本の民間企業の投資額は年間4000億円程度で、華僑の2兆5000億円を超える投資額に比べれば、とても小さな日本の投資額です。

また、中国の経済崩壊はすでに10年間日本で盛んに語られていますが、いまだに経済崩壊しません。中国の所得格差の拡大が中国の経済崩壊と混乱をもたらすとも言われています。しかし、2002年の厚生労働省の世帯所得調査では、すでに日本の年間所得の75%が、富裕層の25%が占めており、日本の世帯の75%は所得総額の25%であるという調査を公表しました。日本の金持ち富裕層上位25%の世帯は平均して、下位の75%の平均世帯収入の9倍の収入格差がありました。すでに日本でも所得格差は9倍を超え、今後はさらに拡大して現在では16倍ほどになっているはずです。中国の2004年の農村部と発展する都市部の所得格差は約3倍で、日本の所得格差が中国よりはるかに進んでいるのに日本では中国の所得格差だけが問題になります。もし、中国でバブル崩壊が起これば、日本の民間企業のこれまでの5兆円以上の投資はどうやって回収するのでしょうか。中国の日本企業18000社の投資が不良債権になってしまうことは、中国に投資した日本の大企業が10年間は利益も出ず、株主に配当も払えないでしょう。企業のリストラだけでは乗り越えられない危機が日本企業を襲います。中国の経済崩壊を望む日本人も多いのですが、その結果は企業経営者が巨額の損失責任を問われ、社員には過酷なリストラが待っています。

1998年の博士号取得者

国名

自国内博士号取得者

米国博士号取得者

合計

中国

6775人

2378人

9153人

日本

6575人

152人

6727人

韓国

2260人

780人

3040人

台湾

907人

871人

1778人

(出所:総務省統計資料、中国科学技術年鑑、韓国科学技術省資料、台湾政府資料)


中国は日本に比べて科学技術の遅れが話題になりますが、1998年には日本より博士号取得者が多い国家になりました。特に米国における博士号取得者は中国や台湾や韓国にも対抗できない数の博士号取得者がいました。2002年に、中国の国内博士号取得者は14,706人と急増して年間に日本の3倍以上の博士号取得者を輩出しますが、日本は6000人レベルから2007年以降には減少していきます。韓国も2003年からは7000人を超える国内博士号取得者となり、日本の国内博士号取得者を超えました。2003年の段階で、韓国の大学生は約356万人、日本の大学生は約348万人、中国の大学生1900万人に達していました。10年後や20年後の国家体制を担う大学生教育の量と質が東アジアで大きく変貌してきたのです。

◆中国の大学在学生
2005年の大学生募集人員は475万人、大学在学生は2220万人、進学率19%。
◆米国は2001年に短大を含む大学の在校生は、1590万人で進学率35%。
◆韓国は2003年に、国内学位取得者は、修士 64,259人、博士 7,240人。
◆米国の大学院生数は、2000年に約109万人。
◆中国の大学院生数は、2005年には、約100万人に達する。

中国の国家総動員体制の科学技術プロジェクト
1986年3月にケ小平によって推進された「863計画」は、中国のハイテク科学技術振興政策ともいえるもので、情報技術、バイオテクノロジー、エネルギー技術、海洋技術、新素材、製造業の情報化などの分野で、20テーマの50の重要プロジェクトが推進されました。全国100の大学と250の研究機関、数百社の企業が参加し、70%は海外留学経験を持つ約4万人の世界最先端の技術者が動員されたのです。

中国のMBA教育
中国の全国的なMBA教育は1991年から始まりました。当時の開講大学は9校、学生数100人余りという状況でした。2002年には、全国27省・市で合計65校がMBAコースを設けるまでになりました。中国のMBA応募者数は1997年に約23000人に急増し、2002年に、日本全国の大学院における専門職大学院在校生は645人、募集定員は572人に対して、中国のMBA募集定員は8000人、応募者数は約50000人に達していたのです。2003年には中国のMBA在校生は3万人を超えました。

中国のEMBA教育(Executive MBA)
2002年9月からは、清華大学、北京大学、中国人民大学、復旦大学など30の重点大学で、企業の上級管理職(CEO)を対象にするEMBA(Executive Master of Business Administration)課程が始まりました。マイケル・ポーターやフィリップ・コトラーなど、世界的に著名な経営学の大家も清華大学EMBAの特任教授を勤める予定で、清華大学EMBAの募集人員は全日制EMBA400人、働きながら学ぶ社会人コースが200人の規模で、中国全体でMBA教育の上位に位置する毎年数千人のEMBA教育体制も確立しました。

急激に変貌していく世界情勢に、日本はどう未来の戦略を構築していくのでしょうか。日本の長期的で冷静な未来戦略が問われています。子供たちの教育の世界評価よりはるかに低い大人社会の国際評価を改善する日本の大人の再教育が必要です。

関連資料:「臥龍通信」
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥龍通信第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第109号「東シナ海ガス田問題」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のイネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」
臥龍通信第93号 北朝鮮問題
臥龍通信第60号 日韓の近代・現代史
臥龍通信第59号 国連問題と日本の外交
臥龍通信第50号 朝鮮半島の中国と米国の関係
臥龍通信第43号 日本の安全保障

発行日 発行No タイトル
2005.04.18 第106号  最近の中国対立
2005.04.18 第105号  明治の成功と失敗
2005.04.18 第104号  報道の意図と文脈
2005.03.22 第103号  ライブドア騒動の深層
2005.03.15 第102号  日本の時代遅れの国際感覚
2005.03.05 第101号  日本のブランド戦略とデザイン戦略
2005.03.05 第100号  中国の知的財産権問題と日本の歴史問題
2005.02.22 2月号外  頑張れホリエモン
2005.02.20 第99号  21世紀の知的財産権戦略
2005.02.20 第98号  日本の対中貿易
2005.02.10 第97号  不動産ファンド
2005.02.10 第96号  中国のエネルギー戦略
2005.01.20 第95号  クルド人を救え
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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