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臥龍通信

臥 龍 通 信 第102号 <2005.3.15発行>
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 ◆ INDEX ◆

  ◆ 臥 龍 通 信 第 102号 ◆
    日本の時代遅れの国際感覚

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 ◆ 臥 龍 通 信 第102号 ◆
    日本の時代遅れの国際感覚

日本の時代遅れの国際感覚

日本の国内常識と世界の国際常識との差が急速に問題化しています。日本の国内問題の解決方法が国際的な判断基準と大きく食い違い、日本の政治や政策だけでなく社会経済問題としても日本の後進性が大きな問題となりつつあります。

日本の国連問題は、日本の安全保障理事会の常任理事国の問題や国連における人権問題としての北朝鮮拉致問題が話題になります。日本の国連での存在感を拡大しようと考える日本政府ですが、自民党の国会議員が言ったとおり、金でどうでもなると考えた国連拠出金だけの存在感だけではさびしい限りです。金だけではないという国会議員ですが、日本の国連の存在感は拠出金というお金だけです。世界第二位の経済大国という日本のキャッチフレーズも金だけですが、日本政府の日本の存在感はまさに金だけであるのに、金だけではないという国会議員は金だけでない日本の存在感を示してもらいたいものです。

難民人権問題
日本は、国連高等弁務官事務所が認定した難民を難民として認めずに、難民生命の危険があるにもかかわらず、逃げてきた国家に送り返すという事件を起こして反省もしていません。中国は北朝鮮の違法滞在者を検挙して北朝鮮に送還していますが、中国の北朝鮮人送還行為を人道的でないと日本人は言いますが、国連が正式に認めた難民を日本政府は難民と認めず、難民の本国に送還する行為は中国の違法滞在者送還よりはるかに非人道的な行為といえます。日本のクルド難民など多くの難民について、日本政府の対応は正式な難民であっても違法滞在者として対処して、中国政府もしない非人道的な扱いが反省もなく現在も行われています。国連の日本政府に対する勧告は、日本政府の中国政府もしないような難民に対する非人道的な扱いだけでなく、先進国では最低レベルの女性差別に対する勧告もあります。

女性人権問題
国連女性差別撤廃委員会は、2003年7月に、日本政府に対して「戸籍続柄差別記載の撤廃を勧告」を行いました。国連女性差別撤廃委員会は、「民法の中に現在でも依然として差別的な条項が残っていることに懸念を表明する。その中には、結婚最低年齢や、離婚後の女性が再婚するために必要な待婚期間、及び結婚した夫婦の氏の選択に関する条項が含まれる。委員会は、また、婚外子に対する、戸籍と相続権に関する法律及び行政実務上の差別、そして、それらが女性に対してもたらす重大な影響についても懸念する。委員会は日本政府に対して、民法の中にいまだに残る差別的な条項を削除し、立法や行政実務を女性差別撤廃条約に適合させることを求める。」と日本政府に勧告していますが、日本政府はいまだに国連の勧告を無視したままです。韓国では昨年に、国連の勧告に従った民法改正を行い、女性差別の民法上の規定を全面的に改定しましたが、日本は法制化の動きもありません。

ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)
平均寿命、教育水準、国民所得を用いて、基本的な人間の能力がどこまで伸びたかを算出する国連の人間開発指数(HDI)で、日本は175カ国中9位(2003年)ですが、女性の所得、専門職・技術職、行政職・管理職及び国会議員に占める女性の割合を用いて算出するジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)では、70か国中44位(2003年)で、HDIに比べてGEMは大きく落ち込み、2004年でもジェンダー・エンパワーメント指数では世界38位です。日本の基本的な人間の能力の開発及び女性の能力の開発は進んでいるものの、日本の女性がその高い潜在能力を発揮する機会は、日本社会では十分でないという国際評価です。つまり、日本では人間能力の評価は世界9位のレベルの人間能力の開発が行われているが、日本女性に対して日本人は世界評価として38位の評価の社会地位しか与えていないというわけです。日本女性は社会進出して社会的な地位を目指すよりも子供を生めと言う国会議員も多くいますが、国際的な人権意識の後進性が日本の政治家にも深く蔓延しています。日本は女性の民法上の権利でも差別があり、社会的な能力評価にも大きな差別があると国連は考えていますが、難民の人命も軽視する難民人権問題だけでなく女性の人権問題でも日本は世界の人権保護の考えから大きく遅れをとっています。日本人は日本が立派な人権保護国家と勘違いしていますが、日本はいつのまにか先進国では最低の人権無視国家として認知されつつあります。

世界GEMランキング(ジェンダー・エンパワーメント指数)
1 アイスランド 0.847
2 ノルウェー 0.837
3 スウェーデン 0.831
4 デンマーク 0.825
5 フィンランド 0.801
6 オランダ 0.794
7 オーストリア 0.782
8 ドイツ 0.776
9 カナダ 0.771
10 米国 0.760
11 オーストラリア 0.754
12 ニュージーランド 0.750
13 スイス 0.720
14 スペイン 0.709
15 ベルギー 0.695
16 アイルランド 0.683
17 英国 0.675

資料:UNDP(国連開発計画)「人間開発報告書」(2003年)

犯罪容疑者人権問題
犯罪容疑者人権問題で、韓国は昨年に警察による犯罪容疑者捜査に、弁護士の立会い捜査を法制化しました。警察による長期間の拘留、脅迫、自白強要、暴行、証拠偽造などの違法捜査を排除するために、容疑者の取調べには弁護士の立会いが必要であるとの犯罪容疑者人権擁護のために、韓国はすでに米国、英国、フランス、ドイツ、台湾、香港などで法制化されている弁護士の立会い捜査を法制化しました。

最近ですが、鹿児島県警の捜査が問題になっています。明確な証拠もなく選挙違反の容疑で村の大半の老人が、選挙違反の容疑者として取調べを受けましたが、証拠もなく長期間の拘留をして、証拠がないための長時間の脅迫と自白強要で高齢者であった容疑者老人たちが何人も倒れ入院までしましたが、警察は治療中も取調べを継続しました。また、弁護士との接見後には弁護士と何を話したかを捜査する接見調書を75通も作っていました。警察の捜査に都合の悪い弁護士は、強制的に弁護士解任の書類を容疑者に書かせて、弁護士が2度も変わって弁護士がいない容疑者まででました。警察による家族も同じ目にあわせるという脅迫や自白強要に、とうとう苦しみに耐え切れない老人たちから自殺未遂者まででました。警察は自殺容疑者を助けた人物からの調書でも、言ってもいない「罪を認めて死のうと思ったと容疑者は語った。」などの捏造調書を作成し、現在も県警は「適切な捜査だった。」と、一切の捜査上の違法性を認めていません。証拠もなく容疑されれば、警察の一方的な長期間の拘留が可能であり、証拠がなくても自白してしまえば有罪にできると自白の強要や証拠の捏造は密室の中で熾烈に行われます。弁護士との会話まで強制的に聴取して、不利な弁護士であれば弁護士解任まで容疑者に強要する警察の捜査が法律的にも可能な日本の犯罪捜査には犯罪容疑者の冤罪の可能性は極めて高くなります。香港や台湾や韓国でも認められている犯罪容疑者の権利を認めないのは、東アジアでは中国と北朝鮮と日本だけになってしまいました。中国が香港と同様の法改正を行えば、犯罪容疑者の弁護士立会いや基本的な容疑者人権を認めないのは北朝鮮と日本だけになってしまいます。

国際刑事裁判所問題
現在、国際連合で設立準備が進められている問題に、国際刑事裁判所(ICC)というものがあります。国際刑事裁判所は国際社会に重大な影響を及ぼす大量虐殺、戦争犯罪や人道に対する罪を犯した「国家」ではなく「個人」を裁く常設の国際裁判所のことです。国家の名のもとに、責任があいまいにされてしまう戦争犯罪や人道侵害に対する罪を「個人」として裁くことができるための裁判所です。

国際刑事裁判所(The International Criminal Court =ICC)は戦争犯罪、人道に対する罪、またジェノサイド(大量殺戮)と呼ばれる国際人道法を犯した「個人」を裁くための常設裁判所です。管轄権が「国家」に制限されているハーグの国際司法裁判所と異なり、国際刑事裁判所は「個人」を起訴する権限を持つことになっており、その管轄権は時期的および地域的に制限されません。

1998年6月15日、160ヶ国の代表がローマに集まり「国際刑事裁判所設立のための国連外交会議」(United Nations Diplomatic Conference of Plenipotentiaries on the Establishment of an International Criminal Court)が開催されました。7月17日、5週間におよぶ議論の結果、代表国家の圧倒的多数の賛成で常設国際刑事裁判所設立のための条約(Statute)が採択されました。ハーグの国際司法裁判所の管轄が「国家責任」を追及する権限がありますが、国際刑事裁判所は「個人の責任」追及が時期や地域に限定されずに追及されます。

2004年5月7日現在で、国際刑事裁判所設立条約批准国(94カ国)の中に、米国と日本は参加していません。米国はイラクでの人権侵害に大きな岐路に立たされていますが、米国の基本的な立場は、国外での米国軍の犯罪行為には米国国内法の適用外となり、違法行為としての対象になりません。また、紛争地域の法律が事実上存在しなければ、米国軍の犯罪行為を裁く法律は地球上に存在しないということです。米国軍の紛争地域での拘束や裁判や虐待に関する結果を裁く法律が地球上に存在しない状況に、世界は恐怖しています。今回のイラクでの虐待事件は、米国政府がその行為を裁く気になったので、米国軍法で裁かれます。米国政府が裁く気がなければ、米国軍の虐待や拷問を世界の誰も裁く法律さえ存在しない事態に、世界は新たな国際裁判所を必要としています。

国際刑事裁判所は米国軍の個人の犯罪行為を地域や時期に限定されずに裁くことができる裁判所ですから、米国は国際刑事裁判所条約の批准を現在も拒否しています。 驚くべきことに、日本政府は米国との協調関係から国際刑事裁判所条約の批准を拒否しています。世界の主要国の多くが批准している国際刑事裁判所条約を米国との協調を優先して条約批准を拒否している日本の態度に、世界各国は日本の人道支援に対して大きな疑いと疑問を感じ始めています。戦争放棄と人道支援を基本方針とする日本政府が、国際的な個人の犯罪行為を裁く裁判所の設置に反対している態度は、世界に日本に対する大きな不信感を拡大させています。 日本が北朝鮮の拉致問題を国際的な問題として訴えようとしても、国際刑事裁判所の設置に協力しない日本政府に対して、世界各国の国民は本当に同情してくれるのか。日本の人類に対する誠意と責任と義務が試されています。

エネルギー問題
国際的なエネルギー問題は、日本では驚くほど問題にされません。日本の国民生活を維持するエネルギー問題は、国家問題としてももっとも重要な問題ですが、日本には長期的な戦略も政策もありません。世界的なエネルギー問題は環境問題とも関係して、地球温暖化と環境汚染の問題は大きな話題となりました。京都議定書などの問題で政府が一生懸命になるのは地球温暖化と環境問題のためと思いたいのですが、一方では国民が指示する地球温暖化と環境問題で、日本の企業と国民が数年間は年間でも2兆円の増税が必要です。地球温暖化と環境問題の政府の取り組みは、5年間で10兆円の予算の新たな政府組織と膨大な国民税金の発生を意味します。地球温暖化と環境問題より考えなければならないことはまずは21世紀のエネルギー確保の問題で、石油は今後油田が発見されなければ、約41年で枯渇します。天然ガスは約61年で枯渇し、石油枯渇後は天然ガスも長くはもたない状況で、ウランも約61年で枯渇します。石油の枯渇が41年と考えれば、今後の20年でも日本の石油購入価格や石油輸入量の確保は目の前の重要な国民生活問題となってきます。もちろん、20年後にはもはや生きていないからどうでもいいことだと考える国会議員や官僚も多くいると思いますが、20年後も生きている国民は目の前の生活電力価格の上昇と遠い将来のための環境税の増税に苦しむことになります。

世界中で21世紀の国民生活のためのエネルギー争奪戦は始まっているのですが、日本のエネルギー戦略は石油や天然ガスが枯渇するかもしれない時代に「石油や天然ガスはあるところから買えばいい。」という貧弱な戦略だけです。中国のガス田開発も抗議するだけで、調査だけで数億円はかかる調査資料などを中国に無料で提出要求などする日本政府のほうがおかしいと思います。日本政府はエネルギー戦略もなく資源開発もせず放置して、中国が数年かけて調査をして開発を始めたら、調査もせずに日本の資源も中国側につながっているという証拠もなく、中国政府に資源調査資料を無料で要求することこそが非常識で、文句があれば日本政府も十分に調査した結果で中国政府と交渉するべきです。中国は21世紀のエネルギー戦略のための資源調査を10年以上も継続して、年間石油消費量が日本よりも多い中国の年間消費量の80年分以上の石油と天然ガス資源を開発しようとしています。自国の資源調査を怠り、中国側の調査資料を無料で要求し、中国側と日本側が資源としてつながっているという明確な調査証拠もなしに、中国政府を抗議する日本政府はとても奇妙に見えます。

日本の法制度や常識が加速度的に陳腐化しています。経済関係の法制度だけでなく、人権や裁判などあらゆる法制度が陳腐化しています。政治家や官僚や国民の考え方が急速に変化する国際情勢に急速に取り残されていっています。魅力ある世界に誇る日本は急速に衰えていっているのです。変わらない政府、変わらない政治家、変わらない官僚、変わらない国民、日本のすべてが変わらない社会を求めているようにも見えます。

しかし、変われない変わりたくない日本社会を置き去りに世界は急速に変貌していきます。今話題のライブドアの堀江氏の問題も、国際基準としての企業は誰のものであるかという問題提起であり、日本社会の古い慣習の企業制度と法制度に大きな疑問を提起しました。世界の流れから取り残され20年先の国家戦略も企業戦略もない日本ですが、今回のライブドアの騒動にも、報道関係者や企業経営者の知識のなさを強く感じます。現在日本で進む科学技術の開発で10年後や20年後にどんな可能性が企業に生まれるかなどはまったく考えもしません。現在の電力企業は、電力供給の電線によるギガ単位のデータ通信の可能性です。もし可能になれば、PCを電力コンセントにつなげば、高速インターネットと電力の両方が可能になります。電話会社は携帯電話会社に、電力会社はインターネットと固定電話会社に、さらにガス会社は個人の住宅やマンションのコージェネの燃料電池による個人発電設備が開発され、ガス会社は電力会社に変わるエネルギー会社になります。ケーブルテレビや高速インターネットによるオンデマンド放送や双方向の報道も可能になります。
また、一方的な新聞やテレビの報道は、放送中に日本中の専門家や視聴者から多くの意見が寄せられる双方向報道のようになるでしょう。新聞やテレビの限定された紙面や時間の中で取り上げられる一部の専門家やコメンテーテーの意見に比べて、取り上げられない専門家や視聴者の意見が圧倒的に多いということを、インターネットは大幅にカバーできることが古い報道機関の方々には分かっていません。

いい加減な意見を言いっぱなしの報道をリアルタイムで抗議する視聴者の権利は、現在の報道では実現できませんし、視聴者の意見する権利を実現するためには現在のインターネットが極めて重要です。報道機関の公共性を報道機関が叫ぶのであれば、視聴者の意見する権利を実現するべきで、いい加減なことを言っておいて、視聴者の意見は制限されるというのでは、報道機関の公共性などありません。放送中に視聴者が自由に意見する体制を報道機関は努力してきたかをもう一度考えてほしいものです。視聴者の抗議意見する権利や報道機関やスポンサーにも自由に抗議できる権利を報道機関は確保するべきで、見たくない人は見なければいいよいと言うのであれば、報道の公共性など最初から言わなければいい。たとえどんな意見であっても、報道機関は視聴者から意見や抗議を聞く義務があり、報道機関の評価はまさに視聴者の評価であることは堀江氏が言うとおりです。報道機関が言う放送とインターネットの融合など5分や10分では語りつくせない内容で、時間を限っておいて堀江氏は説明を十分に行っていないというのであれば、数分のインタヴューではなく堀江氏の1時間特別番組を作れといいたいです。スポンサーがつかないからできないというのであれば、最初から報道の公共性など言わず、はっきりと報道は「お金」ですと言えばいいのです。十分な時間を与えず、十分に説明していないなど報道機関の言うことかとも思います。堀江氏に説明責任を要求する日本の報道各局ですが、堀江氏にインターネットと放送メディアとの融合説明を要求するならば、報道各局もまた堀江氏の主張に対する否定であれ肯定であれ、堀江氏と同様の説明責任があります。報道各局の説明責任は果たさずに、堀江氏にだけ説明責任を要求するなど、報道の公共性を主張する資格もありません。フジグループの一員としてニッポン放送は残りますと宣言したニッポン放送の社員と経営者ですが、日頃は取材と称しては人を追い回すニッポン放送局社員が、追い回される側になるとコメントもなく立ち去ります。一方的な宣言はするけれども、報道機関として公共性を主張してきた社員は報道機関の取材からは逃げるのです。インターネットとケーブルテレビに淘汰される以前の地上波放送の社員や経営者の限界を明確に国民に見せつけた騒動でした。

米経営コンサルタント会社A・T・カーニーが発表した北米IT(情報技術)企業幹部300人に対するアンケート調査結果によると、「今後2年間で最も厳しい競争相手がいる国」として、注目されている国家は米国、中国、インドの3カ国で、回答者が最大3つの国を記入できる設問で、米国が63%、中国が59%、インドが45%という調査結果でした。日本を挙げた経営幹部はわずか11.5%で、英国が14.6%、韓国が14.6%、ドイツが13.5%で日本の北米におけるIT注目度は中国やインドに遠く及ばず世界7位という評価でした。世界的なITの本質的な活用も開発もできない日本ですが、日本における国民と企業のITの活用と評価も悲惨です。21世紀にITさえも満足に理解も活用もきない国民と企業では日本の将来が不安です。

インターネットと報道の融合というのは、韓国を見ても分かりますが、日本のマスコミ関係者はあまりにもITやインターネット知識がなく、コメントする報道関係者やコメンテーターは堀江氏の言うことが理解できない専門知識のまったくない専門家ばかりでした。インターネット先進国の韓国は金大中政権時代にはいって、劇的な出来事がありました。韓国の大統領は国民の直接選挙によって選ばれるため国民の関心も高いのですが、国会議員の選挙は盛り上がりに欠けるのが通常でした。
しかし、2000年4月の総選挙の時には様相が違いました。総選挙に対して、500以上の市民団体が『2000年総選挙市民連帯』を結成して、与野党の114名の立候補者を不適格者と認定し、ネット上で大規模な落選運動を開始したのです。この不適格者は実名でマスコミに報道され、『2000年総選挙市民連帯』は、政党や労働組合以外の団体も選挙運動ができる選挙法改正を政府に要求しました。中央選挙管理委員会は、不適格者名簿の公表は違法と判断しましたが、金大中大統領は「市民団体の運動は時代の流れ」と発言し、選挙法が改正されました。この改正法によってインターネット上で選挙公示後も立候補者への実名批判が許されることになりました。政治家としての様々な言動や政府法案の議決態度など、息子や親族の兵役逃れや不法蓄財についても実名批判が許されるなど、これまでの韓国では考えられないことが、金大中政権下では進みました。総選挙の結果、不適格者として全国的にネット上で糾弾された7割の立候補者が落選する結果になりました。韓国の新聞とテレビという報道がなしえなかった国民的な政治の大改革がインターネットによって、5年前に韓国で実現しました。これまでの新聞とテレビという報道機関ではなし得なかった「ネット民主主義」と「ネット国民運動」の可能性を韓国のインターネットは5年も前に証明しています。新聞と放送局が権力側にあるとして、これまで既存メディアが吸い上げ切れなかった国民の自由な意見は、インターネット報道を第3の新たなメディアとして既存メディア以上の規模で登場させました。韓国は国家破綻から立ち直るときにインターネット空間に「第二の国家建設」を行うという決意のもとに、世界最先端のブロードバンド大国を目指すとして、無限のインターネット空間に「第二の国家建設」と「ネット国民の民主主義」を実現したのです。時代遅れの日本の報道関係者や専門家には決して理解できない広大なインターネット空間の可能性が存在するのです。韓国のブロードバンド社会に5年以上も遅れて突入する日本のインターネット社会ですから、日本人のインターネット認識もきわめて遅れています。無知であるがゆえに、超えられない無知の壁が日本社会にも報道機関にも存在します。もし、「ネット民主主義」が既存の権力組織の脅威となり、報道機関の社会的な役割低下をもたらすものであれば、既存権力と報道は「ネット民主主義」を否定したいのも理解できます。「ネット民主主義」と「ネット報道」の可能性を知りながら、国民には知らせないとすれば、国民は騙されているのでしょうか。権力と報道が国民を騙し続けて、全国民を破滅へと導いた歴史的前例を持つ日本国民は、また権力と報道に騙されるのでしょうか。

今回の堀江氏の問題は、フジテレビの市場よりも安いTOB価格で日本放送株を買収しようとした大企業の驕りがあります。ニッポン放送株を保有する企業が市場価格よりも安く売る損失よりもフジテレビとの取引の利益を優先すると考えたフジテレビの大企業体質があったこと。ライブドアは、時間外とは言っても、市場価格でどれだけ買えるか分からない市場取引で、買ってみたら合計保有株式が33%を超えただけで、最初からどれだけのニッポン放送株が買えるかなどは誰もわからないことで、大株主になったから提携の話を持っていったら、敵対的な買収相手にされてしまって大株主を無視する企業経営者には大きな怒りと驚きを堀江氏は感じたことでしょう。取引停止を持ち出しては、ニッポン放送株保有企業の損失も考えず最初から市場価格よりも安く株式保有を考えたフジテレビに問題があったわけで、異常な拒否反応のフジテレビ経営者には驚きます。大企業であれば、正々堂々と市場の1割り増しの価格で株式買収を考えるべきで、株式市場と投資家を無視したフジテレビの方こそ非難されるべきです。

また、企業統治や株式市場の重要な問題であるのに、フジテレビ対ライブドアの勝ち負けに終始する報道各社は、堀江氏の父親や恋人まで話題にする始末で、日本の企業経営と株式市場の重要な問題は多くの場合置き去りにされた勝ち負け騒動の報道になってしまいました。報道の中立性や公共性を疑いたくなるような興味本位の専門家やコメンテーターの意見を流しっぱなしの報道各社の中立性と公共性のない報道も多くありました。今回の日本の報道各社の興味本位の報道が報道機関としての存在価値を自らおとしめる結果になったかもしれません。問題の本質を徹底的に追求して、国民に報道するという報道各社の義務はどこに行ってしまったのか、今回の騒動も面白おかしいワイドニュースネタにされてしまいました。

国際基準の企業経営手法と企業理論に従って行動する堀江氏に対して、取引停止をちらつかせて株を市場価格より安く手に入れ、企業経営を維持しようとするフジテレビの戦いが海外からは、大きな時代遅れの騒動に見えるのはなぜでしょう。大株主に相談なく、社員と経営者が自分たちはフジテレビグループに残りますという発表は、日本の企業経営は株主が経営者を選ぶのではなく、経営者が都合のいい株主を選ぶのだということを世界に知らしめました。上場企業は株式を公開することで、株式未公開企業にはない莫大な資金を証券市場から調達できます。公開された株式は企業経営権つきの株式で、株主が経営権を持つことが条件で、株式買収による経営権の交代は株式公開企業のリスクとしては当然のことです。上場企業の莫大な資金メリットは受け取りながら、上場企業の経営権の交代リスクに対しては、経営者と社員が株主を選ぶというのであれば、ニッポン放送の経営者と社員の決断は日本の株主と証券市場に対する大きな裏切り行為で、堀江氏が語るとおり、経営権の交代を認めたくないのなら、最初から上場しなければいいのです。上場して株を売って莫大な資金を投資家から集めておきながら、株を買った投資家の権利を認めず無視する行為がまかり通れば、日本の証券市場の存在価値がなくなります。日本の上場企業は額面よりはるかに高い株式を投資家に買わせておいて、株主に社員と経営者が「あなたの株保有が企業価値を低下させる。」と、個人としての株保有の資格を問い始めたら、最初から買わせるなよと誰もが感じるはずです。

また、フジテレビに協力した日本の大企業は、市場より安く株式を売ることが取引を維持することだとして、取引という「お金」を優先しました。お金で解決してどうにでもなると考えているのは堀江氏ではなく、大企業経営者側ではないかとも思えます。日本の企業は株主のものではなく経営者のもので、都合のいい社員と株主を経営者が選ぶのだということは経営学で考えても非常識すぎて理解できません。国際基準の合理的な経営を行う堀江氏には理解できないことが日本で起きてしまいました。日本の企業経営は株主支配と言いながら、実は経営者支配であるダブルスタンダードの嘘が明らかとなる騒動でもありました。

さらに、報道関係者や芸能人が報道や文化はお金で買えないと堀江氏に反発していますが、芸能人や専門家が出演料を払わずに出演してくれるとは思いませんし、報道や取材も多くの下請け会社やスタッフに費用をかけずに番組が成り立つとは思いません。番組スポンサーや視聴率を無視した番組放送で宣伝料を失うような報道番組などもありえません。どんな企業も利益を追求し、報道機関もお金で番組を作っているわけですが、我々芸能人や報道関係者は「お金ではない高尚な文化と報道」の仕事にしていると言っています。ニッポン放送には世界に誇る優秀な社員ばかりで、ニッポン放送の社員や管理職の代わりとなる人材は、日本にも世界にも存在せず、日本のどんな人材を集めてきても成功しないくらいに特殊で専門的な仕事をしているニッポン放送の社員が会社を辞めてしまえば、ニッポン放送は誰も運営できないそうです。芸能人や報道専門家によれば、どんな人材であっても補充などできないくらいの世界的に優れたお金儲けを追及しない文化的にも高尚な社員たちがニッポン放送の社員だそうです。
また、堀江氏のお金で外部から購入するコンテンツや人材の姿勢を芸能人や報道関係者が厳しく批判していますが、日本の報道機関が世界から配信情報は買わずに海外の危険地域ににすべて自社社員を派遣して取材し、番組制作には外部下請け業者は一切使わず、お金で雇う外部芸能人の使用もするべきでないという意見は本気なのでしょうか?お金による外部コンテンツと人材購入を否定して現在の報道が成り立つのでしょうか?お金で仕事を動かしながら、お金ではないと言うことこそがマスコミ関係者の大嘘です。

今回の騒動で、少なくとも明らかになったことがあります。それは、フジテレビだけでなく報道各社の日本の資本主義に対する恐ろしいほどの認識不足の現状で、証券市場関係者や企業経営の専門家にとっては信じたくないほどの報道関係企業の経営者や社員の時代錯誤の現状です。
まず、企業は売り物であるとして企業の経営権と所有権の株式を公開し、上場によって多額の資金を投資家から集めておいて、ニッポン放送の社員の場合平均年収1165万円の給与をもらって、株式を買い占めて経営者が変わるということになれば、株主に株を買う資格や経営者の資格を問うのであれば、最初から株式上場しなければいいわけで、企業は売り物で経営権も売り物として売っておいて、買った株主には企業は売り物ではないというルール違反の行為が報道各社からさかんに擁護報道されます。
ニッポン放送の企業経営にどんな考えがあろうと、株式を売りに出した経営者や社員が株主の思想やその資格を問うなどあってはならないことです。ニッポン放送の社員もまず企業を売りに出した経営者の責任をまず問うべきで、売りに出された企業を買った株主に文句を言って資格を問い拒否するなど、見当違いの行動です。どんな人間であっても株を買い無条件に経営権をもてる約束の株式公開であるはずなのに、株を買ってしまうと経営権の保有に、無条件ではなく資格が必要で、説明責任まで果たさないと経営権の保有は認めないとはとんでもない騙し行為ですが、報道各社はさかんに堀江氏の経営資格と説明責任を強調します。株の買収によるニッポン放送の経営権の取得に関して、堀江氏はニッポン放送やフジテレビや報道各社からも、経営資格を審査され経営説明をする義務さえも存在しません。
ニッポン放送の社員は上場企業の社員として、経営権を取得した株主に対して、経営資格や経営拒否を表明するまず権利がありません。上場によるメリットは経営者の利益だけでなく、社員の平均年収1165万円にも反映されています。企業の経営権と所有権を上場して売りに出して、株を買い取った株主に対して話し合いを無視して、経営権の拒否まで宣言する経営者と社員など非常識極まりない存在ですが、報道各社は堀江氏の株式買収による経営権の取得に関しては、ニッポン放送と同様に株主の資格を問題にしています。株主の資格や思想が株買収後に問題となるのであれば、証券市場では株を売るべきではなく、企業も上場する資格はありません。上場して株を公開するのであれば、後になってさも正当な権利のように株主の資格や思想など問題にするなということです。

また、ライブドアがマネーゲームで金儲けしているだけと批判することも多いマスコミ各社と評論家ですが、株を安く買い高く売ることで金儲けすることが株の取引であって、ライブドアのマネーゲームを批判するのであれば、まず先に証券市場で金儲けしようとする個人投資家や機関投資家を批判するべきで、何よりもマネーゲームを目的とした証券市場を運営している東京証券取引所や株取引を仲介する証券会社、そしてマネーゲームを放置している金融庁を批判すべきです。株の取引で金儲けが悪いというような証券市場の否定を意味する批判や同じことをしてもライブドアだけを批判するマスコミ各社の報道の公共性はどこにあるのでしょう。現場の仕事も理解しないで企業経営に口を挟むなと株主に叫ぶフジテレビグループですが、だったら株主総会で株主が経営者の選出や企業経営に参加することを最初から拒否すればいい。フジサンケイの上場企業は株主の権利を一切認めませんと宣言すればいい。資本主義のルールを自分勝手に無視する発言と行動に驚きますが、さらにはフジサンケイを擁護するマスコミ各社の報道には怒りさえ覚えます。日本のマスコミ各社はもはや存在する価値さえないと感じます。
日本の報道各社の経営感覚の古さには日本の専門家や市場関係者は大変驚いています。日本の報道各社がいかに古い資本主義経営を行っているかを今回の騒動で、弁護士、公認会計士、経営コンサルタント、大学教授など多くの専門家が驚いたはずです。日本は資本主義社会ではなかったとも思える騒動です。

もし、いい加減な報道にあるとおりの究極の方法が合法的と判断され、上場企業が株主の利益を無視して、経営者が会社資産を売り払い、突然に社員と企業から退社して、新たな企業を設立してこれまでと同じ仕事をして、株主が大損してもなんら問題ないとすれば、日本の株式市場は個人投資家の安全な投資先ではなく、博打の投機以外の意味を持たなくなります。日本の国家経営や企業経営の世界的な非常識がまかり通る日本をどうかんがえればいいのか。私は限りない脱力感に沈んでいます。

参考文献:
臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」

発行日 発行No タイトル
2005.03.05 第101号  日本のブランド戦略とデザイン戦略
2005.03.05 第100号  中国の知的財産権問題と日本の歴史問題
2005.02.22 2月号外  頑張れホリエモン
2005.02.20 第99号  21世紀の知的財産権戦略
2005.02.20 第98号  日本の対中貿易
2005.02.10 第97号  不動産ファンド
2005.02.10 第96号  中国のエネルギー戦略
2005.01.20 第95号  クルド人を救え
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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