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臥龍通信

臥 龍 通 信 第100号 <2005.3.05発行>
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  ◆ 臥 龍 通 信 第 100号 ◆
    中国の知的財産権問題と日本の歴史問題

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 ◆ 臥 龍 通 信 第100号 ◆
    中国の知的財産権と日本の歴史問題

中国の知的財産権問題と日本の歴史問題

日本の知的財産権の問題で、海外の特に中国における日本の知的財産権の侵害が大きな問題として日本の産業界でも語られるようになりました。日本政府の知的財産権に関連する文部科学省や経済産業省なども、中国における日本企業の知的財産権の侵害について大きな関心と対策を模索し始めています。日本以上の大市場として台頭する中国市場のおける日本企業の知的財産権の侵害は、日本企業や政府にとっても大きな不利益であるとの認識で、様々な方策が議論されています。

日本企業と日本政府の基本的な立場は、中国における日本企業の知的財産権の保護を徹底して中国政府が実施してほしいということです。日本では、日本企業の知的財産権の中国における侵害の例が報道され、中国の知的財産権の侵害被害が非常に大きいことが問題にもされ、中には感情的な報道も見受けられ、中国人は日本の知的財産権を平気で侵害し、日本企業の利益を盗んでいるという極端な報道もあります。

中国の日本企業の知的財産権の侵害に対しては、冷静に対応するべきで、日本の財産を盗んでいるという感情的な対応はできるだけ避けなければなりませんが、過激に報道される場合が多く見受けられます。日本企業や日本政府や日本国民が感情的に過激に反応するのは、中国との関係に新たな感情的対立を生み出す可能性があり、あくまでも慎重にかつ冷静に時間を持って対応していくことが重要です。

日本でも、海外企業の知的財産権の侵害がなかったわけではありませんし、現在も海外のブランド製品の模倣品取り締まりは続いています。日本が海外企業の知的財産権を保護し、中国は日本企業の知的財産権を侵害しているような認識は、必ずしも正しくない認識です。日本でも最近になって、海外企業の知的財産権の保護に力を入れ始めましたが、1990年代には、海外企業の高級ブランド製品のニセモノが百貨店やスーパーで堂々と売られていましたし、渋谷や新宿や池袋の露天でもニセモノが取締りを受けることなく堂々と売られていました。海外製品の知的財産権の侵害であるブランド製品の取り締まりは強化されましたが、相変わらず海外ブランドの知的財産権の侵害は続いています。政府の知的財産権担当者の中には、「日本における海外企業の知的財産権の侵害はどうでもいいんだ。中国における日本企業の知的財産権の侵害こそが問題だ。」と日本の海外企業の知的財産権の保護はどうでもよく、日本企業の知的財産権の侵害という自国利益だけが重要だという意見さえ聞こえてきます。

日本市場で販売されているニセモノのブランド製品は、生産地は中国や韓国が多いのですが、ニセモノの生産を指示して、堂々と輸入してきた日本のニセモノ製品業者は日本人であり、中国や韓国にニセモノ製品の生産を教えてきたのも日本の業者です。ニセモノ生産がどれだけ利益になるかを教えた日本の業者に学んだ中国や韓国の業者は、自国の国民がニセモノ製品を買えるだけの収入がない間は、日本の業者の指示通りにニセモノを生産し、日本に輸出して来ました。やがてニセモノ製品を買うことができる収入を得るまでに中国や韓国が経済的に発展すると、自国の国民にニセモノ製品を販売し始めました。さらには、欧米の高級ブランド製品のニセモノ生産だけでなく、日本企業の製品のニセモノまで生産し、自国民に販売し始めました。ニセモノを生産して日本に輸出して、日本人をだます日本の業者に加担して、日本人に直接ニセモノを売りつけることをやめて、ニセモノを自分の国民に売りつけるほうが日本の業者に指示されることもなく利益があると考え始めたのです。ニセモノを作って、日本人に買わせるために日本に輸出するのをやめて、自分の国民に売るのだから日本から見ても文句はないだろうというわけです。

ところが、中国企業の日本企業の知的財産権の侵害が大きな問題になりつつあります。日本にニセモノを輸出しなくなって、中国人にニセモノを販売し始めたら、その行為が大きな問題となってきたのです。日本の業者から独立してニセモノ製品を日本に輸出しなくなって、中国人に販売を始めたら日本政府は喜ぶと思ったら、大きな問題として取り上げ始めました。つまり、中国が欧米のブランド製品のニセモノを生産することには日本はまったく関心がなく、日本に輸出することも可能であったのが、日本製品のニセモノまで作り始めたら日本の反応は過激で急激でした。中国人にとっては欧米のニセモノ生産は日本の業者が活躍して放置してきたのに、日本企業のニセモノを作って日本人にではなく自国民に販売したら大きな問題となって、おそらくは中国人は当惑しているでしょう。海外企業のブランド製品のニセモノ生産と日本輸出に対してはそれほど問題にならずに、日本企業のニセモノ製品を自国民である中国人に販売し始めると大きな問題となることが、中国人にはほんとうに奇妙に見えていることでしょう。

現在の中国の知的財産権の侵害の中心は商標や著作権分野ですが、冷静に考えれば、日本人が使っている漢字がまず中国の発明です。日本の仏教法典の漢字翻訳法典なども中国の著作です。日本の四季や干支や暦など多くの思想的な単語も中国の著作がほとんどです。日本は歴史的に膨大な中国の発明や著作を使った知的財産を保有しています。歴史的に考えれば、中国と日本の知的財産は日本が完全に輸入超過の歴史があります。歴史的で文化的な中国の財産の上に構築された日本の歴史的な成り立ちを考えれば、中国の知的財産権の侵害は、資本主義の歴史が100年近くある日本と20年足らずの中国の体制の違いも考慮して、冷静にかつ慎重に考える必要があります。私は中国がいまさら無謀なことを言うとは思いませんが、漢字は中国の固有の知的財産であり、中国の発明物である漢字の使用を周辺国に抗議をしてこなかったが、日本人がそんなに中国を嫌いならば、今後漢字の使用は中国圏の中国と香港と台湾にだけ許可するということを言い出したら、困るのは日本だけです。韓国はすでにハングルがありますから困りませんが、中国がそんなに嫌いならば漢字など使わず、日本はひらがなとカタカナだけ使えばいいというようなことを感情的になれば、中国人は考えるでしょう。世界的にも、漢字が使えないで困るのは日本だけであるし、漢字は中国の固有の発明物であることに、世界中の国家が異論はないと考えます。法律論ではない感情的な議論が台頭すれば日本が無意識に行ってきた多くの中国の知的遺産の無断使用に対して、中国の対日感情は現在よりもさらに悪化することも考えられます。中国に対する歴史的で文化的な恩恵を日本が十分に認識して、感謝と理解と繁栄を考えた冷静な対中戦略が日本には必要です。

日本人はすぐに過去のことを水に流してしまいますが、そんなに簡単に過去を水に流すことはできないのがアジア人でもあります。中国人や韓国人に対して、日本人だけが勝手に過去の過ちを水に流して、新しい時代をリセットして出直しますが、そう考えるのは日本人の勝手な考え方で、中国人や韓国人が過去を日本人のように水に流してリセットして考えなければならない理由はありません。過去は現在に続く事実であり、過去の恩恵や過ちを考えないで現在などありえないのですが、日本人は過去にこだわる中国人や韓国人が逆に理解できません。

特に中国に対しては、日本人は配慮に欠けるところがあります。その理由は、日本人が歴史から学ぶことをいい加減にしているからです。日本の第二次世界大戦で韓国のことは話題になりますが、中国のことはあまり話題にはなりません。大日本帝国時代の日本が行ってきたアジアとの戦いは、韓国と中国では内容も大きく違います。日本の教育は韓国と中国に行った占領政策の歴史を日本国民の重要な現在に関係する問題として教えていません。韓国は日本に併合されて韓国人は日本人としての日本国民の時代があったことや中国とは戦争していて韓国人が日本国民として受ける保護が中国人には一切なかったことなど、日本は教育として、加害者の立場から韓国や中国に何をしたかを正確に教える義務があるにもかかわらず、教えてきませんでした。

朝鮮民族は日本に併合され日本国民として保護されましたが、中国民族は敵対民族として扱われた歴史や中国で日本軍の100万人以上の兵士が戦争で中国に派遣され、7年以上も中国国内で戦ってきた歴史など、現在の若い人たちは教えられていません。(歴史的な「日華戦争」は1937年から1945年の終戦まで続きました。)中国人兵士と区別がつかない女性や子供に対して、ベトナム戦争のような戦いを日本軍は100万人以上で、7年以上も中国でどんな戦いを行ってきたか。日本国民となって保護の対象になった朝鮮民族と違って、侵略戦争の相手である中国に対して、考えるだけでも恐ろしい残虐行為を行ってきた日本人の歴史を加害者の日本人は忘れても、中国人は決して忘れることはありません。

戦争といっても、顔を見る戦争と顔を見ない戦争がありますが、米国は顔を見る戦争にきわめて弱い国家です。つまり、兵士がお互いの顔を見ながら戦闘する戦争には欧米人の精神がもたないのでしょう。はるか上空から爆撃する兵士に、爆撃を受けて死んでいく人間の顔は見えません。戦闘員か非戦闘員かの区別がつかず、女性や子供にまで銃を向けなければならない極限の戦争はベトナム戦争で米国は経験していますが、日本は中国で同じ極限状態の戦争をベトナム戦争以上の規模で経験しています。日本軍は中国で兵士だけでなく、多くの非戦闘員の中国人を捕まえて家族や友人の目の前で処刑してきましたが、殺された中国人の家族や友人は今も殺した日本人兵士の顔と名前を記憶しているはずです。100万人以上の軍隊が7年以上も中国を占領してどれだけの中国人を殺してきたか、そしてどれだけの中国人が今も夫や妻や子供を殺した日本人の顔と名前を忘れられないでいるかを考えるだけでも恐ろしいことです。中国で行ってきた戦争でいまも中国には決して行けないと思う日本人がいることも事実なのです。

韓国以上の民族的な被害を与えた中国に対する日本国民の反省は驚くほど希薄です。第二次世界大戦の日本国民の反省は米国や朝鮮民族に対する被害とは比べものにならない被害を与えた、中国民族に対することであることはいまも隠されています。中国国民の日本人に対する怒りは、100万人を超える日本兵士が中国を占領して、毎日日本人が家や土地や財産を奪うだけでなく、理由なき差別と迫害をして日本人が無差別に殺していく中国人を中国人が7年以上も見ているだけで何もできなかった怒りであり悲しみなのです。戦争中に10歳であった中国人は現在70歳で、父や母や兄弟を殺した日本人兵士の顔と名前をいまも忘れられず記憶している人々が中国にはたくさんいます。中国の当時の日本軍は定期的に中国人女性を拉致して、「配給」と称して100万人の男性兵士の欲望の犠牲にするということさえしてきたのです。北朝鮮の拉致とは比べものにならない膨大な数の中国人女性が100万人の日本人兵士の7年以上にわたる欲望の犠牲にされました。まさに、おぞましく恐怖する日本人兵士の事実が日中戦争にはあります。抗議してもしきれない中国人の悲しみと謝っても謝りきれない日本人が忘れてしまいたい罪が日中戦争には存在するのです。米国が非戦闘員である日本国民を無差別に爆撃して、広島と長崎には原子爆弾まで落として、日本国民を殺戮しましたが、米国が行った殺戮以上の殺戮を日本人が中国人に対して行ってきた事実を日本人は国民に教育することもなく、日本国民のおぞましい過去を反省することもなく加害者の事実を忘れ去り、恥ずかしくもなくアジアに対して平和ボケして平和を平気で語るのです。自分たちの過去を学び、反省もしない日本人は、中国人にとって憎んでも憎みきれない人間たちに見えるでしょう。中国人にとって、日中戦争は他国を侵略した加害者の日本人が忘れてしまった過去の歴史ではなく、現在も続く忘れられない中国人の現在の苦しみであり、まさに現在の生きている中国人の問題として残っているのです。日本人として日本の歴史を知らない日本人は、中国人はなぜ日本人を嫌い憎むのかということが愚かにも正確に理解できません。中国人を感情的に嫌悪する日本人も多くいますが、自分たちの加害者の歴史に無知であり、無責任であることに気づかない日本人が中国人の感情を理解できずに誤解し嫌悪することはとても残念なことです。

中国を嫌う日本人の中には、中国の人権問題をあげる人もいますが、人権問題では日本も偉そうなことはいえません。日本の警察の捜査方法には問題があると国連の人権委員会から勧告を受けていますが、日本の法務省は現在も拒否し続けています。警察の取調べに関して、弁護士の立会いを許さないのは先進国では日本だけで、米国も英国もフランスもドイツも香港も台湾も韓国も、警察の取調べについては、警察の容疑者に対する自白強要、脅迫、暴行を防ぐために弁護士の立会いや取調べテープの記録保管なども行っています。日本では一度容疑者になってしまえば、警察の取調べは密室で行われ、長期間にわたる過酷な取調べと脅迫に耐え切れず自白してしまえば、無罪であっても有罪が確定します。現在も警察による違法とも考えられる脅迫や証拠捏造の裁判が続いています。まだ犯人ではない人間を容疑者として取り調べるのに、弁護士の立会いや違法な取調べができない取調べテープやビデオの保管などをまったく認めず、人権無視の捜査をする可能性がある日本の警察制度の改革を、日本の法務省は国連から勧告を受けているのですが、まったく無視したままです。人権問題に関しては、国連が難民認定した難民を法務省は難民として認めず、難民が逃げてきた政府に生命の危険性があるにもかかわらず無慈悲にも難民を送り返して、難民問題でも人権を無視する日本の法務省が問題になりましたが、先進国でも最低の人権保護国の日本から中国の人権問題など意見されたくないし、他国の人権問題を非難する前に国連から勧告を受けている日本の人権問題を解決するべきだと中国からは言われそうです。

日本が歴史的に中国から受けた知的文化遺産の恩恵は膨大です。また、第二次世界大戦の日本の被害以上の被害を中国に与えた日本の反省と謝罪は、日本の歴史としても責任を持って義務教育や高等教育課程で日本人に教育する義務があります。中国の歴史的な恩恵と日本が行った過去の加害者の歴史を十分認識して、感情的な議論にならない中国と日本の新たな関係が必要になってきています。日本が中国の100万人の軍隊に7年以上も占領されて、家や土地や財産を奪われ、いわれなき差別と暴力だけでなく、毎日家族や友人が日本人の目の前で銃や日本刀で殺されていく経験をしなければ、中国人の気持ちを日本人は理解できないのかと中国に言われそうな日本ですが、自分たちのおぞましく恐怖するような日本人の加害者としての事実を明らかにして、真剣に反省する日本人の人間性と歴史観がまさに中国問題で問われています。

中国の知的財産の問題にもどりますが、現在の商標や著作権の侵害問題は時間の問題で知的財産権の保護体制が確立されるまで、それほど長い時間はかからないと思います。問題は、オートバイや自動車や電子機器の模倣ですが、数千点、数万点の製造部品を世界中から調達して、継続的に製品製造ができる世界的な部品調達ネットワークを中国の模倣品業者までが手に入れたという事実です。世界中から特許部品を正式に購入して、完成品を製造できる実力を世界規模で確立しつつある事実が問題です。すでに日本の製造業に負けない世界的な部品調達のネットワークが出来上がりつつあるのです。自動車やテレビや冷蔵庫などの特殊な機能を発揮する部品の特許は取得できても、自動車やテレビや冷蔵庫を特許にはできません。特許部品さえ購入できれば完成品を製造し販売することは可能であり、まさに部品調達と製品販売のスピードが企業利益を生み出す重要な要素にもなっています。中国の消費者が日本の製品と同じ部品で早く安く同じような製品を中国企業が生産できると知ってしまえば、日本企業のブランド問題もいずれ解決します。欧米の高級ブランド製品と中国の廉価製品にはさまれて日本企業の製品がどのような市場シェアーをとれるかが中国市場における日本企業の大きな戦略問題となるでしょう。米国のような特許戦略に重点を置く日本の知的財産戦略ですが、ドイツやスイスやイタリアやフランスが進めるブランド戦略に今後どのように対抗するかが日本企業の重要な戦略になるでしょう。

また、21世紀の日本企業と日本政府の経済戦略は大きな間違いをしてしまいました。21世紀の経済競争は企業同士の一騎打ちの戦いではなく、ワールドカップ型の企業競争であることが日本の企業と政府には分かっていません。サッカーのワールドカップの日本代表選手は、普段は国内や海外でプレーするライバルの関係ですが、ワールドカップでは日本代表として協力して戦います。日本企業の国際市場での戦いは、欧米やアジアの代表チームに1人(単独企業)で戦うようなものです。欧米も中国も韓国も国際市場では代表チームとして政府までがチームに参加して、日本の個別企業を1社づつ撃破していきます。海外国家代表チーム(政府まで参加する企業集団)と日本企業の経済戦争に、日本企業は日本産業全体の協力も政府の強力な支援もなく、孤独な戦いを続けています。国家チームと個別企業との戦いという戦略ミスをしてしまった日本の戦略体制は急速に変わらなければなりませんが、国内の生き残りをかけた合併で世界市場を考えた戦略の策定や実施までは、まだ何年もかかることでしょう。通貨危機と国家破綻によってアジアは21世紀の経済戦争が国家総力戦の経済戦争であり、負ければ企業も国民も例外なく国家破綻の苦しみに突き落とされることをアジアの企業と政府は実際に経験しました。経済戦争に負けて国家破綻に直面する苦しみから立ち直ってきたアジアの国家経営と企業経営の覚悟と凄みを日本企業と日本政府はまったく認識していません。

そして、日本人の歴史的な負の遺産をどのように清算するかという問題を間違えば、日本企業の中国市場でのシェアーは大規模な不買運動で大きく低下することになるでしょう。いまの中国の反日感情は、日本は過去の事実を真剣に反省して、国民にも事実を教育するという体制を築く形で、国民全体で過去の歴史の清算してくれという中国のメッセージとも考えられます。中国という大市場で日本企業が存続していくためにも、憎んでも憎みきれない被害を背負わせてしまった日本の歴史的な過去の清算をいまこそ日本人は隠して忘れるのではなく真剣に考えるべきです。資本主義世界にデヴューして間もない中国に日本並みの知的財産権制度を要求をすることも大人気ない行為ですが、感情的でない日本政府と日本国民の対応を期待したいです。感情的に対立しながら、10年後または20年後に日本企業からすべてを学び取った中国から日本企業がたたき出される状況だけは回避したいものです。中国の生産拠点と中国市場を失えば、日本の輸出は大幅に低下し、輸入超過による外貨減少は加速度的に進みます。中国によって国家破綻に追い込まれないためにも、新たな中国との関係構築が日本政府の問題だけではなく日本国民の問題としても急がれます。

第二次世界大戦の歴史的な清算は、日本人も自分たちの問題として真剣に考えることなく、教育においても避けてきた問題で、日本人が抱え続けてきた問題でもあります。第二次大戦の責任は誰が負うべき責任であるのか。反戦平和を口にすれば、非国民という批判と扱いを家族も受け、逮捕拷問による生命の危険性さえあった時代に、国民は戦争勝利を叫び、新聞などの報道機関は政府発表の嘘を批判することなく報道して国民を騙し、国民も他国に対する侵略戦争の勝利と他国の利権獲得を歓迎して、戦争を推進する側にあったことは、歴史的な事実です。戦争責任は当時の政府や軍部の責任ばかりでなく、侵略戦争を望み、国民全体で戦争を賛美した日本国民全体の責任で、兵士として占領地でどれだけの略奪、暴行、殺人を繰り返してきたかを戦後に封印してしまった日本人は、加害者としての罪だけでなく、事実隠匿の罪さえも犯してしまいました。日本国民の罪を日本国民に教育もせずに、なかったことにしてしまおうとする日本国民は罪を認めているとは考えられず、被害者は激怒して日本人は罪を認めてもいないし反省もしていないと言うのも十分に理解できます。日本国民に日本人の罪の真実を明らかにせず、日本国民を欺き、他国に対してもなかったこととして欺きとおす日本人をそろそろ止めて、アジアから尊敬され信頼される日本人を目指す時代が来ていると感じます。

日本は中国との歴史問題を60年間も根本的な解決をせずに放置してきました。私流の表現ですが、銃を持って一方的に中国人住宅に侵入して、中国人を殺し財産を奪い米国人に逮捕された日本人は、中国人に対して何を言われても我慢して、無条件に中国人が納得するまで謝罪するしかありません。銃を持って強盗に入っておきながら、強盗に入られた被害者が悪いというような苦しい言い訳にも聞こえる日本の説明は一切せずに被害者が納得するまでただひたすら謝罪するべきです。21世紀の日本の未来を考えれば、日本は韓国や中国の納得いく歴史問題の謝罪を徹底的にしておく必要があります。

21世紀に中国が韓国と同程度の経済発展もできない発展途上国のままでいるとは誰も考えませんが、中国が韓国レベルの経済発展をすれば、中国の経済規模は日本の約4倍で、日本と米国の経済規模を超えてしまいます。21世紀は中国という軍事経済大国が日本以上に米国とも経済的に密接な関係になります。米国と中国の関係はアジアの覇権を中国が握ることに米国が同意する形で米中同盟が成立しないとは誰もいえません。中国が日本を侵略して中国の属国として、日本人の生命と財産を奪っても日本は過去の謝罪を真剣にしていなければ、中国に対する抗議さえもできません。他国に侵略し、他国人の生命と財産を奪うことに反省もしない日本人が、中国人に同じことを数十年後にされても日本人は文句も言えません。中国との軍事的・経済的同盟を維持するためには、日本を中国の属国とすることなど米国には容易な選択となる日が近い将来に来るかもしれません。日本人が過去に中国人に与えた限りない苦痛と悲しみの日々を、日本が21世紀に経験しなければならない状況だけは避けたいものです。将来に中国が日本に対する軍事的制裁を発動し、日本を事実上占領下において属国としたときに、世界中のどの国家が自国の軍隊を派遣して、中国と戦い何十万人もの兵士の命を日本のために使ってくれるでしょうか。米国は中国と戦ってまで日本を保護するべきか考えるでしょうし、アジアの国家で歴史問題で反省もしない日本の味方をしてくれるところがあるでしょうか。中国人には臥薪嘗胆の精神があることを日本人は忘れてはいけません。災難はまさに日本人が忘れたころにやってくるのです。21世紀に中国から攻められないためにも、日本制裁の理由となるような歴史問題は、徹底的に謝罪して解決しておく必要があります。すでに、日本の貿易相手は中国が第一位ですが、中国にとって日本は貿易相手としても第三位で、中国にとっても米国にとっても日本の存在は小さくなってきているのですから、今のうちに歴史問題を解決しておくことが将来の日本のリスクを最小にする方法と考えます。

関連資料:「臥龍通信」
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥龍通信第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第109号「東シナ海ガス田問題」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のイネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」
臥龍通信第93号 北朝鮮問題
臥龍通信第60号 日韓の近代・現代史
臥龍通信第59号 国連問題と日本の外交
臥龍通信第50号 朝鮮半島の中国と米国の関係
臥龍通信第43号 日本の安全保障

発行日 発行No タイトル
2005.02.20 第99号  21世紀の知的財産権戦略
2005.02.20 第98号  日本の対中貿易
2005.02.10 第97号  不動産ファンド
2005.02.10 第96号  中国のエネルギー戦略
2005.01.20 第95号  クルド人を救え
2004.12.30 第94号  日本の教育
2004.12.30 第93号  北朝鮮問題
2004.11.30 第92号  崩壊する日本
2004.11.30 第91号  日本の国家経営者
2004.11.10 第90号  韓国技術エリートの台頭
2004.11.10 第89号  21世紀構想研究会記念フォーラムのご案内
2004.10.15 第88号  観光立国(ビジット・ジャパン)
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

中嶋経営科学研究所 所長 中 嶋  隆


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