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韓流ドラマの新たな潮流(2)
韓国のテレビドラマの潮流は、日本人が知らない韓民族の新たな歴史認識の始まりです。
韓民族の苦しみと憎しみ、また歴史を生きた人々の愛と友情の信念の物語が韓国歴史ドラマの新たな潮流です。フジテレビで放送中の『朱蒙』は、韓民族の始まりである紀元前700年ごろに建国された古朝鮮が紀元前108年ごろに中国の漢王朝に滅ぼされ、人々は多くの部族に分裂して、やがて扶余の朱蒙が高句麗を建国する歴史大河ドラマです。『朱蒙』は中国の漢王朝との戦いで多く苦難に遭遇しますが、多くの部族国家を統合して高句麗を建国し、朱蒙の子である温祚は朝鮮半島を南に下り、馬韓地域を統合して700年続く百済を建国し百済の太祖となります。河伯族の姫と扶余族の血が高句麗を建国した朱蒙にも百済を建国した温祚にも流れています。
日本人は、遼東地域や朝鮮半島の韓民族の長く苦しい歴史をほとんど知りません。中国の漢王朝や隋王朝の煬帝や唐王朝の李世民などと戦った扶余や高句麗の歴史を知りません。日本の飛鳥時代に高句麗は中国王朝と日本の戦国時代をはるかに上回る熾烈な戦いを繰り広げていました。日本で推古天皇の時代に、高句麗は隋の煬帝が派遣した200万の高句麗侵略軍と戦い、高句麗の将軍である乙支文徳(ウルチムンドク)が隋の大軍を撃破しました。中国の隋王朝は598年に30万の大軍で高句麗を侵略しますが、高句麗の反撃で敗退し、その後4回も侵略軍を派遣しますが、高句麗を滅ぼすことはできず、高句麗遠征が隋王朝の滅亡の原因ともなりました。日本では中大兄皇子の大化の改新の645年に、中国の唐王朝の李世民が100万の大軍で、高句麗の安市城を攻めていました。高句麗の将軍の淵蓋蘇文(ヨウゲソムン)は、唐王朝の大遠征軍を壊滅させて、高句麗は度重なる中国王朝からの侵略を防ぎます。百万を超える中国の軍隊と何度も互角に戦ってきた高句麗の歴史など、日本人は考えもできません。『大祚栄』は、まさに高句麗亡国と渤海建国の壮大な歴史大河ドラマです。
『朱蒙』が建国し、700年も続いた高句麗がなぜ滅亡するか。『大祚栄』に出てくる中国歴代王朝の侵略を防いできた高句麗の将軍、飛鳥時代に活躍していたウルチムンドクやヨンゲソムンやヤンマンチュンなども日本で知る人間はいません。しかも高句麗を滅亡させたのは唐の将軍で契丹族を従えた契丹人のソリンギ将軍であることも知りません。中国の漢民族王朝は高句麗に何度も敗退し、高句麗は自分たちの栄華だけを考えた高句麗貴族たちの裏切りによって、唐王朝に協力した契丹族と契丹人のソリンギ将軍に古代史の大国である高句麗は敗れ去るのです。高句麗の人民も文化も歴史も消滅させるという唐王朝の復讐心は、契丹人のソリンギの登場で可能になります。国家はなぜ滅亡するのか。民衆を苦しめ、自分たちの栄華だけを考える国家官僚たちの腐敗と裏切りが国家を滅ぼすと高句麗の滅亡は教えてくれます。唐王朝に降伏すれば、高句麗貴族たちは生きながらえると、自分たちの栄華のために国家と人民を唐王朝に売り渡した高句麗貴族たちは皆殺しにされるか、唐の長安まで奴隷のように引きずられて行きました。そして、過酷な中国王朝の支配にも負けず、民衆の新たな希望が250年続く渤海と1000年続いた統一新羅という新たな国家を可能にすることも教えてくれます。
『王建』は朝鮮半島を統一した新羅が千年王国となり後三国(高麗・後百済・新羅)の混乱から、高麗が朝鮮半島を統一するお話です。統一新羅の時代には、海上王たる新羅のチャンポゴ(日本では張宝高で知られている)が日本の博多にも支店を持ち、ベトナムから日本までの広い地域で海上交易による大交易圏を築いていました。新羅の奴隷から唐の将軍にまで出世して、統一新羅時代では新羅の将軍としても有名で、当時の唐の楊州や新羅の清海や日本の博多に拠点を持つ卓越した商人としても成功しました。北には、高句麗の将軍であった大祚栄が渤海を建国して太祖となり、韓民族は北の渤海と南の新羅との南北朝時代を迎えます。では、栄華を誇った新羅がなぜ滅亡したか。それは、地方の政治に関心がなく、民衆を苦しめ、自分たちの栄華だけ追い求めた新羅の貴族官僚の腐敗と抗争にありました。地方の民衆は、新羅王朝を見捨てて地方の新たな王の出現を期待しました。統一新羅はチャンボゴ時代の後に、キョンホン王の後百済とクンエ王の後高句麗と新羅とに分裂しました。後三国時代です。新羅は王権と栄華だけを追い求める新羅貴族官僚の腐敗と抗争で疲弊し、王権を後高句麗の後を継承した高麗の王建に献上します。後百済は王室の抗争で後百済を追放されたキョンホン王が王権を奪った息子たちを滅ぼし、後百済の王権を高麗の王建に献上し、また渤海が滅び高麗に帰順して、後三国と渤海は統一され高麗となります。後百済も新羅も高句麗と同様に、王室と貴族官僚の腐敗と裏切りによって滅亡しました。
高麗は王建が太祖となり、朝鮮半島を統一しますが、漢王朝と戦った扶余や隋王朝や唐王朝と戦った高句麗と同様にモンゴル帝国の元に侵略され属国となります。国家が滅び、また属国となる苦しみは日本人には理解できません。
高句麗は契丹人のソリンギに破れ、高句麗王は縛られて唐の長安まで見世物のように送られました。高句麗人は貴族や技術者を中心に、高句麗の歴史も技術も文化も消滅させるとの考えから、数十万人が奴隷として唐に送られました。百済王は唐と新羅の将軍たち酒を注がされる屈辱を受け、百済の村は女子が生まれると村から女子を奴隷の子として唐が奪い、村に子供を生む女子がいなくなり、数十年で村には百済人が死に絶えるということさえ経験しました。
そして、高麗は元王朝に侵略され国土は荒廃し、最後はモンゴルの元王朝の属国となり、王妃をモンゴルから迎え、元王朝に恭順し忠誠を誓うとの意味から、王の名前には忠を使うように強要され、第25代の忠烈王から、忠宣王、忠粛王、忠恵王など6代の80年間も元王朝の支配を受け、毎年300名以上の14歳から16歳の高麗の娘たちや金銀や特産品など高麗の人民と経済を奪いつくしました。元王朝の日本侵略では、900隻の軍艦、15000人の水軍、6万人の陸軍、11万石の軍事食料などを負担させ、元王朝は高麗支配で2万人以上の高麗の娘たちを貴族たちの貢物として要求し、数百万の餓死者が出るほど高麗の穀物も奪いつくしました。
驚くべきことは、元王朝に貢物にされた高麗の娘の中から、モンゴルの元帝国の昭帝(アユルシラダラ)を生む奇皇后が生まれたことです。高麗の奇一族からモンゴル帝国の奇皇后が生まれ、奇皇后の生んだアユルシリダラが元王朝の混乱を招き、元王朝滅亡のきっかけになります。
モンゴル帝国は高麗を属国として過酷に支配しましたが、高麗の奇皇后から生まれた皇子がモンゴルの元を滅ぼすきっかけとなります。そして、高麗がモンゴルの支配から独立することができたのは、高麗王と結婚したモンゴル人王族で高麗王妃である魯国公主の力がありました。モンゴルの元王朝の高麗支配のあまりにも過酷な収奪に、魯国王妃は涙し、高麗王の恭愍王と高麗の民衆を深く愛し、元王朝からの支配を打ち破るべく、高麗王と協力して、高麗を救います。元王朝を滅ぼすことになった高麗の貢物であった奇皇后と高麗を元王朝から開放することになったモンゴル王族の魯国王妃は、なんと数奇な運命なのでしょう。元王朝は高麗の女によって滅び、高麗はモンゴルの女によって救われたのです。
モンゴルの支配を跳ね除けた高麗の恭愍王と魯国王妃は、数十万の紅巾族の侵略も跳ね除けて国家の独立を回復します。高麗の独立を成し遂げた遼東軍の将軍が、次の朝鮮王朝の太祖となる李成桂です。元王朝の支配を排除し、高麗の独立を可能にした恭愍王と魯国王妃の死後に、高麗の貴族間で権力争いが始まり、李成桂が抗争に打ち勝ち、高麗王を廃して新たな王となり、李氏朝鮮を建国します。高麗もやはり王室と貴族官僚の腐敗と裏切りの中で滅亡して行きます。高麗の末期の話は、韓国ドラマの『シンドン』を見ればよく分かります。
古朝鮮、扶余、高句麗、渤海、百済、新羅、後百済、後高句麗、高麗と国家はなぜ滅亡したのか。その滅亡の記憶は、国家の中枢である王室と官僚が腐敗し、民衆を苦しめ、国家官僚たちが自分たちの栄華だけを追い求めたときに、国家は滅亡するということです。外敵の侵略などは直接の国家滅亡の理由ではありませんでした。韓民族が歴史を学び感じていることは、民族統一と民衆に対する国家官僚の腐敗と裏切りをいかに防ぐかということです。朝鮮民族の統一と遼東地域の朝鮮民族との平和的な融和と国家官僚の腐敗と裏切りに対する厳しいまでの監視の意識が韓国の歴史大河ドラマの背景に流れています。国家官僚は自分たちの栄華のためならば、人民も国家も裏切るという教訓です。
国家の独立を維持するための想像を超えた民族の努力と苦難、そして、国家滅亡に対する民族としての深い後悔と自責の意識が、民族全体の教訓として新たに認識され始めています。壮大な地域で東方の大国としての扶余、高句麗、新羅、百済、渤海、高麗、李氏朝鮮の歴史を振り返り、民族のルーツと自尊心と誇りを持って、現在の問題に向かい合う民族の覚悟が、韓国の大河歴史ドラマには感じられます。
日本人には、自分たちのルーツを知らない人間が増えました。両親のおじいさんの名前さえ知らないのです。日本人が苗字を持つことになった百数十年歴史では、二千年を超える一族の歴史を持つ中国や韓国と比べて、日本人のルーツなど考えもできません。日本人の古代や中世の歴史も知りません。百済王室は日本の天皇家とも婚姻関係が古代にありました。桓武天皇は光仁天皇の第一皇子で、母は高野新笠(たかのの にいがさ)です。高野新笠の父親は和乙継(やまとの おとつぐ)といい、百済人です。
『続日本紀』によれば、「和(やまと)氏は百済の武寧王(ぶねいおう ムニョンワン)から出た百済王族である」ことを明らかにしています。
だから日本の桓武天皇から出た平家の末裔は高句麗の朱蒙や百済の温祚王と日本の天皇家の血を受け継いでいます。最新の遺伝子工学では、日本人の80%以上が朝鮮半島の韓民族と同じミトコンドリアDNAを持っていることが分かっています。韓国人や日本人と言うこと自体が無意味なほど日本人は韓民族と近い存在です。そして、日本人は自分のルーツだけでなく、現代の政治や経済にも無関心です。すべては政府という官僚機構が国民のために最善を尽くして国家経営をしているなど信じる国民さえいなくなりつつあります。自分たちの国家は官僚任せにせず自分たちが守って行くとの歴史に学ぶ亡国の教訓を、日本人も考えてみる必要があるみたいです。
参考文献:
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(12)世界貿易ランキング(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(9)世界GDPランキング(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(7)日本の貿易構造(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(4)世界汚職清潔度ランキング(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(3)世界GDPランキング(2003年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(2)世界貿易ランキング(2003年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(1)日本の貿易構造(2003年)」
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参考資料:「臥龍通信」
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