2006.03.25
中嶋経営科学研究所 所長 中嶋 隆 |
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| 変化する日本と世界の関係(13)日本の貿易構造2005年 日本の貿易相手国が急速に変化しています。日本の貿易は輸出国が欧州や米国が中心と考えられていた時代から大きく変貌しようとしています。日本の欧米中心の世界観や外交関係が大きく変貌し始めているのです。21世紀の新たな時代が、日本をどう変えて行くか日本国民は十分に考える必要があります。 2003年の日本貿易は、貿易振興会の発表資料によれば、米国を追いぬいて中国圏(中国・台湾・香港)との貿易総額(輸入+輸出)が第1位となり、日本にとって中国圏がもっとも重要な貿易相手国として台頭しました。日本では2004年の貿易統計で、中国本土と香港が対米国貿易総額を抜いて、日本にとって中国が第一の貿易相手国になったとさかんに報道されました。日本の統計はこれまで中国の統計を、中国本土と香港と台湾に分割して、GDPや貿易統計など、中国を必要以上に小さく見せようとしてきました。すでに2003年の段階で、対米輸出は対中国圏輸出(中国・香港・台湾)に追い抜かれていましたが、専門家もやっと1年以上も遅れて、2004年の年末から日本の貿易構造の変化に気づき始めたようです。日本のアジアに対する輸出は中国圏とアジア6カ国だけで米国の2倍以上で、輸入は米国の3倍以上で、2004年に急に問題にすることもないのですが、多くの専門家は1年以上も気づかずにマスコミでも議論にもなりませんでした。中国とアジアが日本にとって欧米以上の重要な貿易相手国となってきていることにやっと日本は気づきつつあります。日本からの鉄鋼製品や精密機会製品の輸出によって、日本の産業は中国景気で経済的に大きく支えられ、中国からの安い食料品や雑貨類の輸入によって消費者は安い日常消費製品を買うことができるようになりました。中国やアジアと日本の経済的な相互依存関係は米国を超えるまでに成長しています。 日本の貿易相手国は急激に変化していますが、中国圏(中国本土・台湾・香港)が日本の輸出の27%にもなり、米国の23%や欧州地域の17%を超えて、中国圏が日本にとっては最も重要な輸出相手となりました。そして、中国圏と韓国を合計した近隣輸出は35%にもなりました。外交では問題を抱える地域ですが、中国・台湾・香港・韓国との関係悪化は、日本経済に重大な打撃となる時代になりました。 財務省 統計資料 日本の貿易相手国 2005年貿易統計(輸出・輸入・貿易収支):(単位:百万円)
日本の貿易(輸出・輸入)2003年実績
国家・地域別貿易 日本の貿易輸出を地域別に見てみますと、欧州全体の約9兆7404億円(14.8%)と北米全体の約15兆7772億円(24.0%)を足した貿易輸出額(38.8%)より、アジアへの輸出額の約31兆7955億円(48.4%)が大きくなっています。日本の2005年の輸出額総額は約65兆6565億円で、48.4%はアジアへの輸出で、中国圏だけでも米国(約14兆8054億円)を超える貿易輸出額の約17兆6145億円(26.8%)を占める時代になりました。日本の2005年の輸入総額は約56兆9493億円で、44.4%がアジアからの輸入で、中国圏からの輸入も24.8%にまで拡大しています。日本の貿易収支は、約8兆7071億円の黒字で、日本の貿易による利益は中国圏から約3兆4714億円の利益があり、アジア全体からは6兆5168億円の利益があります。米国からの貿易利益は約7兆7101億円で、アジアは約31兆7955億円の売上と約6兆5168億円の利益をもたらす日本の重要なお客様で、中国圏も約17兆6145億円の売上と約3兆4714億円の利益をもたらす日本の重要なお客様として台頭してきたのです。最近は、中国に対する20年以上のODAの総額約3兆円(返済される利子付き資金援助)の感謝の気持ちが中国にはないと批判もありますが、日本はその中国から20年間のODA金額よりも多い輸出利益を1年で上げています。中国に対する年間1000億円程度のODA資金の貸付を感情的に止めて、年間3兆4000億円の貿易利益を失うような決断は日本の国益とはいえません。 日本にとってアジアがいかに重要な貿易輸出圏であり、利益圏であるかが2005年統計からも理解できます。日本の輸出相手国別では米国が第1位ですが、中国圏合計は米国の輸出額を2003年統計でもすでに超えており、日本の中国分割統計で考えると第2位は中国本土、第3位は韓国、第4位は台湾、第5位は香港と、中国圏の米国を超える圧倒的な発展ぶりが分かります。今後数年でアジア圏への日本の輸出は、日本の輸出全体の50%を超えるでしょう。輸出によって成り立っている日本産業へ利益をもたらす大きな貿易相手国は米国ではなく、アジアという時代が21世紀なのです。 中国のGDP成長 1990年の中国のGDPは、約1兆7400億元(約25兆3518億円)でしたが、2005年の中国のGDPは約18兆2000億元(約265兆1740億円)と10倍以上の成長を達成しました。日本が失われた15年などと言って、ほとんど経済成長しなかった間に、中国は経済規模を10倍にしてきました。中国経済は破綻すると言って来た15年間ですが、日本の中国専門家の予想は15年経っても予言どうりには行きません。中国は2010年には、GDPが26兆1000億元(約380兆2770億円)へと成長すると発表しています。中国には中国本土だけでなく、香港のGDP約20兆円と台湾のGDP約30兆円があり、海外には華僑5000万人の約100兆円と言われる華僑経済まで存在します。15年で国家経済が10倍となり、20年で15倍になる中国経済の成長は日本では考えられない奇跡です。日本経済が過去15年で経済が10倍成長したら日本人はどれだけ幸せなのでしょうか。2010年で中国本土と中国人経済圏は日本の経済規模にまで成長します。2010年以降は中国が日本を経済規模で抜き去る時代が来ます。今後5年から10年で、軍事力と経済力と政治力で中国がアジア最大の国家になり、米国に次ぐ名実ともに世界第二位の大国がアジアに出現します。 中国主導で進められるアジア圏の統合が始まっていますが、日本はどのような政策が必要なのでしょうか。米国の最も大きな貿易相手国として、またアジアの盟主として軍事力・経済力・科学力を増大させる中国に対する日本の対応は今後大きく転換する必要があります。弱体化する米国と強大化する中国という2つの経済・軍事大国の時代が21世紀であるとするならば、経済力・軍事力・科学技術力を備えたアジアの盟主が中国であることを前提とした日本の新たな21世紀の生き残り戦略が必要です。 日本の貿易相手国(国家別・地域別) 2005年貿易輸出:(単位:百万円)
参考文献: 公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(12)世界貿易ランキング(2004年)」 公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(9)世界GDPランキング(2004年)」 公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(7)日本の貿易構造(2004年)」 公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(4)世界汚職清潔度ランキング(2004年)」 公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(3)世界GDPランキング(2003年)」 公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(2)世界貿易ランキング(2003年)」 公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(1)日本の貿易構造(2003年)」 公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」 公開コンテンツ「危機意識なき日本」 臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」 臥流通清第111号「日本の戦後と靖国問題@」 臥龍通信第109号「東シナ海ガス田問題」 臥龍通信第108号「中国から見た日本」 臥龍通信第106号「最近の中国対立」 臥龍通信第98号「日本の対中貿易」 臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」 臥龍通信第94号「日本の教育」 臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」 臥龍通信第87号「IMDと社内大学」 公開コンテンツ
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