2005.06.06
中嶋経営科学研究所 所長 中嶋 隆 |
|||
| 日本の化学兵器の中国遺棄問題 中国の戦後問題で緊張する日本と中国ですが、戦争責任は終わったと言いながら、いまだに解決しない大きな問題があります。日本が中国侵略した当時の国際法に違反する化学兵器を日本が製造し、中国人に使う目的で中国に持ち込んだ化学兵器砲弾約70万発以上が中国で続々と発見され、日本の化学兵器による中国人被害者が現在でも発生しており、日本の裁判所で被害裁判が起こっています。現実に日本が中国人に使おうとした国際法違反の化学兵器は日本の敗戦でその製造と使用を隠匿するために、中国国内で大量に遺棄され、どこに遺棄されているか分からない日本の化学兵器がこれまで中国人の被害者を生み、苦しめ続けていました。1945年8月の敗戦で、日本軍は国際条約に違反した毒ガス使用の事実を隠すために、上官の命令で地中に埋めたり、近くの河川や沼に違法に投棄しました。敗戦時に放置した遺棄毒ガス兵器は推定70万〜200万発に上るといわれています。そのために戦後、多くの中国人が農作業や下水道工事などの時、埋もれていた国際法違反の日本の遺棄毒ガスによって被害に遭い、現在でもその後遺症に苦しんでいます。掘り出された毒ガス弾が何か解らないので調べているとき被害を受けたり、工事中に壊れた毒ガス弾の毒が水の中に漏れ出ていて、知らずにその中に足を入れたり毒をかぶったりして現在も中国人は被害を受けています。 日本の陸軍は1937年の日中戦争の開戦後、日本の参謀総長から現地司令官に指示があり、化学兵器の中国人に対する使用を許可していました。日本は催涙ガスをふくむ毒ガスの使用が、1899年の毒ガスの使用禁止に関するハーグ宣言をはじめとする国際法違反であることを知っていました。日本は中国に対して、多数の化学兵器戦の専門部隊を編成して大量な化学兵器とともに中国に派遣しました。毒ガスは証拠が残りにくいし、相手に検知能力がなければ立証することもむずかしいので、中国人を毒ガス実験の対象としようとしたわけですが、日本は細菌・化学兵器の人体実験部隊まで中国に派遣して、細菌兵器や毒ガス兵器の中国人に対する人体実験と実戦使用を進めていました。実際に日本が行った中国人に対する細菌兵器の人体実験は世界でも例がなく、また日中戦争において毒ガス兵器が使用されたかは正確には分かりませんが、中国側によれば、日本軍は中国で2000回以上毒ガス兵器を使用し、95000人が死傷したと発表しています。 そして終戦の引き上げの際に、日本軍は大量な化学兵器の製造と使用の証拠を隠すために、中国の各地に危険な化学兵器を遺棄しました。今回、日本政府は中国に遺棄されて現実の被害者が発生している日本の化学兵器の処理施設の建設や処理費用総額約2000億円かけて中国で処理が決まりました。中国は1997年4月に化学兵器禁止条約を批准したため、中国で発見されている遺棄された化学兵器を製造した日本は10年間で処理する国際法的義務が発生して、2007年4月までに、中国国内の広範囲に広がる化学兵器弾約70万発から最大200万発の処理をしなければならないことになっていましたが、やっと具体的に化学兵器が処理できることになりました。 内閣府資料 ![]() (内閣府遺棄化学兵器処理担当室http://www8.cao.go.jp/ikikagaku/gaiyou.html) 中国側は最小でも70万発の化学兵器の危険な処理施設を中国国内に建設するのではなく、化学兵器を製造した日本の責任として化学兵器を日本に輸送して日本国内で危険な処理施設を建設して化学兵器を処理してもらいたいところですが、2007年4月までの処理に日本が間に合わないため、中国国内で化学兵器の処理施設を建設することでやっと日本と中国の合意が成立しました。日本の戦後処理というならば、まさに危険な化学兵器の探査と掘り出しと保管や処理は、人道支援を国際的にも宣言する自衛隊が中国で製造者である日本の責任において処理するのが誠意というものですが、日本政府は日本人に危険な作業はさせずに、中国人に最も危険な化学兵器の探査や掘り出しと保管と廃棄処理にお金を出すということで作業してもらうことになりました。中国に戦後問題として誠意を見せるのは、まさにどこに埋まっているか分からない中国の化学兵器の掘り出し現場に日本の首相が行って、死んでもかまわないから地雷原よりはるかに危険な作業をする中国人を視察するくらいのことができればと思います。戦犯問題や靖国問題で対立する日本と中国ですが、中国の毒ガス弾問題はまったく論議されません。毒ガス弾を掘り出すことがまず非常に危険で、最小で70万発ですから輸送だけでもトラック1000台以上の量です。中国が日本に送り返せば、日本の港からの輸送と保管と処理の危険性は日本国民に及び、大きな議論にあるはずですが、日本政府は日本で大きな問題になることを恐れて、中国で日本国民の目に付かないところで中国人の手で処理しようというわけです。確率としては1000発の毒ガス弾処理に1発の事故があっても700人以上の人間が毒ガス被害にあいます。日本の自衛隊に中国の毒ガス弾処理を命じれば、多くの自衛官が自衛隊を辞めることになるでしょう。中国全土に広がる日本の支配地域であった地域の毒ガス化学兵器の処理を中国に頼み毒ガス弾の処理が完了するまでは、毒ガス弾処理で中国人被害者が出るだろう日本の戦争責任のお詫びは継続しなければならないと思います。危険だから日本人は作業をしないし、自分が製造した危険な化学兵器の処理施設まで他国に建設して処理するというお金で解決の日本はいかにも誠意がありません。戦争責任の謝罪はまず中国の化学兵器が処理されてからで、それまでは日本に中国を非難する資格がありません。中国圏(中国本土・香港・台湾)は2004年の貿易で約16兆3702億円の売上と約4兆1946億円の利益をもたらす日本の重要なお客様として台頭してきました。中国の売上と利益を失うことは日本経済に大きな打撃となり、日本はまた経済不況と失業に悩むことになります。日本の国民社会に大きな経済貢献している中国にいまだ大きな迷惑をかけている日本が製造し遺棄した毒ガス化学兵器がなくなるまでは、日本の中国に対する戦争責任は現実にまだ終わっていません。 日本には、中国の化学兵器問題はまず日本軍が中国に112万人も展開して、日本政府が命令しなければ日本軍は戦争を継続して、中国の国民党政府(台湾政府)や共産党政府にも勝っていたという意見があり、化学兵器も有利な日本軍が国民党政府に国際法違反の兵器だと堂々と引渡し、中国国民党政府が遺棄したもので、日本には国際法違反の製造責任も遺棄責任も処理責任もないから、日本政府が化学兵器の処理費用を負担する必要はないという主張があります。しかし、中国の日本軍112万人は終戦を覚悟したときから、連合国によって裁かれる国際軍事法廷の戦争責任の追及を考え、日本軍の都合の悪い証拠はすべて焼却廃棄しました。現実に、中国国民党政府(台湾政府)は、日本軍の112万人の戦犯裁判では、中国の瀋陽、北京、太原、済南、徐州、南京、上海、溝口、台北、広東の10ヵ所で日本軍戦犯容疑者を逮捕し裁判を行い、起訴883名、死刑149名、終身刑と有期刑355名の日本軍戦犯が判決を受けました。連合国の戦犯裁判が始まるときに、死刑になるかもしれない国際法違反の化学兵器を堂々と出すほど、日本軍の指導者は甘くなかったと考えます。中国の化学兵器の製造責任と遺棄責任と処理責任は日本政府にあると考えるのが、妥当な考えと思います。中国が嫌いだという感情は理解しますが、中国にすべての責任があり、日本にまったく責任がないという意見が日本国民に拡大することは意味のない対立を激化させるだけで、日本にとっても中国にとっても有益なことではありません。 ちなみに、日本軍の毒ガス兵器問題は国内でも発生しており、現実の被害者が発生しています。日本では44ヵ所以上で、日本軍が国内に遺棄した毒ガス兵器が発見されています。終戦時に連合軍に見られては困る資料や武器が廃棄遺棄されましたから、日本国内の毒ガス兵器の所在もいまだ確定できていません。日本国内での毒ガス兵器の遺棄さえ把握できない状況ですから、処理の最先端に立つ日本学術会議の委員も大変です。 ちなみに、毒ガス兵器の処理の最先端を担う日本学術会議ですが、別の国内問題で大変なようです。日本学術会議に参加の113学会で学者の不正行為が横行して、日本の学界にも多くの問題があることに学術会議も国内問題で対応に追われています。日本学術会議に参加する学術団体のうち113学会で、論文のデータねつ造や盗用といった学会学者の不正行為が内部的に問題になっていたことが、日本学術会議が行ったアンケートで分かったのです。国内外で研究者の不正行為が後を絶たないことから、日本学術会議は研究機関や研究資金の提供機関に対し、倫理綱領の策定を急ぐよう求める提言を近く公表する予定です。調査は昨年、日本学術会議に参加する1481学会を対象に実施され、日本の学会全体の約5割に当たる838団体が回答しました。研究者として倫理的に問題がある行為が、1999年以降の5年間に学会の役員会などで話題になったケースがあるかどうか尋ねたところ、113学会が「ある」と回答しました。不正の内容で最も多かったのは、論文の二重投稿で67学会。論文やデータ盗用の23学会がこれに続き、データのねつ造、偽造は6学会でした。調査をまとめた東大大学院教育学研究科の佐藤学教授は、「わずか5年間の件数であることを考えれば、決して少ないとは言えない。研究者の養成段階で、倫理教育に力を入れるべきだ」と話しています。(読売新聞7月5日)日本を代表する学会の研究者である企業研究者や大学教授や大学院生の倫理規定や倫理教育をしなければならない学会状況も日本の大きな問題です。 国内における旧日本軍の化学兵器問題については、昨年より神奈川県寒川町及び平塚市並びに茨城県神栖町において次々に顕在化しており、内閣官房の指示の下、関係省庁連絡会議を開催するとともに、本年6月6日には「茨城県神栖町における有機ヒ素化合物汚染等への緊急対応策について」閣議了解を行い、関係省庁および都道府県等が協力して対策を進めているところです。 環境省・国内毒ガス弾に関する取り組み(旧軍毒ガス弾等の対策について) (http://www.env.go.jp/chemi/gas_inform/index.html) 年表 ・1869年「靖国招魂社」を創建 ・1879年「靖国神社」と社号変更 ・1894年日清戦争 ・1931年満州事変 ・1937年日中戦争始まる ・1941年太平洋戦争始まる ・1945年太平洋戦争終結、連合軍に日本は無条件降伏 ・1951年9月8日にサンフランシスコ講和条約 連合国55カ国の48カ国と平和条約を調印し、独立国として復帰する。 ・1952年の日華平和条約 中国国民党政府(台湾政府)と日本との第二次世界大戦の戦争状態を終結 ・1953年戦犯の赦免に関する日本の国会決議 連合国55カ国の中11カ国の同意を得て、日本国民4000万人以上の署名により、 戦犯の赦免に関する決議が国会で、社会党や共産党まで含めて一人の反対もなく決議 ・1956年A級戦犯の赦免・釈放 ・1958年BC級戦犯の赦免・釈放 ・1965年日韓条約で日本と韓国との国交樹立 ・1970年までにB・C級戦犯の死亡者と刑死者の約1000名が「靖国神社」に合祀 ・1972年日中平和条約 中国共産党政府と日本との第二次世界大戦の戦争状態を終結 ・1972年沖縄返還、米軍占領下の沖縄が日本に返還される ・1975年昭和天皇の「靖国神社」に最後の参拝、以後参拝なし ・1978年A級戦犯が「靖国神社」に合祀 参考文献: 公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」 公開コンテンツ「危機意識なき日本」 臥龍通信第123号「郵政選挙(終わりの始まり)」 臥流通清第122号「日本社会の貧困」 臥龍通信第121号「郵政民営化法案の欠陥」 臥龍通信第120号「日本の政治の構造改革」 臥龍通信第119号「戦後60年の政治」 臥龍通信第118号「戦後60年の総決算」 臥龍通信第117号「独裁政治への道(郵政民営化法案騒動)」 臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」 臥流通清第111号「日本の戦後と靖国問題@」 臥龍通信第109号「東シナ海ガス田問題」 臥龍通信第108号「中国から見た日本」 臥龍通信第106号「最近の中国対立」 臥龍通信第98号「日本の対中貿易」 臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」 臥龍通信第94号「日本の教育」 臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」 臥龍通信第87号「IMDと社内大学」 参考資料:「公開コンテンツ」
参考資料:「臥龍通信」
|
| =TOP= | |
| =Contents List Top= | |
Copyright(C) 2001-2004 Nakajima Management Science Institute E-mail:info@nakajima-msi.com |