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2005.03.15
変化する日本と世界の関係(7)日本の貿易構造2004年

中嶋経営科学研究所 所長  中嶋 隆


変化する日本と世界の関係(7)日本の貿易構造2004年

日本の貿易相手国が急速に変化しています。日本の貿易は輸出国が欧州や米国が中心と考えられていた時代から大きく変貌しようとしています。日本の欧米中心の世界観や外交関係が大きく変貌し始めているのです。21世紀の新たな時代が、日本をどう変えて行くか日本国民は十分に考える必要があります。
2003年の日本貿易は、貿易振興会の発表資料によれば、米国を追いぬいて中国圏(中国・台湾・香港)との貿易総額(輸入+輸出)が第1位となり、日本にとって中国圏がもっとも重要な貿易相手国として台頭しました。日本では2004年の貿易統計で、中国本土と香港が対米国貿易総額を抜いて、日本にとって中国が第一の貿易相手国になったとさかんに報道されました。日本の統計はこれまで中国の統計を、中国本土と香港と台湾に分割して、GDPや貿易統計など、中国を必要以上に小さく見せようとしてきました。すでに2003年の段階で、対米輸出は対中国圏輸出(中国・香港・台湾)に追い抜かれていましたが、専門家もやっと1年以上も遅れて、2004年の年末から日本の貿易構造の変化に気づき始めたようです。日本のアジアに対する輸出は中国圏とアジア6カ国だけで米国の2倍以上で、輸入は米国の3倍以上で、2004年に急に問題にすることもないのですが、多くの専門家は1年以上も気づかずにマスコミでも議論にもなりませんでした。中国とアジアが日本にとって欧米以上の重要な貿易相手国となってきていることにやっと日本は気づきつつあります。日本からの鉄鋼製品や精密機会製品の輸出によって、日本の産業は中国景気で経済的に大きく支えられ、中国からの安い食料品や雑貨類の輸入によって消費者は安い日常消費製品を買うことができるようになりました。中国やアジアと日本の経済的な相互依存関係は米国を超えるまでに成長しています。

           日本貿易振興会 (JETRO)
            日本の貿易相手国
2004年貿易統計(輸出・輸入・貿易収支):(単位:百万円)
相手国 輸出 輸入 貿易収支
中国 7,995,868 10,197,503 -2,201,635
香港 3,831,814 175,723 3,656,091
台湾 4,542,543 1,802,358 2,740,165
中国圏合計 16,370,225 12,175,584 4,194,621
韓国 4,785,617 2,385,074 2,400,543
タイ 2,192,173 1,524,682 667,491
シンガポール 1,945,090 679,549 1,263,541
マレーシア 1,359,417 1,524,455 -165,038
フィリピン 1,038,141 891,917 146,224
インドネシア 981,743 2,017,553 -1,035,810
アジア9地域合計 28,672,406 21,198,814 7,473,592
米国 13,721,263 6,760,016 6,961,247

日本の貿易(輸出・輸入)2003年実績

貿易輸出相手国別シェアー

貿易輸入相手国別シェアー

中国本土

12.2%

中国本土

19.7%

香港

6.3%

香港

0.4%

台湾

6.6%

台湾

3.7%

中国圏合計

25.1%

中国圏合計

23.8%

韓国

7.4%

韓国

4.7%

東南アジア

13.0%

東南アジア

15.3%

アジア合計

45.5%

アジア合計

43.8%

米国

24.6%

米国

15.4%

EU

15.3%

EU

12.8%

その他

14.6%

その他

28.1%

出所:財務省

国家・地域別貿易輸出

日本の貿易輸出を地域別に見てみますと、欧州全体の約9兆4743億円(15.5%)と北米全体の約14兆5448億円(23.8%)を足した貿易輸出額(39.3%)より、アジアへの輸出額の約29兆6405億円(48.4%)が大きくなっています。日本の2004年の輸出額総額は約61兆1820億円で、48.4%はアジアへの輸出で、中国圏だけでも米国(約13兆7213億円)を超える貿易輸出額の約16兆3702億円(26.8%)を占める時代になりました。日本の2004年の輸入総額は約49兆1770億円で、45.2%がアジアからの輸入で、中国圏からの輸入も24.8%にまで拡大しています。日本の貿易収支は、約12兆51億円の黒字で、日本の貿易による利益は中国圏から約4兆1946億円の利益があり、アジア全体からは7兆4260億円の利益があります。米国からの貿易利益の約6兆9612億円を超えて、アジアの貿易利益が米国貿易の利益よりも大きくなりました。アジアは約29兆6405億円の売上と約7兆4260億円の利益をもたらす日本の重要なお客様で、中国圏も約16兆3702億円の売上と約4兆1946億円の利益をもたらす日本の重要なお客様として台頭してきたのです。

日本にとってアジアがいかに重要な貿易輸出圏であり、利益圏であるかが2004年統計からも理解できます。日本の輸出相手国別では米国が第1位ですが、中国圏合計は米国の輸出額を2003年統計でもすでに超えており、日本の中国分割統計で考えると第2位は中国本土、第3位は韓国、第4位は台湾、第5位は香港と、中国圏の米国を超える圧倒的な発展ぶりが分かります。今後数年でアジア圏への日本の輸出は、日本の輸出全体の50%を超えるでしょう。輸出によって成り立っている日本産業へ利益をもたらす大きな貿易相手国は米国ではなく、アジアという時代が21世紀なのです。

中国主導で進められるアジア圏の統合が始まっていますが、日本はどのような政策が必要なのでしょうか。米国の最も大きな貿易相手国として、またアジアの盟主として軍事力・経済力・科学力を増大させる中国に対する日本の対応は今後大きく転換する必要があります。弱体化する米国と強大化する中国という2つの経済・軍事大国の時代が21世紀であるとするならば、経済力・軍事力・科学技術力を備えたアジアの盟主が中国であることを前提とした日本の新たな21世紀の生き残り戦略が必要です。

       日本の貿易相手国(国家別・地域別)
2004年貿易輸出:(単位:百万円)
相手国        輸出      相手地域   輸出     
中国圏合計 16,370,225 中国圏合計 16,370,225
1.米国 13,721,263 アジア全体 29,640,499
2.中国 7,995,868 北米全体 14,547,440
3.韓国 4,785,617 欧州全体 9,474,257
4.台湾 4,542,543 中南米全体 2,345,253
5.香港 3,831,814 中東全体 1,564,994
6.タイ 2,192,173 大洋州全体 1,603,861
7.ドイツ 2,050,742 アフリカ全体 314,366
8.シンガポール 1,945,090 ロシア全体 314,635
9.英国 1,635,791 世界全体 61,182034
10.オランダ 1,447,466
11.マレーシア 1,359,417
12.オーストラリア 1,278,006
13.フィリピン 1,038,141
14.インドネシア 981,743
15.フランス 903,310

参考文献:
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(12)世界貿易ランキング(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(9)世界GDPランキング(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(7)日本の貿易構造(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(4)世界汚職清潔度ランキング(2004年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(3)世界GDPランキング(2003年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(2)世界貿易ランキング(2003年)」
公開コンテンツ「変化する日本と世界の関係(1)日本の貿易構造(2003年)」
公開コンテンツ「日本の化学兵器の中国遺棄問題」
公開コンテンツ「危機意識なき日本」
臥龍通信第112号「日本の戦後と靖国問題A」
臥流通清第111号「日本の戦後と靖国問題@」
臥龍通信第109号「東シナ海ガス田問題」
臥龍通信第108号「中国から見た日本」
臥龍通信第106号「最近の中国対立」
臥龍通信第98号「日本の対中貿易」
臥龍通信第96号「中国のエネルギー戦略」
臥龍通信第94号「日本の教育」
臥龍通信第90号「韓国技術エリートの台頭」
臥龍通信第87号「IMDと社内大学」

公開コンテンツ
No タイトル 作成
20  変化する日本と世界の関係(6)アジアの貿易物流 New 2005.01
19  変化する日本と世界の関係(5)中国と韓国の直接投資 2004.12
18  変化する日本と世界の関係(4)世界汚職清潔度ランキング2004年 2004.12
17  変化する日本と世界の関係(3)世界GDPランキング(2003年)  2004.10
16  変化する日本と世界の関係(2)世界貿易ランキング(2003年)  2004.09
15  厳しい国家財政 2004.08
14  変化する日本と世界の関係(1)日本の貿易 2004.02.
13.  プロフェッショナルへの道(1) 企業組織で働く覚悟と準備
 プロフェッショナルへの道(2) 企業組織で働く現実
 
プロフェッショナルへの道(3) 営業プロフェッショナルへの道
 プロフェッショナルへの道(4) システムエンジニア&ITコンサルタントへの道

 プロフェッショナルへの道(5) 研究機関研究者への道 
2003.09
12.  企業経営学と国家経営学 2003.08
11.  知的財産権の新たな潮流 2003.08
10.  アジアの台頭 (1) 〜 アジアマネーの台頭とアジアの経済発展  
 アジアの台頭 (2) 〜 米国の中国人ネットワーク
 アジアの台頭 (3) 〜 インドのIT産業政策とインドのソフトウェア産業
 アジアの台頭 (4) 〜 アジアの経済規模
 アジアの台頭 (5) 〜 世界の大学生と大学院生
2002.12
9.  韓国固有の価値観 (1) 〜 韓国語の価値観
 韓国固有の価値観 (2) 〜 韓国社会の価値観
 韓国固有の価値観 (3) 〜 韓国の政治における価値観
 韓国固有の価値観 (4) 〜 韓国の企業経営における価値観
 韓国固有の価値観 (5) 〜 韓国人の価値構造
2002.05
8.  韓国の歴史的社会文化構造 (1) 〜 韓国人の血縁
 韓国の歴史的社会文化構造 (2) 〜 韓国人の地縁
 韓国の歴史的社会文化構造 (3) 〜 韓国の軍閥と学閥
 韓国の歴史的社会文化構造 (4) 〜 韓国の財閥
2002.05
7.  日韓国家情報化計画比較 〜 「e-Japan戦略」と「CYBER KOREA21」  2001.12

発行日 発行No タイトル
2004.09.05 第87号  IMDと社内大学
2004.09.05 第86号  実力主義の「人間管理」と「能力管理」
2004.08.11 第85号  日本の戦後問題 
2004.08.11 第84号  2007年問題 
2004.07.23 第83号  企業経営と国家経営 
2004.07.23 第82号  未公開株の取引 
2004.07.02 号外  スウェーデン・プロジェクト
2004.07.01 第81号  日本の政治の大改革 
2004.06.21 第80号  日本の21世紀の課題 
2004.05.25 第79号  美しい日本の国土再生
2004.05.10 第78号  激動する世界情勢
2004.05.10 第77号  現代日本の問題点
2004.04.25 第76号  企業経営とITと知的財産権 
2004.04.25 第75号  「韓流」の映画とドラマ 
2004.04.08 第74号  日本のIT産業の実力
2004.04.08 第73号  「科学技術」と「職人技能」
2004.03.29 第72号  「攻殻機動隊」と「イノセンス」
2004.03.12 第71号  日本近代史の分岐点
2004.02.22 第70号  21世紀の大学改革
2004.02.22 第69号  行動する日本人の時代
2004.02.12 第68号  21世紀の日本人と日本社会 
2004.01.27 第67号  国家経営力統計
2004.01.10 第66号  年金問題の本質
2003.12.02 第65号  日本マンガの実力
2003.12.02 第64号  日本の政治
2003.10.17 第63号  企業就労と健康と個人の幸福 
2003.10.17 第62号  知的財産権政策後退の阻止 
2003.09.26 第61号  地域主義の新たな潮流
2003.09.25 9月号外A  セキュリティ・ソフトについて
2003.09.05 9月号外@  コンピュータウィルスについて
2003.08.20 第60号  日韓の近代・現在史
2003.08.20 第59号  国連問題と日本外交
2003.07.10 第58号  国家経営力(2) 
2003.07.10 第57号  国家経営力(1) 
2003.06.25 第56号  特許戦略よりも知性戦略
2003.06.07 第55号  『日本の知性は死んだのか?』 
2003.06.07 第54号  経営力の時代(3) 
2003.06.07 第53号  経営力の時代(2) 
2003.06.07 第52号  経営力の時代(1) 
2003.05.21 第51号  「裁判員制度」の法制化  
2003.04.25 第50号  朝鮮半島の中国と米国の関係  
2003.04.25 第49号  日本のITの基礎知識(5)  
2003.04.25 第48号  日本のITの基礎知識(4)  
2003.04.25 第47号  日本のITの基礎知識(3)  
2003.04.25 第46号  日本のITの基礎知識(2)  
2003.04.25 第45号  日本のITの基礎知識(1)  
2003.03.10 第44号  日本の産業競争力
2003.03.10 第43号  日本の安全保障
2003.03.10 第42号  日本の知性創造サイクルの変革

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