2003.09.25
中嶋経営科学研究所 所長 中嶋 隆 |
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| プロフェッショナルへの道(1) 企業組織で働く覚悟と準備 最近、多くの大学生や大学院生に接する機会が増えました。新人会社員とも話す機会も多くなり、社会人としてのキャリア・プランや働く意味なども考える機会が増えました。そんな大学生や大学院生、また働き始めた新人会社員の皆さんのために、今回は「プロフェッショナルへの道」を私の経験も紹介しながら特集します。 日本の企業組織で働く覚悟と準備 日本の企業で働く社員や、これから日本の企業で働く学生が知っておかなければならないことがあります。日本の企業組織で働くことを真剣に考えておくことは、個人のビジネス・キャリアの将来を大きく左右することになります。 特に、大学生や大学院生の皆さんはあまり知りませんが、私がこれまで企業で人材の採用面接で行う面接は、学歴や職務経歴書も参考にしますが、面接を受ける人材の購読新聞紙や購読雑誌と最近読んだ単行本の話を重視します。その人材が日常どのような情報収集を行っているのかの感度は、ビジネスには極めて重要な採用基準なのです。 学会論文誌や業界雑誌や購読新聞の注目記事や日常読んでいる単行本のジャンルなどのヒヤリングで、学歴や職務経歴などの書類では出てこない人材の興味と職能レベルが、一瞬で把握できます。 まず、会社の新聞や業界雑誌を読んでいるというのはまず不可です。自分で契約した購読新聞や業界雑誌がないのは不可ですし、学会論文誌だけでも不可です。 最低限必要な基準は、日経新聞の購読と日経ビジネスや週間ダイヤモンドや東洋経済、また専門的な日経コンピュータや日経アソシエ、ダイヤモンド・ループなど、自分が目指す業界ビジネス紙を必ず1誌は自分のお金で年間購読していて欲しいと思います。 また、一橋ビジネス・レヴューやハーバード・ビジネス・レヴューなども、年間購読紙にいれておいて頂ければ、もう文句なく学歴や職務経歴書の内容以前にビジネス感度として合格です。 さらに、最近は大学生や大学院生の起業の盛り上がりもありますが、起業に関しては日本の大企業を取り扱う業界専門誌や業界ビジネス誌の事例はあまり役に立ちません。大企業の戦略や成功事例は、大企業の経営環境で可能なことであって、起業し中小企業から始めようとする起業家には、参考にはならないと思います。大学生や社会人が起業する場合は、むしろ日本の地域中小企業の現状を詳細に記事にしている雑誌が最も参考になると思います。例えば、東方通信社の「コロンブス」は、日本全国の地域中小企業の成功例をこれまでも数多く紹介してきました。起業を考えている大学生や社会人には、大企業のビジネス戦略というのではなく、日本全国の中小企業の現状と成功事例を紹介している「コロンブス」のような雑誌こそが、将来の起業の大きなヒントを与えることになると考えます。 これまで会ってきた大学生を考えてみると、企業に就職する場合も、起業を目指す場合も事前の情報収集と準備が必要ですが、就職や起業のための勉強会に出ていれば良いというぐらいの情報しかありません。他人に話を聞くくらいでは勉強にはなりません。勉強会も良いのですが、「起業は金儲けできる夢の実現への道」、「大企業に入社できる面接のコツ」などという勉強会では、プロフェッショナルとしてはがっかりな勉強会です。 面接で出会う大学生は企業で働く覚悟と準備が出来ていない場合が多く、どんなに本人のやる気や熱意を語ってもらっても、何も努力してこなかったでは、採用面接は白けるばかりです。また、大学生の中には、とんでもない思い違いをしている学生もいます。大学で何を学びましたかの質問で、サークル活動やイベント活動を力説する学生がいますが、大学に学びに行ったのだから、大学でどんな分野を学んだかを語って欲しいものです。大学に勉強しに行って、勉強せずにサークル活動やボランティア活動をしていたのでは、大学生である理由は何かと考えてしまいます。学生はよく勉強以外に大事なことがあると言いますが、学生に勉強以外に大事な事はありません。勉強できないから他のことで頑張るというのは論外です。どんなに勉強ができなくても、学生であればまずは勉強に頑張って欲しいと思うのです。サークル活動やボランティア活動は大学生でなくてもできます。大学は学びの場であり学ぶことが重要で、その後に勉学以外の活動があるのですが、目的が違っている大学での頑張りの話をされると、大学生まで税金から約1500万円以上も出して、勉強させてきた我々納税世代としてはまことにむなしい気分にもなってしまいます。所得税だけでも、収入の30%を税金で取られる側の人間としては、国民の税金は使うけれど大学で勉強はしなかったことだけですでに失格者です。 大学生でも中途採用でも、働く覚悟と準備ができる人間であるかが採用面接には重要で、働くことに対する準備や覚悟もない人間は、採用しても良い仕事は期待できないのです。 大学生の皆さんが、大学で一生懸命勉強して、余力を業界誌や新聞や専門雑誌を最低限購読して、業界研究の簡単本で間に合わせようなどとは思わないで欲しいと思います。長期間の働くことに対する覚悟と準備が、間に合わせでは到底できない仕事への認識と覚悟を個人に蓄積していきます。企業の人事採用担当者には、書類だけで採用を決定するところもたくさんありますが、できる採用担当は皆さんの本質を見抜いています。 働くための覚悟と準備を日々どれだけしているかを、もう一度皆さんが自らに問うことが大切です。 ちなみに、わたしですが国際学会論文誌5誌、国内学会論文誌5誌、ビジネス・レヴュー誌2誌、業界ビジネス雑誌10誌、業界専門誌10誌、さらに日経新聞ということで、専門書や単行本など、膨大な情報を日々処理し、整理して、情報収集を可能にしています。情報収集はその他に日本政府が発行している白書類の統計資料や海外の業界雑誌など、欧米やアジアの現地雑誌も多く読んで情報収集します。日本の現状分析には海外の国家や企業の比較による日本のベンチマーキングが不可欠なのです。 日々の生活で、どれだけ準備して、発言するかは、詳細には説明しないし、私の発言を聞いた人々は私の準備など感じることさえ難しいでしょう。しかし、万全の準備をしていれば、どんな場面でも自信を持って物事を語ることができます。個人の自信とは、日々継続される情報収集の賜物なのです。 学生の皆さんが日々の生活で継続して働くための準備の習慣を個人の人生のために身につけるように願っています。3年、5年と継続して働くための準備することが、準備を怠った人間には到底追いつけないだけのスキルの差となって現れてきます。現場でどんなに頑張っても、総合的な視野で努力を蓄積してきた人間には、打ち勝つことのできない差が生まれるのです。戦略の基本は情報収集です。情報収集の蓄積が卓越した戦略を可能にしていきます。個人の人生戦略や企業での企業戦略の策定に、日々の準備が大きな力を発揮するのです。卓越したビジネス能力とは、地道な日々の準備に支えられていると覚悟して、これからの競争社会を生き抜いてください。 運(幸運)で維持できる期間は短いのです。運に頼らず、自らの努力でより卓越したビジネスマンに成長してください。皆さんの努力を期待します。 また、日本の企業には、関連する学会誌だけでなく業界誌さえ満足に読んでいない管理職がたくさんいます。情報収集の乏しい、陳腐化した知性の企業管理職を今後の大学生が真似る必要はありません。自らの未来は自らの努力で勝ち取っていく21世紀には、働くための準備を怠った知性からは良いアイデアも戦略も生まれません。働く限り永遠に続く、働くための準備が自分にはできるのかと、もう一度学生の皆さんは就職以前に考えてみてください。 韓国には「37歳定年説」というのがあります。大学卒業後、徴兵されてやっと企業就職して10年で、その人材の知性は陳腐化してしまうので、「37歳定年」というわけです。能力を陳腐化させないために、韓国では35歳を前後して社会人大学院へ通います。働く大学院生が新たな知性を企業に供給し、企業は新たな知性の実験の場となっていきます。企業役員は就任時に、最先端のMBA教育を再度要求されます。日本企業の社員MBA率は平均で0.3%ですが、韓国企業のMBA率は日本の100倍の30%を超える企業が現れ始めました。働く大学院生管理職の社会的な認知が進んでいるのは韓国ばかりではありません。今や中国は日本の大学院生教育の10年分を1年で可能にしています。日本の大学生や大学院生の21世紀の覚悟と努力に期待したいです。 |
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